先端科学シンポジウム

FoS Alumni Messages No.3

「FoSに恋して」

佐藤 嘉倫

東北大学
大学院文学研究科 教授

FoS参加歴:

5th JAFoSPGM/チェア
6th JAFoSPGM
1st, 2nd JGFoS   PGM
FoS事業委員会 専門委員(JGFoS 担当)

私のFoS体験は、第5回JAFoS(PGM/チェア)、第6回JAFoS(PGM)、第1回・第2回JGFoS(PGM)である。4回も参加してすっかりFoSの魅力に憑りつかれたので、現在は専門委員を務めている。FoSの魅力は何といっても国境を越えて異分野の研究者と交流できることである。社会科学を含めたさまざまな科学の分野の第一線で研究している人々のホットな研究成果を分かりやすい形で解説してもらい、さらにはそういう人々と直接に議論できるという場はFoS以外に考えつかない。しかも合宿形式なので、セッション後にも十分な議論の時間がある。FoSに参加する度に脳がオーバーヒートしてしまうほどの知的興奮を得ている。あえて言えば、私は「FoS中毒者」である。

何よりも報告される研究成果がめちゃくちゃ面白い。たとえば、今年11月に京都で開催された第10回JGFoSでは、分子の動く様子をイメージングするというセッションがあった。それがなんの役に立つかはどうでもよく、分子が人間やロボットのように動くのを見られること自体が面白く、また発表者がそのことを楽しそうに報告していたことも印象的だった。「研究って面白いな、研究者になって良かったな」と思えるセッションだった。私は社会学者なので、FoSで得られた自然科学の知識が直接的に自分の研究に役立つわけではない。しかし議論の進め方や推論の仕方、プレゼンテーションの手法などは、自分の研究にとても参考になっている。またFoSを通じて得られた人脈は、社会学者の世界だけに留まっていては決して得られないものであり、世界の第一線で活躍する人々と接することは私にとって大いに知的な刺激になっている。

ただしPGMとして苦労もあった。第5回JAFoSでは社会科学のセッションがJAFoSの中に初めて設けられたし、第1回JGFoSはJGFoSそのものの立ち上げだった。このため、他のPGMの助けを借りながら、またアメリカ側・ドイツ側のPGMと議論を重ねながら、五里霧中の中で社会科学セッションを作り上げていった。このために時間とエネルギーをかなり使ったが、この経験は後で21世紀COEプログラムやグローバルCOEプログラムで国際的な研究教育拠点を一から作り上げるのにとても役立った。

このような経験をさせてくれた日本学術振興会(JSPS)にはたいへん感謝している。米国の科学アカデミーやドイツのフンボルト財団と対等の立場でFoSを運営できるのは、日本最大の学術振興機関であるJSPSしかない。また若手研究者に関する情報を把握しているのもJSPSの強みである。社会科学PGMとしては、社会科学全般から卓越した若手研究者を探すのに苦労した。しかしJSPSのサポートによりFoSに適した人々を見つけることができた。

現在はFoS専門委員として主にJGFoSのお手伝いをしている。先に述べたように、FoSの魅力は、国境を越えて異分野の研究者と丁々発止の議論を集中的にできることである。これは通常の学会では経験できないことである。FoSに参加する度に、年齢を詐称して議論に飛び込みたくなる衝動を抑えるのに一苦労するほどである。(何年か前のJGFoSで実際に議論に飛び込んで、後で担当課長に注意されたのもいい思い出である。)FoSは、自分の狭い専門分野を飛び出して、科学の大海に飛び込むための良い機会を与えてくれる。腕に覚えのある若手研究者にはぜひ参加してほしい。


 

第10回JGFoSにてディスカッションに聞き入る佐藤委員
(写真手前真ん中)

 

第1回JGFoSにて発言する佐藤PGM(当時)