日本学術振興会

第15回HOPEミーティング開催報告

日時:2024年2月26日(月)~3月1日(金)
会場:国立京都国際会館(京都府)
対象分野:物理学、化学、生理学・医学及び関連分野 
主催:独立行政法人日本学術振興会
15th HOPE Meeting Group Photo

参加者

アジア・太平洋・アフリカの20か国・地域[※]から102名の博士課程学生・若手研究者が参加しました。

[※] 参加者の推薦国・地域
日本、オーストラリア、バングラデシュ、中国、インド、インドネシア、イスラエル、ケニア、韓国、マレーシア、ネパール、ニュージーランド、フィリピン、セネガル、シンガポール、南アフリカ、台湾、タイ、トルコ、ベトナム

講演・ グループディスカッション

第15回HOPEミーティングは、初めて京都で開催されました。
招待された7名のノーベル賞受賞者のうち3名が海外から来日し、2名は日本国内から、2名がオンラインで会議に参加しました。
それぞれの講演者にはモデレーターがつきました。モデレーターは、参加者と著名な講演者との「橋渡し役」となりました。また、モデレーターは、参加者が講演者のプレゼンテーションをより深く理解できるようサポートし、質疑応答やグループディスカッションの進行役を務めました。

梶田 隆章

J. ゲオルク・ベドノルツ

モーテン・メルダル*

デイヴィッド・W・C・マクミラン

シュテファン・W・ヘル*

大隅 良典

ポール・ナース

オンライン参加の講演者

世界の英知の言葉を聴く ――ノーベル賞受賞者による講演――

会期中、7名のノーベル賞受賞者はそれぞれ1時間の講演(45分の講演と15分の質疑応答)を行いました。どの講演においてもQ&Aセッションでは、若手研究者たちはノーベル賞受賞者に活発に質問を投げかけていました。
Sir Nurse at 15th HOPE Meeting
講演するナース博士
Prof Kajita_15th HOPE Meeting
講演する梶田博士
Prof. Hell_15th HOPE Meeting
講演するヘル博士(オンライン)
Dr. MacMillan_15th HOPE Meeting
講演するマクミラン博士

世界の英知と言葉を交わす ――グループディスカッション――

ノーベル賞受賞者1名を20名程度の若手研究者が囲む45分のグループディスカッションも会期中に5枠が用意され、いずれの参加者もそのうち4枠に参加しました。グループディスカッションでは親密でなごやかな雰囲気の中でノーベル賞受賞者たちの来し方に耳を傾けたり、研究や生活の悩みに励ましの言葉をもらったりすることができました。まだ研究者としてのキャリアの始まりにいる参加者たちには貴重な時間となりました。
Dr. Bednorz_15th HOPE Meeting
グループディスカッションでのベドノルツ博士
Prof. Meldal_15th HOPE Meeting
グループディスカッションでのメルダル博士(オンライン)
Prof. Ohsumi_15th HOPE Meeting
グループディスカッションでの大隅博士
Participans_15th HOPE Meeting
グループディスカッションでの参加者

参加者による活動

HOPEミーティングの参加者には、研究者個人として研究発表を行う「ポスター発表」と多文化・多分野のチームメイトと共同して最終日に「チームプレゼンテーション」を作り上げる2つの活動が課せられていました。

研究発表を行う ――フラッシュトークとポスターセッション――

会期中、参加者の研究ポスターがホールに展示され、3日にわたってポスターセッションが開催されました。参加者は割り当てられた発表日に、まず自分の研究を1分間で説明する「フラッシュトーク」を行い、その後の「ポスターセッション」において自らのポスターの前でじっくり説明しました。専門性の異なる参加者に自らの研究を説明するのは簡単なことではありませんが、若い研究者たちは同年代の仲間たちだけでなくノーベル賞受賞者や運営委員らシニアの研究者に向けても熱心に説明し、参加者も真剣に説明を聞き、質問を投げかけていました。
ポスター賞は、参加者全員による投票結果に基づいて運営委員会が合議審査を行い、選出されました。優秀なポスター発表を行った6名には「ベストポスター賞」が贈られ、さらにベストポスター賞受賞者のうち1名には、「運営委員長賞(HOPE賞)」が授与されました。

運営委員長賞(HOPE賞)
    Gur LUBIN    (Weizmann Institute of Science)

ベストポスター賞
- Jiuyang XU  (China-Japan Friendship Hospital)
- Diah Anggraini WULANDARI  (National Research and Innovation Agency (BRIN) / 九州大学)
- Gur LUBIN  (Weizmann Institute of Science)
- Sopak SUPAKUL  (慶應義塾大学)
- Izabela POREBSKA  (沖縄科学技術大学院大学 (OIST))
- Jesin JAMES  (The University of Auckland)
Poster Session_15th HOPE Meeting
ポスターセッション
Poster session with Dr. MacMillan_15th HOPE Meeting
ポスターセッションでのマクミラン博士
Poster session with Dr Kajita_15th HOPE Meeting
ポスター発表を聞く梶田博士
Poster Awardee_15th HOPE Meeting
ポスター賞受賞者

仲間と発表を作り上げる ――チームプレゼンテーション――

参加者102名は、事務局によりA~Kの11チームに編成され、時間の限られた中、文化的な背景も専門分野も異なる初対面のチームメイトとSDGs(持続可能な開発目標)の達成のような人類共通の課題に対して科学者としてどのように貢献できるか、課題解決型の発表作品として仕上げ、最終日に発表しました。発表を作り上げる過程において「科学研究は、国、地域、性別、専門に関係なく、共通の課題に直面し、関心を共有する研究者間の協力によって発展してきた」という梶田隆章運営委員長の開会式の挨拶の言葉の意味を参加者たちは実感したことでしょう。
閉会式では、参加者全員の投票結果に基づき梶田委員長より2つのチームにチームプレゼンテーション賞(ユニーク賞とベスト賞)が贈られました。
Prepare Team Presentation_15th HOPE Meeting
チームごとに課題に取り組む参加者
Team Presentation_15th HOPE Meeting
チームプレゼンテーション
Best Presentation_15th HOPE Meeting
ベスト賞のチームA(チームプレゼンテーション)
Unique Presentation_15th HOPE Meeting
ユニーク賞のチームK(チームプレゼンテーション)

日本の研究施設を知る ――研究施設見学――

参加した各国・地域の若手研究者に日本の研究の粋(すい)を感じてもらうため、プログラムには京都に所在する研究施設への訪問の時間が設けられていました。参加者は3つのグループに分かれ、それぞれ日本を代表する研究機関である京都大学iPS細胞研究所(CiRA)京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)総合地球環境学研究所(RIHN)を訪れ、研究者から説明を聞いたり、研究設備や研究室を見学したりしました。
RIHN_15th HOPE Meeting
総合地球環境学研究所(RIHN)
Lab tour_15th HOPE Meeting
京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)
上記の3つの機関だけでなく、グループディスカッションの時間には、理化学研究所(RIKEN)産業技術総合研究所(AIST)のスタッフによるオンラインでの研究施設の案内がありました。また学術振興会スタッフによる外国人特別研究員事業の紹介もあり、諸外国の若手研究者が日本で研究を進める道筋やバックアップ体制について説明が行われました。

大臣による開会挨拶とレセプション

開会式には、文部科学大臣からのビデオ挨拶がありました。
会議初日の夜にはレセプションが開かれ、参加者の国の大使館関係者や過去のHOPEミーティングに参加した卒業生が訪れました。
 

日本の文化を知る ――コンサート・日本文化体験プログラム――

会期中には日本文化に触れるプログラムも行われました。
2月26日のレセプションでは和太鼓の演奏がありました。
また、2月29日には、日本文化体験プログラムが行われました。全員で雅楽の演奏を鑑賞した後、参加者の希望に基づいて座禅・茶道・匂い袋作成の3つのプログラムに分かれ、実際に体や手を動かして日本の伝統文化を体験しました。
最終日には鹿苑寺(金閣)・仁和寺・北野天満宮へのエクスカーションも行われました。
Drum Concert_15th HOPE Meeting
和太鼓の演奏
Zen Meditation_15th HOPE Meeting
日本文化体験(座禅)
Cultural Program_15th HOPE Meeting
日本文化体験(匂い袋)
Excursion_15th HOPE Meeting
エクスカーション(鹿苑寺)