日本学術振興会

科研費改革の動向

科研費制度の抜本的改革

日本が、将来にわたって卓越した研究成果を持続的に生みだし続け、国際的な存在感を保持できるかどうかが問われていた状況等を踏まえ、科学技術・学術審議会では、学術研究を「国力の源」と位置付けつつ、科研費の抜本的な改革を進めるべき旨を提言しています(「我が国の学術研究の振興と科研費改革について(中間まとめ)」平成26年8月27日 科学技術・学術審議会学術分科会)。
また、政府が策定した第5期科学技術基本計画(平成28~令和2年度)及び第6期科学技術・イノベーション基本計画(令和3~令和7年度)においては、科研費改革の実施方針に沿った内容が盛り込まれており、成果創出の最大化に向けた質的な改革とともに、量的充実の観点から新規採択率30%の目標が掲げられています。

科研費改革

これらの背景を踏まえ、「科研費改革の実施方針」に則り、科研費改革を推進しています。科研費改革には、大きく三つの柱として、①審査システムの見直し、②研究種目・枠組みの見直し、③柔軟かつ適正な研究費使用の促進があります。
 
科研費改革の行程
(注1)「特別推進研究」は従来どおり人文社会・理工・生物の「系」単位で審査を実施。「新学術領域研究」の発展的見直しにより創設された「学術変革領域研究」については、審査区分「Ⅰ」~「Ⅳ」の単位で審査を実施。

(注2)「挑戦的研究(萌芽)」の審査は、令和3(2021)年度公募以前は総合審査で行っていましたが、令和4(2022)年度公募からは2段階書面審査で行っています。

(注3)小区分・中区分・大区分は現行を維持し、小区分に付される「内容の例」の見直しを実施しました。

(注4)令和5(2023)年度公募から、基盤研究(B)において、著しく応募件数の少ない状況にある一部の小区分について、複数の小区分での合同審査を実施します。

科研費審査システム改革

これまでの基盤研究等の審査制度は膨大な応募件数を迅速に審査する公正かつ適切な仕組みとして、研究者から大きな信頼を得てきました。一方で、科研費への応募件数は年々増加し、その応募動向も徐々に変化しつつあることから、審査の在り方や審査区分の改善が求められていました。また、変化する学術動向に対応し、競争的環境の下で、優れた研究課題を見出すことができるように審査方式の改革も求められていました。
科研費審査システム改革の進展状況
※1「 特別推進研究」は従来どおり人文社会・理工・生物の「系」単位で審査を実施。「新学術領域研究」の発展的見直しにより創設された「学術変革領域研究」については、審査区分「Ⅰ」~「Ⅳ」の単位で審査を実施。
 
※2 挑戦的研究(萌芽)の審査は、令和3(2021)年度公募以前は総合審査で行っていましたが、令和4(2022)年度公募からは2段階書面審査で行っています。
このような状況を踏まえ、平成30(2018)年度助成(平成29(2017)年9月公募)から、審査区分及び審査方式の見直しを行いました。具体的には、以下のとおりです。

平成29(2017)年度以前の「系・分野・分科・細目表」を廃止し、「小区分」、「 中区分」、「大区分」で構成される新たな「審査区分表」で審査を行っています。

平成29(2017)年度以前に実施していた、異なる審査委員が書面審査と合議審査を行う2段審査方式から、同一の審査委員が書面審査と合議審査を行う「総合審査」方式と、同一の審査委員が書面審査を2回行う「2段階書面審査」方式を導入しました(研究種目によって異なる審査方式となります。)。

また、令和3(2021)年度には審査区分表の中間的な検証を行い、令和5(2023)年度助成(令和4(2022)年7月及び8月公募)より適用する審査区分表について見直しを行いました。

【改正のポイント】
小区分の「内容の例」の見直し
( 小区分・中区分・大区分は現行を維持し、小区分に付される「内容の例」の見直しを実施)

「基盤研究(B)」における複数の小区分での合同審査の実施
( 「基盤研究(B)」において、著しく応募件数の少ない状況にある一部の小区分について、複数の小区分での合同審査を実施)