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菅 裕明 東京大学 FoS参加歴: |
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私が先端科学シンポジウム、通称FoSを体験したのは、平成16年に行われた第1回ドイツとのFoS、いわゆるJGFoSでした。なんと、既に10年も前のことです。自分でもこのリレーメッセージを書き始めて驚きました。さらに驚くことは、そのFoSが現在でも活発に行われていることです。これは、FoSの企画からすると当然ではありますが、実に素晴らしいことだと思います。
ここで、その10年前にタイムトリップしたいと思います。当時、私はアメリカから帰国して1年後、まだ日本の大学システム、研究システムに慣れようと必死にもがいている最中でした。第1回JGFoSのプランニングメンバー(PGM)だった私の旧友(現在でも年に数回は学会・研究会等でお会いする仲良しの現東北大の先生)に、講演者として呼んで頂きました。実は、私はその2年前に、アメリカ国内で開催されるアメリカ科学アカデミー主催のFoSに参加者として招かれ(アメリカ国内FoSでは招待形式)、そのディスカッションのレベルの高さに圧倒され、自分の他分野研究への理解力不足を思い知らされた経験をしていました。それと同じスタイルで、「ドイツ人研究者と日本人研究者が議論する」と伺いました。はたしてそのレベルの議論が可能なのか、私は懐疑的だったことを覚えています。実際出席してみると、選ばれた参加者がよいのか、選択されたトピックスが良いのか(PGMの方に深謝)、ドイツの参加者を圧倒するレベルのディスカッションが展開されました。特に、他分野研究者への良い意味で挑戦的な質問や議論は、日本人研究者のレベルの高さを身にしみて感じた次第です。
その後、私は、ドイツ・マインツで開催した初回を含め、PGM・主査として計4回JGFoSに参加する機会を得て、多くの日本人研究者、ドイツ人研究者の方々と議論し、交流を深めました。当時、PGMのメンバーだった研究者の方々とは、FoS内外で大変お世話になりました。また、第3、4回目にドイツ側のPGMを務められた先生の研究室から、女子学生が私の研究室にインターンシップで訪れ、つい数ヶ月前に無事博士学位を取得したとメール連絡が届きました。彼女にとって、日本での経験は大変エキサイティングだったようです。これこそ、FoSが望む「国際交流の姿」ではないかと思っています。
現在、FoSに参加している研究者はおそらく私より10歳以上若い研究者だと思います。おそらく、私がそうであったように、参加者の皆さんは、FoSを通してとても刺激的な体験をしていることと思います。また、PGMの方々は、多くのコミットメントを必要としますが、トピックスの決定までの議論等、さらに多くの刺激を受けていることと思います。それらの刺激から得た何かを糧に、現在の自分の研究に取り込み、そして将来の研究視野を広げることにつなげられるかどうかは、実は参加者自身のとらえ方、考え方によるところも大きいと思います。「実は私もFoS経験者」という研究者が、今後も世界を相手に大活躍し、日本の科学を牽引してくれると私は確信しています。