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研究者インタビュー|北川 進先生
北川 進(きたがわ すすむ)
京都大学理事・副学長、高等研究院特別教授
略歴
1951年生まれ。博士(工学)。京都大学大学院工学研究科博士課程修了。近畿大学助教授(1988年)、東京都立大学教授(1992年)、京都大学教授(1998年)、京都大学物質-細胞統合システム拠点(WPI-iCeMS)拠点長(2013年)を経て、高等研究院特別教授(2017年)。2024年より現職。ノーベル化学賞受賞(2025年)。
研究テーマ
錯体化学、配位空間の化学、多孔性材料の化学
1951年生まれ。博士(工学)。京都大学大学院工学研究科博士課程修了。近畿大学助教授(1988年)、東京都立大学教授(1992年)、京都大学教授(1998年)、京都大学物質-細胞統合システム拠点(WPI-iCeMS)拠点長(2013年)を経て、高等研究院特別教授(2017年)。2024年より現職。ノーベル化学賞受賞(2025年)。
研究テーマ
錯体化学、配位空間の化学、多孔性材料の化学
科研費が支えた研究の芽
私は近畿大学で研究者人生をスタートしました。当時は大学の基盤的経費が今よりも充実しており、少額の科研費であってもコンスタントに獲得でき、自由な発想で伸び伸びと研究に没頭することができました。当時は研究者に見向きもされず「もっともつまらないイオン」といわれていた銅1価の研究が私の出発点ですが、科研費がその芽を支えてくれたからこそ、自分の直感を信じて探求を深めることができました。私はこれを伏流研究と呼んでいます。このような基礎研究が実を結ぶには20~30年という歳月を要します。科研費による息の長い支援をいただけたことに、深く感謝するとともに、是非、重点的な研究に対する手厚い支援だけでなく、若い世代へのコンスタントな支援を希望しています。
継続的支援が未知の領域への挑戦を可能に
科研費では1980年代から継続的に支援をいただきました。その中でも、挑戦的なことを大きく前進させることができたと印象深いのは、2013年に採択された特別推進研究です。多孔性材料を精密にデザインすることで、従来の技術では極めて困難とされてきた混合ガス(一酸化炭素/窒素など)の分離を可能にする新材料の創製に成功しました。
また、WPIで支援いただいたiCeMS(物質-細胞統合システム拠点)では、材料科学と細胞生物学のコラボレーションによる研究成果が多く生まれています。例えば、血管の機能調節や神経伝達などを制御する重要なシグナル伝達分子である一酸化窒素(NO)は、気体であるため生体内での制御が困難でしたが、光に反応したときのみNOを放出する多孔性材料を新たに開発し、細胞生物学におけるガスバイオロジーの最前線を切り拓きました。
また、WPIで支援いただいたiCeMS(物質-細胞統合システム拠点)では、材料科学と細胞生物学のコラボレーションによる研究成果が多く生まれています。例えば、血管の機能調節や神経伝達などを制御する重要なシグナル伝達分子である一酸化窒素(NO)は、気体であるため生体内での制御が困難でしたが、光に反応したときのみNOを放出する多孔性材料を新たに開発し、細胞生物学におけるガスバイオロジーの最前線を切り拓きました。
多孔性金属錯体Ⓒ京都大学iCeMS
有機配位子Ⓒ京都大学iCeMS
多孔性金属錯体Ⓒ京都大学iCeMS
多孔性金属錯体Ⓒ京都大学iCeMS
科研費はもとより、WPIでも10年間という長きにわたる支援をいただき、腰を据えて未知の領域の開拓に挑むことができました。成果が出るまで時間を要する科学においては、切れ目のない継続的な支援が今後も不可欠だと思います。
「無用の用」にこそ宿る価値
科学とは、まだ誰も気づいていない自然の奥深さに光を当て、それをより深く、広く理解しようとする営みです。人がやっていることを追うのではなく、誰も必要と思っていない場所にフィールドを創るパイオニアを目指してください。そのためには、「すぐに役に立ちそうなこと」ばかりでなく、「まだ意味があるかも分からないこと」にも関心を持つことが重要です。一見役に立たない「無用の用」にこそ本質的な価値が宿っています。 また、専門分野に閉じず、異なる分野の人と交流して視野を広げてほしいと思います。「幸運は準備された心に宿る」という言葉のとおり、日々の経験や出会いを大切にし、焦らずしぶとく、探求と挑戦を続けてください。
※本記事に記載の所属・肩書きは、掲載時点(2026年7月)のものです。
[JSPSパンフレット連動 特設コンテンツ 研究者インタビュー]
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