日本学術振興会賞

第12回(平成27年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第12回(平成27年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_池上 弘樹
池上 弘樹
(イケガミ ヒロキ)
IKEGAMI Hiroki



生年 1972年 出身地 福井県
現職 理化学研究所創発物性科学研究センター 専任研究員
(Senior Research Scientist, The Center for Emergent Matter Science, RIKEN)
専門分野 低温物理学
略歴

1995年
1997年
1999年
1999年
1999年
2001年
2001年
2004年
2007年
2015年

東京大学工学部卒
東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
東京大学大学院工学系研究科博士課程退学
日本学術振興会特別研究員-DC
東京大学大学院総合文化研究科助手
博士(工学)の学位取得(東京大学)
理化学研究所研究員
科学技術振興機構さきがけ研究員兼務
理化学研究所専任研究員
理化学研究所創発物性科学研究センター専任研究員(現在に至る)

授賞理由
「カイラル超流動ヘリウム3における時間反転対称性の破れの直接的検証」
(Direct Demonstration of Time-Reversal Symmetry Breaking in Chiral Superfluid 3He)

  ヘリウムのフェルミオン同位体であるヘリウム3(3He)液体が示す超流動状態はユニークな性質を持ち、通常の超伝導や超流動で起きるゲージ対称性の破れに加え、軌道およびスピン空間の回転対称性や時間反転対称性などの複数の対称性が同時に破れる。このため、南部陽一郎氏が提案した「対称性の自発的破れ」を、最も純粋かつ多様な形で発現できるモデル物質として期待されてきた。特にA相と呼ばれる超流動相では、時間反転対称性が破れると考えられ、その検証が待たれてきた。しかし、超流動の発見から40年を経ても、その直接的検証は未解決のまま残されていた。
  池上弘樹氏は、自身が考案したユニークな実験手法により、ヘリウム3-A相における時間反転対称性の破れを直接観測することに成功した。池上氏はA相の自由表面直下に形成した電子の「泡」の輸送現象を測定、固有マグナス力と呼ばれる現象を観測することにより、A相での時間反転対称性の破れを直接検証した。これは、現代物理学におけるマイルストーンである「対称性の自発的破れ」概念に大きな深化をもたらす、画期的成果である。素粒子・宇宙物理学との接点も含めて、今後も、大きな進展が期待される。

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