日本学術振興会

科研費における研究データの管理・利活用について

背景

日本学術振興会では、研究データの取扱いに関する基本方針を定め、研究活動における適切な研究データの管理・利活用を促進しています。本方針に基づき具体的な運用を定めたガイドラインを策定する予定です。
独立行政法人日本学術振興会の事業における研究データの取扱いに関する基本方針(令和5年10月23日理事長裁定)
・独立行政法人日本学術振興会の事業における研究データの管理・利活用に関するガイドライン※近日公開予定

科研費における研究データの管理・利活用について

科研費での研究の実施にあたっては、研究データの管理計画書であるデータマネジメントプラン(DMP)を活用し、研究データの適切な管理や利活用の促進に努めていただきます。以下の内容をご確認ください。
1. 対象種目
特別推進研究、学術変革領域研究(A・B)、基盤研究(S・A・B・C)、挑戦的研究(開拓・萌芽)、若手研究、若手研究(A・B)、研究活動スタート支援、奨励研究、特別研究促進費、特別研究員奨励費、国際共同研究加速基金(国際先導研究、国際共同研究強化(令和4(2022)年度以前に採択された国際共同研究強化(A)を含む)、海外連携研究(令和4(2022)年度以前に採択された国際共同研究強化(B)を含む)、帰国発展研究)

2. 適用時期
令和6(2024)年度以降に実施する新規及び継続を含む全ての研究課題

3.科研費での対応の流れ
<研究開始前>
  • DMPの様式例を参考に、研究開始にあたり研究データの管理計画を策定してください。
  • DMPの提出は不要です。

<研究実施中>
  • DMPに基づき適切な研究データの管理のもと、研究を進めてください。また、研究の進捗に応じてDMPは適宜更新してください。

<各年度の研究終了後>
  • 補助事業により生み出した研究データは、研究終了後も適切に管理してください。また、公開する研究データは、DMPに基づき、機関リポジトリや分野別リポジトリ等に格納してください。
  • 実施状況報告書及び実績報告書の一部として、補助事業により生み出し、公開した研究データの情報(メタデータ等)を提出いただく予定です。
  • 提出されたメタデータ等の情報は、KAKENに登録・公開する予定です。さらに、CiNii Researchに連携することを予定しています。
4.    参考様式
参考様式 ダウンロード
DMP様式例・記入例
作成上の注意
※様式例の項目の内容に沿って管理されている場合、本様式以外を用いても差し支えありません。
5.DMP作成における留意点

研究データは、オープン・アンド・クローズ戦略に基づき管理・利活用を行ってください 。
 
  • 論文のエビデンスとしての研究データは原則公開とし、その他研究開発の成果としての研究データについても可能な範囲で公開することが望まれます。
  • ただし、その際、研究分野等の特性や、データを管理する組織の特性に配慮して、「公開」、「共有」又は「非共有・非公開」の判断が行われる必要があります。
  • 個人情報、企業の秘密情報、研究の新規性、我が国の安全保障等の観点から留意すべき研究データは非公開とすることが求められます。
  • また、産業競争力や科学技術・学術的な優位性を確保するためには、研究データを即時に公開することが適切でない場合もあり得ることから、公開による利活用の促進とのバランスを考慮しつつ、適切なエンバーゴ(時限付き非公開)期間を設定することも可能です。研究データの取扱いに迷う場合は、所属機関の担当部署等に相談してください。
  • 研究者は、オープン・アンド・クローズ戦略に従いDMPを策定し、それに基づいてデータの公開・共有を行ってください。また、研究機関では、管理・対象データの範囲や、それら研究データの公開・共有の基準等を定めたデータポリシーの策定や、研究者がデータポリシーに則って研究データマネジメントを実施するための環境や支援体制等の整備をお願いします。

研究データの管理・利活用に関するFAQ

Q1. 令和6年度に実施の課題がDMP作成の対象とのことですが、令和6年度以前に採択された継続課題も対象ですか。
A1.  DMPの作成は、研究者による研究データの適切な管理や効率的な研究進捗の把握を目的としています。そのため、新規課題、継続課題問わず、DMPを活用し、研究データの適切な管理や利活用の促進に努めてください。なお、対象は令和6年度以降に実施する研究です。(過去に遡って作成する必要はありません)
Q2. 学術変革領域研究(A・B)については、総括班の研究代表者(領域代表者)が領域全体の研究データの管理・利活用の計画を取りまとめ、交付申請時にDMPの提出が求められていますが、取扱いは変更になりますか。
A2. 令和6年度以降、学術変革領域研究(A・B)についても本取扱いとします。なお、既に領域全体のDMPを作成している場合は、新たに課題ごとのDMPを作成いただく必要はありません。本取扱いを参考に引き続きDMPに基づき、研究データの適切な管理・利活用の促進に努めてください。
Q3.  研究分担者もDMPの作成が必要ですか。
A3.  DMPの作成は研究代表者が取りまとめることとしていますが、研究代表者、研究分担者ごとに作成し、研究代表者の方でまとめる形でも構いません。研究代表者、研究分担者及び研究協力者等と協議の上、作成してください。
Q4 . 論文根拠データのほか、その他研究開発の成果としての研究データについても可能な範囲で公開することが望まれるとのことですが、どのように判断したらよいですか。
A4. 研究データはオープン・アンド・クローズ戦略に基づいて、公開及び共有が実施される必要があります。特に、個人情報、企業の秘密情報、研究の新規性、我が国の安全保障等の観点から、留意すべき研究データは非公開とすることが求められます。このため、研究者は、単純に公開や共有を是とするのではなく、合理的な理由により公開及び共有の範囲を設定するようにしてください。

参考

研究データの概念整理・管理対象データの公開及び共有の区分