日本学術振興会賞

第8回(平成23年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第8回(平成23年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_熊谷 隆
熊谷 隆
(クマガイ タカシ)
KUMAGAI Takashi



生年 1967年 出身地 山口県
現職 京都大学数理解析研究所 教授
(Professor, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
専門分野 確率論
略歴
1989年 京都大学理学部卒
1991年 京都大学大学院理学研究科修士課程修了
1991年 大阪大学理学部助手
1994年 博士(理学)の学位取得(京都大学)
1995年 名古屋大学大学院多元数理科学研究科助教授
1998年 京都大学大学院情報学研究科助教授
2001年 京都大学数理解析研究所助教授
2007年 京都大学大学院理学研究科教授
2010年 京都大学数理解析研究所教授(現在に至る)

授賞理由
「複雑な系の上の解析学と確率過程論の展開」
(Analysis and Theory of Stochastic Processes on Disordered Media)
 フラクタル(一例として、図形の部分と全体が自己相似になっているものなどを指す幾何学における概念)は、高分子やネットワーク、結晶成長を典型例とする複雑な系の、自己相似性をもつ数学的モデルとして広く用いられる。
 熊谷隆氏は、フラクタル図形上の確率過程の基礎理論の構築に貢献し、この若い分野の発展を国際的に主導してきた。特に、通常のブラウン運動とは異なる、劣拡散的な拡散過程を制御する因子を解析し一般的枠組みで精密な評価を与えたことは、同氏の大きな業績である。更に、20年以上にわたって未解決であった、シェルピンスキーのカーペット上のブラウン運動の一意性予想を、2010年の共著論文で肯定的に解決するなど、近年もますます精力的に、顕著な結果を出し続けている。より一般の複雑な系の上の大域解析についても、多彩な研究実績を挙げており、ランダム媒質上の熱伝導に関する予想をいくつかのモデルで肯定的に解決するなど、広い見識をもって、この分野を牽引している。
 今後、熊谷氏は世界的な研究者として、関連分野において更なる活躍が期待される。

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