学振トピックス
JSPS Topics研究者インタビュー|前野 ウルド 浩太郎先生
前野 ウルド 浩太郎(まえの うるど こうたろう)
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター 生産環境・畜産領域 主任研究員
略歴
1980年生まれ。博士(農学)。神戸大学大学院自然科学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員DC2(2006年)、PD(2008年)、日本学術振興会海外特別研究員(2011年)、京都大学白眉センター特定助教(2014年)、国立研究開発法人国際農林水産業研究センター生産環境・畜産領域 研究員(2016年)を経て現職。第19回日本農学進歩賞(2017年)、シンゲッティ賞(モーリタニア・イスラム共和国政府、科学技術賞、2020年)、第19回日本学術振興会賞受賞(2023年)。著書『バッタを倒しにアフリカへ』が新書大賞(2018年)、『バッタを倒すぜ アフリカで』が科学ジャーナリスト賞大賞(2025年)を受賞。
研究テーマ
アフリカにおけるサバクトビバッタの防除技術の開発
1980年生まれ。博士(農学)。神戸大学大学院自然科学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員DC2(2006年)、PD(2008年)、日本学術振興会海外特別研究員(2011年)、京都大学白眉センター特定助教(2014年)、国立研究開発法人国際農林水産業研究センター生産環境・畜産領域 研究員(2016年)を経て現職。第19回日本農学進歩賞(2017年)、シンゲッティ賞(モーリタニア・イスラム共和国政府、科学技術賞、2020年)、第19回日本学術振興会賞受賞(2023年)。著書『バッタを倒しにアフリカへ』が新書大賞(2018年)、『バッタを倒すぜ アフリカで』が科学ジャーナリスト賞大賞(2025年)を受賞。
研究テーマ
アフリカにおけるサバクトビバッタの防除技術の開発
アフリカでサバクトビバッタの行動と繁殖生態を研究
古来より、アフリカではサバクトビバッタがしばしば大発生し、農作物が喰い荒らされ、深刻な被害がもたらされてきました。私は、この被害の軽減を目指し、西アフリカのモーリタニアにおいて9年間にわたりサハラ砂漠でフィールドワークを行い、野外におけるサバクトビバッタの行動と繁殖生態の解明に取り組んできました。野外でバッタがどのように繁殖しているのかはほとんどわかっていませんでしたが、私は性成熟した雌雄が別居生活しているというユニークな繁殖システムを発見しました。メスは普段はオスから離れて生活し、産卵直前になるとオスの集団に飛来して交尾を行い、その後、夜間に集団で地中に産卵します。このようなシステムにより、雌雄間の過剰な性的干渉が抑えられ、効率的に繁殖が行われていることが分かりました。
さらに、産卵時には多数のバッタが同じ場所に集まり、数時間その場にとどまることも明らかにしました。この性質を利用すれば、バッタが集まるタイミングと場所を狙って対策を行うことができ、農薬の使用を最小限に抑えた、環境や人への負担の少ない防除技術の開発につながると期待されます。
また、砂漠の過酷な高温環境の中で体温を調節しながら活動する行動や、大群で移動する仕組みなど、室内実験だけでは分からなかった現象も明らかにしてきました。これらの研究は、サバクトビバッタの大発生のしくみの理解を深めるとともに、持続可能な防除技術の基盤となるものです。
さらに、産卵時には多数のバッタが同じ場所に集まり、数時間その場にとどまることも明らかにしました。この性質を利用すれば、バッタが集まるタイミングと場所を狙って対策を行うことができ、農薬の使用を最小限に抑えた、環境や人への負担の少ない防除技術の開発につながると期待されます。
また、砂漠の過酷な高温環境の中で体温を調節しながら活動する行動や、大群で移動する仕組みなど、室内実験だけでは分からなかった現象も明らかにしてきました。これらの研究は、サバクトビバッタの大発生のしくみの理解を深めるとともに、持続可能な防除技術の基盤となるものです。
性成熟したサバクトビバッタの集団(雌雄のペアが交尾している)
写真撮影:前野ウルド浩太郎
写真撮影:前野ウルド浩太郎
国内だけでなく現地でも受賞が励みに
日本学術振興会賞は、若手研究者にとって憧れの最高峰の学術賞であり、私にとっては縁遠いものだと思っていました。私より優れた業績を挙げている研究者は数多くおり、受賞の知らせを受けたときは、身に余る思いでした。今回の受賞は、論文の数や質だけでなく、日本人がほとんど取り組んでこなかったサハラ砂漠でのフィールドワーク、その過酷さや国際的な活動、書籍を通じたアウトリーチ活動を含め、研究者として、一人の社会人として、取り組み全体を評価していただいたものだと受け止めています。長年続けてきた挑戦が認められたと感じつつ、本賞に見合った研究者に成長しなければならないと励みになりました。
これまで私は、日本学術振興会の特別研究員(DC2、PD)、さらに海外特別研究員として継続的な支援を受け、海外での挑戦的なフィールド研究に取り組む機会を得てきました。この経験が現在の研究の方向性を決定づけたと感じています。日本学術振興会の支援を通じて、アフリカや欧州の研究機関との国際共同研究ネットワークも構築され、現在の研究活動の大きな基盤となっています。私自身、日本学術振興会の支援制度によって育てていただいた研究者であると実感しています。
また、所属先では多くの方々にお祝いしていただき、研究職のみならず日々の研究を支えてくださる職員の方々に感謝を伝える機会ともなりました。研究は個人で完結するものではなく、多くの支えの上に成り立っていることを改めて実感しました。さらに授賞式には父が同席し、秋篠宮皇嗣同妃両殿下とお話しする機会にも恵まれたことは、忘れがたい親孝行になりました。
日本から遠く離れたアフリカでバッタ問題に取り組む研究が、日本国内で評価されたことは、現地にとっても励みになっています。この受賞が、国内外の研究者やこれから研究を志す若い世代への刺激となれば幸いです。研究者になるまでの道のりを支えてくださった日本学術振興会への深い感謝の気持ちを胸に、研究できる喜びを噛みしめながら、今後も精進していきます。
これまで私は、日本学術振興会の特別研究員(DC2、PD)、さらに海外特別研究員として継続的な支援を受け、海外での挑戦的なフィールド研究に取り組む機会を得てきました。この経験が現在の研究の方向性を決定づけたと感じています。日本学術振興会の支援を通じて、アフリカや欧州の研究機関との国際共同研究ネットワークも構築され、現在の研究活動の大きな基盤となっています。私自身、日本学術振興会の支援制度によって育てていただいた研究者であると実感しています。
また、所属先では多くの方々にお祝いしていただき、研究職のみならず日々の研究を支えてくださる職員の方々に感謝を伝える機会ともなりました。研究は個人で完結するものではなく、多くの支えの上に成り立っていることを改めて実感しました。さらに授賞式には父が同席し、秋篠宮皇嗣同妃両殿下とお話しする機会にも恵まれたことは、忘れがたい親孝行になりました。
日本から遠く離れたアフリカでバッタ問題に取り組む研究が、日本国内で評価されたことは、現地にとっても励みになっています。この受賞が、国内外の研究者やこれから研究を志す若い世代への刺激となれば幸いです。研究者になるまでの道のりを支えてくださった日本学術振興会への深い感謝の気持ちを胸に、研究できる喜びを噛みしめながら、今後も精進していきます。
研究への想いや支援だけでなく、遠回りや失敗も支える力に
研究しなければ研究者にはなれません。しかし、私は本の執筆や広報活動など、研究以外のことに取り組んだ遠回りも、結果として研究職を得るための別の道だったと感じています。ポスドク時代、私はサハラ砂漠での研究に自身のキャリアを懸けました。現地では言葉も通じず、バッタが発生しない、無収入になるなど、地味な不幸に直面することもありました。それでも研究を続けるため、日本ではなじみの薄い「バッタ問題」を知ってもらおうと、ブログや講演などを通じて発信を続けてきました。多くのファンに自身が取り組む課題を知っていただき、応援してもらえたのは先行き不明なキャリアにおいて心強い後押しになりました。
研究には、効率だけでは測れない側面があります。遠回りに見える経験や失敗の積み重ね、そして研究が好きだという気持ち、周りの支援が、不安な状況でも自分を支える力になりました。
研究には、効率だけでは測れない側面があります。遠回りに見える経験や失敗の積み重ね、そして研究が好きだという気持ち、周りの支援が、不安な状況でも自分を支える力になりました。
※本記事に記載の所属・肩書きは、掲載時点(2026年7月)のものです。
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