日本学術振興会

R073先端計測分析技術の未来創成委員会

活動目的

新しい装置原理やデータ解釈を複合させた先端計測分析技術を生むためには、産業界の分析ニーズを抽出し、学際的なシーズと知を集結させ、産・学ともに議論し、具現化、創造していく場となるフォーラムが必要である。
本委員会では、産業界が抱える課題に対し、学界・産業界において生まれつつあるシーズ技術や情報科学を戦略的かつ合理的に結び付け、産業界においては持続的な競争力の強化、学界においてはシーズ技術の実用化に向けた方向づけや新たなシーズの発想といった産学双方に好循環の成長を産む将来像の創成、すなわち持続発展的な「先端計測のエコシステム」を築くことを活動目的とする。

活動内容

先端計測分析技術は「分析原理の発案と検証」、「新しい分析技術の実応用」、「分析のスループット向上」、「技術汎用化」という課題に集約される。各課題の議論促進のため委員会内に以下の分析手法WGを設置し、これらを優先課題とする。

(1)質量分析
半導体等では微小領域と高感度の両立が課題であり、マルチモーダルデータの統合解析技術を議論する必要がある。また、未知因子を含む複雑な試料のデータ解釈には情報科学との融合が必須である。

(2)放射光
硬X線領域では原子からマクロまでの構造情報を、軟X線から紫外領域では物性・機能の発現機構を解明できる。強力で良質な光源性能を活かすためには新しい計測装置・手法と手法横断的なデータ連携が必要である。

(3)電子顕微鏡
電池などの実働環境では原子分解能オペランド解析が、構造材料分野ではマルチスケール解析技術が期待されている。また、半導体の高度化・低消費電力化には、電子顕微鏡による計測、情報科学を活用した自動計測やデータの自動解析が期待され、それらは物性研究や材料開発に展開される。

(4)情報科学
情報科学は上記(1)~(3)すべてに関わる。先端計測技術の利活用には、情報科学の活用や特徴量から重要因子を特定するモデルが必須である。先端計測に情報科学をどのように融合させるのかを重点的に議論する必要がある。

WGでは各分析法・解析手法が目指すべき到達点を徹底的に議論し、全体議論に繋げる。また、WGを相互に連携させ、半導体、電池・エネルギー、鉄鋼・材料、医薬・環境の四つの出口分野ごとの産学連携活動に発展させる。

設定期間

令和7年4月1日~令和12年3月31日

委員構成(活動開始時)

学界55名  産業界36名  委員総数91名

委員長

坂本 哲夫 工学院大学 教授