日本学術振興会賞

第13回(平成28年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第13回(平成28年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_伏信 進矢
伏信 進矢
(フシノブ シンヤ)
FUSHINOBU Shin-ya



生年 1971年 出身地 広島県
現職 東京大学大学院農学生命科学研究科 教授
(Professor, Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo)
専門分野 酵素学
略歴

1994年
1996年
1997年
1997年
1999年
2007年
2011年
2012年

東京大学農学部卒
東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了
東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得退学
東京大学大学院農学生命科学研究科助手
博士(農学)の学位取得(東京大学)
東京大学大学院農学生命科学研究科助教
東京大学大学院農学生命科学研究科准教授
東京大学大学院農学生命科学研究科教授(現在に至る)

授賞理由
「糖質と糖リン酸に関わる代謝酵素の構造基盤と分子進化の解明」
(Structural Bases and Molecular Evolution of Metabolic Enzymes Acting on Sugars and Sugar Phosphates)

  糖および糖リン酸はすべての生物のエネルギー代謝や同化代謝に関わるだけでなく、その基本単位となる単糖の種類や組み合わせによって無限ともいえる構造的多様性をもたらし、生体調節機能、生体の分子認識、構造維持、エネルギー貯蔵など、生命現象の様々な局面で重要な役割を果たしている。膨大な種類の糖分子群に対応するため多様な酵素(糖質関連酵素)が存在するが、その系統進化に関しては多くの不明な点が残されていた。
  伏信進矢氏はその卓越したX線結晶構造解析技術を十分に生かし、原始の生命体に近い超好熱菌のもつ糖代謝酵素の精密構造解析と反応解析を行うことによって、一つの触媒ドメインで二つの全く異なる反応を触媒する酵素の機構を明らかにした。この結果は、生命進化の初期においては二機能酵素を利用したシンプルな糖生合成系をもっていたことを示唆する。この発見は酵素機能進化学のみならず代謝進化学にもきわめて大きなインパクトを与えた。
  また、伏信氏は乳幼児腸内に生息するビフィズス菌がもつ母乳オリゴ糖分解酵素群の構造を解明することによって、宿主であるヒトとの共進化により出現した比較的新しい酵素の進化の過程を明らかにすることに成功した。この結果は、ヒト腸内細菌と食品の関係を原子レベルで明らかにするもので、産業面に与えるインパクトも大きい。さらに伏信氏は、膨大な数が存在する糖質関連酵素群に対して、立体構造の系統進化的関連に関する俯瞰的研究を行った。それによって、欧米主導であった同酵素群の系統学に根本的改革をもたらし、酵素データベースを再構築することによって、次世代の応用糖質研究開発に大きな影響を与えた。

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