日本学術振興会

FoS Alumni Messages No.23

FoS の思い出

芳村 圭

FoS参加歴:

FoSの良さについて書いてほしいと言われ、ほいほい安請け合いしたものの、バックナンバーを読むとわかるとおり、かたいトーンからやわらかいトーンまで、FoSの良さについてはもうすでに全部書かれていることに気づきました(すでに書かれていることも書かれています)。困った事になったなと思いつつ、ご担当の鬼の催促にこたえるべく、必死にネタを捻り出しているところです。

私は2011年からFoSに関わり始めました。はじめは東京開催JGFoSの参加者で、確か、環境研谷本さん[1](その年のJGFoS PGM主査だった)から、AGU(アメリカ地球物理学連合;年1回サンフランシスコで大きな会合がある)でお会いしたときに、声をかけられたような覚えがあります。もともと合宿大好き、飲み会大好き(得意とは言ってない)な人間ということもあり、1〜2年目は一般参加者、3〜4年目はPGMとして、東京・ポツダム・京都・ブレーメンに参加し、毎回おもろ!となりました。当時のテーマだった標準理論、生命起源、パンデミック、重力波、バイオミネラリゼーション、あやかし、エピゲノム、AI、実験経済学、ジオエンジニアリング、太陽構造等々の本を読み漁ったことは普通に勉強になっただけではなく、研究の売りを他分野に伝えるという点において今の自分の糧になっています。個人的には、いつも特に物理に感銘を受けて帰っていた気がします。私みたいな「ダークエネルギーってなにそれおいしいの」程度の人間でも、なにかわかった気にさせるプレゼン技術はすごいですね。

それで卒業したと思っていたのですが、2019年11月に東京で開催したイギリスとのUK-Japan FoSにPGM主査のお話が来ました。この件についての詳細は感想を含め主査報告書[2]に綴りましたのでここでは割愛しますが、PGMに別FoS経験者を取り揃えたことでしっかりFoSらしいFoSができました。直後に新型コロナ禍があったことを考えると、本当に実施できてよかったなと思います。

さてここで、少しFoSと似て非なる活動について、私の体験をご紹介したいと思います。1つ目は同じJSPSが行っているLEADSNETです。JSPS-LEADSNET事業は、「将来、真にグローバルな視野を持ち、第一線の研究者として我が国の学術研究を牽引する研究者を育成することを目的に、学術振興特別基金により研究交流会を平成28年度より開催している」[3]そうです。より端的にいうと、これからJSPSの海外学振や国際共同研究強化を実施します、というような人のための研究者ネットワーキングを支援してくれる仕組みです。FoSとは違い国内交流がメインですが、参加者の志向的に共通する部分も多く、分野横断なネットワーキングができるところが共通しているなと感じています。私は2016年の第1回に一般参加者として参加し、2025年の第8回には講演者としてご招待いただきました。第1回で生まれた交流は今でも続いていて、それから約10年後のご報告ができたと思うと感慨深いです。こうした支援は若手にとって本当にありがたいですし、励みになりますので、FoSともどもぜひ継続発展させていただいたいと切に願っております。

2つ目は、米国で行われているGordon Research Conference (GRC)です。たまたま2023年に参加できたものですが、こちらもFoSに近いものを感じたのでご紹介します。公式HP[4]によると、「GRCは、生物学、化学、物理学、工学、およびそれらの境界領域における最先端の研究を発表し、議論するための国際的なフォーラムを提供する」とあります。「ゴードン会議 参加」などで検索すると何やら秘密結社めいた記事がヒットします。というのも「未発表の研究内容を発表せよ」「他者の講演内容を口外してはいけない」的なルールがあるからのようなのです。私もそうした記事を見てどきどきしていたのですが、なんのことはない、若手中心の研究ネットワーキングの場だということがわかりました。その設計が特徴的で、ボストンから2時間くらいかけて「なにもないところ」に連れて行かれて1週間寝食をともにすることが強制されるものでした。そう、FoSと同じです。異なるのは、テーマが決まっている点(複数のテーマがボストンに集まるが、テーマごとに大量のバスで別々の会場に連れて行かれる)、米国とそれ以外の国々とのネットワーキングである点などでしょうか。参加者には博士課程学生が多く、彼らにとって非常に良い機会だなと感じました。サッカーもできましたし。

最後に、年寄りじみたことを書いて締めたいと思います。冒頭にも述べたとおり、執筆に際して過去の記事との重複に困っていたのですが、それだけではなく、シンプルに時間が取れないという状況でした。FoSの楽しい思い出が強い2010年代前半と比べると、明らかに自転車操業状態が悪化しています。特にここ数ヶ月は、ここにはとても書けない大事件が巻き起こり、ミセスの「こ・こ・を乗り越えた〜ら、楽になるしかな〜〜〜い」[5]を口ずさみながら一日を乗り切る日が続きました(今もか。。。)。年を取るとはそういうものだと言われればそうなのかもしれないのですが、当時ほど新鮮な気持ちでネットワーキングに没頭できないのは残念な気がします。この記事が読まれる頃には、状況を構造的に好転させて、「そんな時代も〜あ〜ったねと」[6]と笑って話せるようになっていてほしいな、と思います。



[1] 国立環境研究所 谷本 浩志氏
[2] https://warp.ndl.go.jp/web/20221010064153/http://www.jsps.go.jp/j-bilat/fos_juk/data/3rd/3_UK-JapanFoS2019_Report.pdf (国立国会図書館)
[3] https://www.jsps.go.jp/j-donation/leadsnet/index.html
[4] https://www.grc.org/about/ (外部サイト)
[5] Mrs. GREEN APPLEの楽曲「ケセラセラ」の一節。
[6] 中島みゆきの楽曲「時代」の一節。
 
参加したFoSの数々
1)第8回 JGFoS @東京、2)第9回 JGFoS @ドイツ・ポツダム、
3)第10回 JGFoS @京都、4)第11回 JGFoS @ドイツ・ブレーメン、
5)第3回 UK-Japan FoS @東京
の公式集合写真。矢印が著者の位置。
じりじり前に出てこようとしている様子が窺える。