日本学術振興会

産学の“芽”を育てるつながりの場 ―「学術の社会的連携・協力の推進事業」のご紹介【Vol.1】

公開日:2025年7月1日
科研費や特別研究員、学術国際交流事業などと比べると目立つ存在ではないかもしれませんが、日本学術振興会(JSPS)では、昭和8(1933)年から「学術の社会的連携・協力の推進事業」(通称:産学協力事業)を実施しています。

今回、令和8(2026)年度の募集開始にあたり、事業の担当者に、本事業の魅力や応募のポイントなどを聞きました。全2回のシリーズでお届けします。第1回となる今回は、事業の概要をわかりやすくお伝えします。

JSPSの産学協力とは

他の産学連携と何が違うのですか?

産学連携と聞くと、特定の大学と企業による共同研究や省庁が主導する大型プロジェクトを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、JSPSの産学協力事業は少し異なります。

本事業では、応募者が考えたテーマごとに「産学協力委員会」や「萌芽グループ」を設け、産学の研究者が集まって研究発表や議論を重ねることで、社会の新たな価値となるような研究の芽を育てていくことを目的としています。研究そのものの支援ではなく、研究へとつながる出会いや対話の場づくりを支援している点が本事業の最大の特徴です。
産学協力委員会のイメージ画像:7名の男女がデスク周りで立って話し合っているシルエット
産学協力委員会
「産学協力委員会」は、学界と産業界が連携し、新たな研究の方向性を検討するためのフォーラムです。令和7(2025)年度は「産学協力委員会」として、16の委員会が活動しています。
萌芽グループイメージ画像:萌芽とその周りの土を3人の両手が円形に包んでいる
萌芽グループ
「萌芽グループ」は、令和7(2025)年度に新設された区分で、将来的に「産学協力委員会」への発展が期待されています。
参加するのは、多様な大学や企業の研究者です。組織や分野を越えた出会いが生まれるのもこの事業ならではです。経費は、研究費としては使えませんが、会議開催費や交通費などの経費として使える仕組みが整っています。議論や情報交換を通じてより深いネットワーク形成が可能です。

さらに、こうした活動の企画や目的は産学の研究者の“発意”によるボトムアップ型で進められるため、柔軟で創造的な活動の場になっています。

学会とどう違うのですか?

学会の活動が基本的にオープンなのに対し、本事業はクローズドな場で自由な意見交換を行う形式をとっています。参加者は秘密保持に同意したうえで参加しているので、思いついたばかりの新しい発想についても、より率直かつ踏み込んだ討論が可能になります。こうしたクローズドな産学ネットワークは、研究の初期段階でのアイデア共有や、信頼関係に基づく関係構築を後押しし、新たな産学連携の芽を育てる土壌となります。

研究者や企業にとってのメリットは?

本事業では、大学・研究機関と企業が分野や組織の枠を越えて交流し、知見を持ち寄ることで、新たな視点や気づきを得ることができます。研究者にとっては、異分野との対話を通じて自身の研究の可能性を広げる貴重な機会となります。企業にとっても、クローズドな環境で率直な情報交換ができることに加え、アカデミアの動向や新しいアイデアに直接触れる機会が得られます。こうしたネットワークが、将来的な共同研究や新たな連携のきっかけにつながるケースも少なくありません。
産学協力のイメージ画像:スーツの男性の手が握手している
次回は、応募するにはどうすればいいのか、応募のポイントなどについて、具体的に伺っていきます!(2025年7月4日公開予定)
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