日本学術振興会賞

過去の受賞者について

第7回(平成22年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_伊藤 政博
伊藤 政博
(イトウ マサヒロ)
ITO Masahiro



生年 1965年 出身地 千葉県
現職 東洋大学生命科学部 教授
(Professor, Faculty of Life Sciences, Toyo University)
専門分野 極限環境生命科学、微生物生理学
略歴
1989年 立教大学理学部卒
1991年 東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了
1994年 東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了
1994年 博士(工学)の学位取得(東京工業大学)
1994年 マウントサイナイ医科大学生化学部博士研究員
1997年 東洋大学生命科学部講師
2001年 東洋大学生命科学部助教授
2008年 東洋大学生命科学部准教授
2009年 東洋大学生命科学部教授(現在に至る)

授賞理由
「ハイブリッド型細菌べん毛モーターに関する研究」
(Properties of Bacterial Flagellar Motor Powered by Hybrid Stators)
 細菌のべん毛は、細胞膜内部に軸受け部が存在し、回転運動が可能なモーター構造となっている。べん毛の直径はおよそ50nmときわめて小さな分子機械であるが、1分間に2万回転できる優れたナノマシンである。伊藤政博氏は、べん毛モーターの駆動力に関して先駆的な研究を行っている。
 一般に細菌のべん毛モーターは、細胞内外の水素イオン濃度差をエネルギー源としている。同氏は、水素イオン濃度が極めて低い環境に棲息する好アルカリ性細菌のべん毛モーターの駆動力装置であるナトリウム駆動型固定子を発見した。その後、伊藤氏は、ある種の好アルカリ性細菌のモーターは、水素イオン駆動型固定子をもつにもかかわらず、環境pHに応答して、水素イオン駆動型からナトリウムイオン駆動型に切り替える能力をもつハイブリッドモーターであることを世界で初めて発見した。これは、単一イオンにのみ応答すると信じられてきたべん毛モーターに関するこれまでの常識を覆す驚くべき発見である。
 これらの成果は、モーターの動作原理の研究に資するだけでなく、細胞におけるイオン選択透過分子機構の研究、さらには環境適応進化の分野やナノテクノロジー分野へも貢献が期待できる波及効果の大きなものである。

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