日本学術振興会賞

第13回(平成28年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第13回(平成28年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_勝間 進
勝間 進
(カツマ ススム)
KATSUMA Susumu



生年 1973年 出身地 大阪府
現職 東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授
(Associate Professor, Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo)
専門分野 昆虫分子生物学・昆虫ウイルス学
略歴

1995年
1997年
1997年
2003年
2003年
2003年
2005年
2007年

東京大学農学部卒
東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了
日本新薬株式会社東部創薬研究所研究員
東京大学リサーチフェロー(農学生命科学研究科非常勤職員)
博士(農学)の学位取得(東京大学)
京都大学化学研究所バイオインフォマティクスセンター特任助手
東京大学大学院農学生命科学研究科生産・環境生物学専攻助教授
東京大学大学院農学生命科学研究科生産・環境生物学専攻准教授(現在に至る)

授賞理由
「小分子RNAを介したカイコの性決定機構に関する研究」
(Studies on Small RNA-based Sex Determination Mechanism in Silkworms)

  有性生殖する生物の多くでは雌雄の性決定に性染色体が関与している。大きく分けると雄へテロ型(XX♀;XY♂)と雌ヘテロ型(ZW♀;ZZ♂)である。カイコは雌ヘテロ型であり、雌決定遺伝子がW染色体上に存在することが、今から100年前に田中義麿博士によって報告された。しかし、性決定因子の実体はこれまで不明であった。
  勝間進氏は、W染色体から発現する小分子RNA(piRNA)がZ染色体上の雄化遺伝子の転写産物の切断に関与し、カイコが雌となることを証明した。すなわち、カイコにおける性決定が僅か29塩基の小分子RNAによって行われるという機構を明らかにし、100年にわたる謎を解くことに成功した。この「小分子RNAが性を決める」という発見は、これまで免疫システムと見なされてきたpiRNAの全く新しい機能の発見であり、生物学の常識を打ち破るものである。また、その研究過程で、piRNA生合成経路を完全に保持する培養細胞を用いた実験手法を確立し、世界の研究者によるpiRNA研究を可能にしたことも特筆すべき成果である。
  勝間氏の独創的な研究は、カイコをモデルとした昆虫科学の発展にとどまらず、生命科学にとって重要である。さらに、昆虫の性を操作できる技術は養蚕業への貢献はもとより、害虫の遺伝的防除の新規手法開発につながることが期待され、産業的にも価値が高い。

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