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独立行政法人 日本学術振興会
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科研費により支援する学術研究では、毎年度、数多くの優れた研究成果が生み出されています。文部科学省及び日本学術振興会では、四半期毎に「科研費NEWS」を発行し、「最近のユニークな研究成果の例」として、科研費による研究成果の一部をご紹介しています。
このコーナーでは、過去に「科研費NEWS」で掲載された「最近のユニークな研究成果の例」を分野毎に紹介しています。
■生物系(生物学)
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ピロリ菌が作る蛋白質(CagA)が胃癌を惹き起こすメカニズムを発見北海道大学遺伝子病制御研究所教授 畠山 昌則 |
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【研究の背景】 ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は1983年に発見されたヒトの胃に棲み着く細菌で(図1)、慢性胃炎や潰瘍の主たる原因であることが既に明らかにされています。 【研究の成果】 私たちは、ピロリ菌が自ら産生する蛋白質(CagA)を直接ヒトの胃の細胞の中に注射するというユニークな現象に着目しました(図1、2)。 【今後の展望】 この研究により、ピロリ菌の作るCagAが「細菌性癌蛋白質」という、これまでにない全く新たなカテゴリーの発癌蛋白質であることが明らかになりました。また、CagAの細胞内標的として同定されたPAR1ならびにSHP-2は、胃癌の予防・治療につながる新たな分子標的としてきわめて重要な意義を有することがわかりました。 【活用された科研費】平成17―20年 特定領域研究「ヘリコバクター・ピロリ感染を基盤とする胃がん発症機構とその制御」 |
![]() 図1 胃の細胞に感染しているピロリ菌の電子顕微鏡写真 ![]() 図2 ピロリ菌CagAによる細胞内シグナル伝達機構の撹乱 ![]() 図3 ピロリ菌CagA蛋白質による癌の発症 |
※所属・職名は執筆時のものです。