日本学術振興会

R041バイオ・分子・ナノテクノロジー融合委員会

活動目的

 近未来では、生体とサイバー空間を高度に連結するため、サイバー空間のエッジ・デバイス表面と生体をシームレスにつなぐ界面が求められる。この新しい生物的互換性と情報互換性を持つ界面の創成には新しい発想、創発が必要であるため、分子ナノテクノロジーを発展させた新規界面研究の基盤となる場を作る。さらに生体・仮想空間のシームレス接続を可能とする電子デバイスの実現へむけた産学連携の芽を醸成し、この新しい分野を急速に発展させる。

活動内容

 今後20~30年の世界を俯瞰予想すると、デジタル界のコンピューティングパワーが実世界に浸潤して現実世界とサイバー空間が融合し、AIがあらゆるところで利用され、人々の生活がより豊かに安全になる社会が到来すると考えられる。この融合は、生物・人体とサイバー空間でも起こる。学界と産業界は協力してこれに備えておく必要がある。
 
5-10年後:生体互換・情報互換界面の基礎基盤の確立を目指す。
15年後:「生体互換・情報互換」による生体・デバイス共生の実現
30年後:デジタル・実空間インターフェースの標準化
20~30年後の世界を俯瞰予想図
 まず5~10年後の生体互換・情報互換界面の基礎基盤の確立を目指す。生体、デバイスの両者にとって優しく、同時に両者の信号を相互に自由に変換するトランスデュサー機能を持ち、自ら代謝・再生可能な界面を実現すべく、学問及び産学連携の基盤を構築する。
そのため、以下の3つの活動を行う。
 
情報収集と議論:分子ナノテクノロジーを基礎とする高分子やナノ材料、さらには代謝分子集合体、細胞までも含めた生体互換、情報互換性物質の探索と議論を行い、生体互換・情報互換の必要十分条件を明らかにし、学問の基礎をつくる。

②産学連携醸成:産業界委員内の交流、さらには学界委員との交流をより深め、オープンイノベーション、実デバイスへ向けた産学連携の芽を作る。センサー、アクチエータ、信号処理、生体適合材料の探索から人工生体組織の実現、細胞刺激装置へ発展・展開させる産業化の端緒を開く。

③新領域・若手多様性育成:期待される若手研究者、ジェンダー多様性を持った研究者に参加していただき、小集団活動を通じて、生体・サイバー空間信号互換性を学問へと発展させる学際的な「バイオ・分子・ナノテクノロジー融合」研究集団を構築し、継続的発展につなげる。

設定期間

令和4年4月1日~令和9年3月31日

委員構成(活動開始時)

学界27名  産業界19名  委員総数46名

委員長

大阪大学 特任教授 山下 一郎