日本学術振興会賞

第12回(平成27年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第12回(平成27年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_小山 弓弦葉
小山 弓弦葉
(オヤマ ユヅルハ)
OYAMA Yuzuruha



生年 1971年 出身地 福井県
現職 国立文化財機構 東京国立博物館学芸研究部 工芸室長
(Senior Manager of Decorative Arts, Curatorial Research Department, Tokyo National Museum, Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage)
専門分野 日本美術史
略歴

1994年
1995年
2002年
2003年
2007年
2007年
2011年
2014年
2015年

お茶の水女子大学文教育学部卒
奈良県立美術館学芸員
国立博物館東京国立博物館研究員
東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了
国立文化財機構東京国立博物館主任研究員
博士(文学)の学位取得(東京大学)
国立文化財機構東京国立博物館学芸企画部教育普及室長
国立文化財機構東京国立博物館学芸研究部工芸室長(現在に至る)

授賞理由
「『辻が花』の誕生──〈ことば〉と〈染織技法〉をめぐる文化資源学」
(Cultural Resources Study Perspective on Antique Textile Called ‘Tsujiga-Hana’)

  小山弓弦葉氏の研究は、従来「縫い締め絞りの模様染」として理解されてきた染織技法「辻が花」が、もともとの中世史料の言説にはないという研究史上の矛盾に取り組むところから始まっている。小山氏は、「美術史」や「風俗史」などによる先行研究を踏まえつつ、伝存品、絵画、文字資料といった多様な資料体を体系的に分析して、本技法にまつわる伝承を多方向から捉えることにより、中世以降、「辻が花」の語義が変遷し、神話化していった過程を実証的に明らかにして、日本の染織史研究を一新した。
  本研究は、作者や作品だけではなく、文化事象とそれをめぐる言説が生み出された時代の文化状況を総合的に解明するという文化資源学的アプローチの有効性を例証するとともに、「辻が花」の伝承が、パトロンや消費者、さらにはコレクションといった美術市場や出版業界など社会的、文化的背景のなかで成立していった過程をいきいきと浮かび上がらせていて、染織分野に留まらず、より広い工芸史、美術史研究に新しい手法と視点を提示するという貢献もなしている。

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