日本学術振興会賞

過去の受賞者について

第6回(平成21年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_樫永 真佐夫
樫永 真佐夫
(カシナガ マサオ)
KASHINAGA Masao



生年 1971年 出身地 兵庫県
現職 人間文化研究機構国立民族学博物館 准教授
(Associate Professor, National Institutes for the Humanities, National Museum of Ethnology)
専門分野 東南アジア民族学
略歴
1994年 早稲田大学第一文学部卒
1997年 東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了
1997年 日本学術振興会特別研究員-DC
2001年 東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位修得退学
2001年 国立民族学博物館助手
2006年 博士(学術)の学位取得(東京大学)
2007年 人間文化研究機構国立民族学博物館助教
2008年 人間文化研究機構国立民族学博物館准教授
  (現在に至る)

授賞理由
「黒タイ文化の継承に関する研究」
(A Study on the Transmission of the Tai Dam Culture)
 樫永真佐夫氏は、従来政治的な事情から立ち遅れてきたベトナムの少数民族の研究に先駆的に取り組み、現地調査と文書分析とを結合させた独自の方法に基づく研究を推進した。特に、ベトナム西北地方のタイ系言語集団の一つである黒タイの旧首領一族を中心に継承されてきた家霊簿(祖先祭祀文書)について、はじめて詳細な実証的分析を行った。
 同氏は、家霊簿の形式、内容、および祭祀の中でのその実際の用法を調査して、黒タイ社会の文字史料を民族学的、歴史的文脈の中で考察した。その結果、黒タイの親族結合が、通説的に考えられていたような、祖先を起点として系譜関係をとらえる中国型父系親族結合とは異なり、自己を中心に近くから遠くへと祖先を遡る形式で親族関係を把握する父方キンドレッド結合であることを解明し、また、黒タイの文字文化のステイタスシンボルとしての機能についても、新たな指摘を行った。
 同氏の業績は、日、英、仏語のほか、ベトナム語や黒タイ語をも含む複数の言語によって公表され、ベトナムの研究者にも大きな刺激を与えている。多言語による国際学術交流の貴重な実践例でもある同研究の、更なる発展が期待される。

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