日本学術振興会

第13回HOPEミーティング開催概要(完全オンライン開催)

日時:2022年3月7日(月)~3月11日(金)
開催方式:全プログラム ウェブ会議システムによる会議(オンライン開催)
対象分野:物理学、化学、生理学・医学及び関連分野
主催:独立行政法人日本学術振興会
画像:手を振り合う参加者と梶田運営委員会委員長
最終日、別れに際して手を振り合う参加者と梶田運営委員会委員長(最上部左から2列目)

参加者

アジア・太平洋・アフリカの21か国・地域[※]から91名の博士課程学生・若手研究者が参加しました。

[※] 参加者の推薦国・地域
日本、オーストラリア、バングラデシュ、中国、エジプト、インド、イスラエル、ケニア、韓国、マレーシア、ミャンマー、ネパール、ニュージーランド、フィリピン、セネガル、シンガポール、南アフリカ、台湾、タイ、トルコ、ベトナム

講演・ グループディスカッション

第13回HOPEミーティングは、新型コロナウイルスの世界的な影響がいまだ終息しない状況下で、初めて全面的にオンライン形式で開催されました。オンライン形式のため、欧州・北米在住のノーベル賞受賞者と東アジア・オセアニアから中東・アフリカまでの広い範囲から参加する若手研究者との時差の隔たりを調整する必要があり、日本時間で午前中のプログラムと、夕方から夜のプログラムの1日2部制で運営されました。
今回、対面での開催はかないませんでしたが、HOPEミーティング史上最多の9名のノーベル賞受賞者を迎えることができました。会期中、ノーベル賞受賞者の45分間の講演が9回行われ、若手研究者は、講演後のQ&Aセッションにおいて、受賞者に質問したり意見を交わしたりすることができました。

ドナ・ストリックランド

バリー・C・バリッシュ

梶田 隆章

吉野 彰

グレゴリー・ウィンター

ウィリアム・E・モーナー

クルト・ヴュートリッヒ

ランディ・W・シェクマン

ティム・ハント

画像:梶田博士の講演
梶田博士の講演
画像:シェクマン博士の講演
シェクマン博士の講演
特に、グループディスカッションは、20名以下のごく少人数の参加者が、オンライン上のバーチャルな小部屋において講演者1名とモデレーター1名を囲んで語り合う形式で行われ、参加者は、講演者と非常に近い距離感で言葉を交わすことができました。
グループディスカッションの時間にノーベル賞受賞者のセッションに割り当てられなかった参加者は、テーマごとに設けられたチャットルームにおいて若い研究者にとって共通の課題(キャリアや研究資金、ワークライフバランスなど)について同年代の仲間たちと語り合うことができました。
画像:ウィンター博士のグループディスカッションの様子
ウィンター博士(黄枠内)のグループディスカッション
画像:モーナー博士のグループディスカッションの様子
モーナー博士(中央)のグループディスカッション

参加者による活動

HOPEミーティングの参加者には、会期中、個人としての研究発表とほかの参加者と共同して作り上げるプレゼンテーションの二つのプロジェクトが課せられていました。

ポスター発表

個人の発表としては、研究のポスター発表がありました。ひとりひとりの研究のアブストラクトと、その内容を説明しながら自己紹介を行う1分間の動画は、事前に会議専用WEBサイトに掲載され、参加者は自由に閲覧できました。実際の会期では、参加者のポスター発表用のバーチャルな小部屋がオンライン上に用意され、参加者は割り当てられた発表日に各小部屋で研究発表を行うとともに、それ以外の日は仲間たちの発表に熱心に聞き入ったり、質問したりしていました。参加者による投票に基づく運営委員会の合議審査を経て、優秀なポスター発表を行った参加者6名には「ベストポスター賞」が、さらにベストポスター賞受賞者のうち1名には、運営委員長賞(HOPE賞)が授与されました。
画像:参加者によるポスター発表
参加者によるポスター発表
画像:ポスター賞の受賞者(6名)
ポスター賞の受賞者(6名)

チームプレゼンテーション

仲間との協同作業の場としては、チームプレゼンテーションがありました。時間の限られた会期内に、文化的な背景も専門分野も異なる初対面の10名程度のチームメイトと、しかもバーチャルな空間で、SDGsあるいは新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックの解決のような人類共通の課題に対して科学者としてどのように貢献できるか、課題解決型の発表作品として仕上げ、発表しました。閉会式では、参加者全員の投票結果に基づき、梶田隆章運営委員長より、2つのチームにチームプレゼンテーション賞(ユニーク賞とベスト賞)が贈られました。
画像:ユニーク賞を受賞したチームCのメンバー
ユニーク賞(チームC)
画像:ベスト賞を受賞したチームIのメンバー
ベスト賞(チームI)

研究施設案内・日本文化体験プログラム

参加した各国・地域の若手研究者に日本の研究の粋を実感してもらうため、産業技術総合研究所と理化学研究所による研究施設の案内がありました。本会スタッフによる外国人特別研究員事業の案内も行われ、諸外国の若手研究者が日本で研究を進める道筋やバックアップ体制について説明が行われました。
また、茶道・折り紙・和楽器のコンサートという盛りだくさんの内容を45分に収めた日本文化を体験するプログラムも配信されました。講演とディスカッション続きであった参加者には、実際に手を動かして折り紙を折ったり、和楽器の音色に耳を傾けたりして異文化への理解を深める時間はよい気分転換にもなったようで、好評でした。
画像:茶道の実演
茶道の実演
画像:和楽器のコンサート
和楽器のコンサート