お問い合わせ先
独立行政法人 日本学術振興会 国際事業部
(ブラジル)研究協力第一課
TEL03-3263-1826,1697
(インド、韓国)研究協力第二課
TEL03-3263-1755
(共通)
〒102-0083
東京都千代田区麹町5-3-1
FAX03-3234-3700
MAILasia_seminar*jsps.go.jp
(注)メールアドレスは、「@」を「*」に置換しています。
セミナー名 | (和文)JASS'03- 生命科学のフロンティアを切り拓く核磁気共鳴 (英文)JASS'03- Winter School on NMR Spectroscopy at the Frontier of Progress in the Life Sciences |
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セミナーの目的 | 核磁気共鳴(NMR)はX線とともに分子の精密構造決定法として重要な役割を果たしている。NMRは世界的に急速に発展し、現在脚光を浴びている構造ゲノム科学においてもその力は如何なく発揮されている。NMRは構造と機能の関係を明らかにできるところに特徴があり、今後の生命科学のフロンティア開拓に重要な貢献をすることが期待されている。しかし、装置が高価なため、アジアにおけるこの分野の研究は大きく立ち遅れていた。近年、アジアの経済力が急速に向上するに伴い、アジア各国におけるNMR装置の導入が急速に進みつつある。そのような状況の中で、NMRを利用した研究を担う若手研究者の経験と知識が乏しく、導入された装置を十分に生かせる準備ができていないことが大きな問題となっている。アジアにおける生命科学へのNMR基盤を早急に充実させるためには、若手研究者が世界におけるNMR技術の最先端の研究に接し、その知識と技術を身につけるとともに、研究者間の人的交流網を持つことが必要とされている。 本セミナーでは、NMRの最先端の方法を取り上げて本分野をリードするトップレベルの講師陣による講義と、最高水準のNMR装置を用いた実習によりアジアの若手研究者を教育することにより、アジアにおける生体系NMR研究の全体的レベルを引き上げ、飛躍につなげることを目的とする。 |
開催期間 | 平成16年1月19日 ~ 平成16年1月31日 13日間 |
午前 9:00 - 11:30 |
午後 13:00 - 15:30 |
夕方 講義16:00 - 18:30 |
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1月19日 (月) |
登 録 13:00開始 |
歓迎レセプション 19:00-21:00 |
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1月20日 (火) |
開校式 学振、Govil 阿久津 |
基礎コース1 白川・伊藤・山崎 |
基礎コース2 白川・伊藤・山崎 |
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1月21日 (水) |
固体NMRの基礎 藤原・竹腰 |
ポスターセッション プレビュー |
ポスター セッション |
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1月22日 (木) |
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1月23日 (金) |
蛋白質のNMR・X線 伊倉光彦 |
Spring8見学 | Spring8見学 | ||||||
1月24日 (土) |
核酸関連のNMR K. V. R. Chary |
Peptides/Large Proteins K.-H. Han/D. Yang |
LP/Metabonomics D. Yang/G. Govil |
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1月25日 (日) |
日本の文化を学ぶ 京都・奈良 |
日本の文化を学ぶ 京都・奈良 |
日本の文化を学ぶ 京都・奈良 |
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1月26日 (月) |
CREST シンポ |
CREST シンポ |
CREST シンポ |
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1月27日 (火) |
CREST シンポ |
CREST シンポ |
CREST シンポ |
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1月28日 (水) |
部分配向構造情報 Ad Bax |
構造決定の基礎理論 Christian Griesinger |
固体NMR構造決定 Robert G. Griffin |
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1月29日 (木) |
NMR Parameterの利用 John Markley |
構造決定アルゴリズム Peter Guentert |
超分子系相互作用 嶋田一夫 |
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1月30日 (金) |
閉校式(29日夜に移動) 甲斐荘正恒 |
横浜へ移動 (希望者) |
理研・横市大見学 (希望者) |
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1月31日 (土) |
理研・横市大見学 (希望者) |
大阪に移動 (希望者) |
解散 |
CRESTシンポ 生体系NMRのフロンティアについての国際シンポジウム
開催地(会場) | 大阪大学蛋白質研究所 |
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セミナー責任者 | 所属機関・職:大阪大学蛋白質研究所・教授 氏名:阿久津秀雄 組織委員会:阿久津秀雄(委員長・阪大)、甲斐荘正恒(都立大)、嶋田一夫(東大・産総研)、 白川昌宏(横浜市大)、横山茂之(東大・理研)、Girjesh Govil (TATA Inst) |
[参加者・内容について]
参加者について
(1)参加者数
講師数 | 受講者数 | 合計 | |
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日本からの参加者 | 20 | 16 | 36 |
外国からの参加者 | 13 | 35 | 48 |
合計 | 33 | 51 | 84 |
(2)講師について
姓 | 名 | 職名 | 所属機関 | 国名 | 備考 |
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(日本側講師) | |||||
阿久津 | 秀雄 | 教授 | 大阪大学蛋白質研究所 | 日本 | |
池上 | 貴久 | 助教授 | 大阪大学蛋白質研究所 | 日本 | |
伊藤 | 隆 | 研究員 | 理化学研究所 | 日本 | |
稲垣 | 冬彦 | 教授 | 北海道大学大学院薬学研究科 | 日本 | |
大久保 | 忠恭 | 助教授 | 大阪大学大学院薬学研究科 | 日本 | |
甲斐荘 | 正恒 | 教授 | 東京都立大学大学院理学研究科 | 日本 | |
片平 | 正人 | 助教授 | 横浜国立大学大学院環境情報研究院 | 日本 | |
神田 | 大輔 | 教授 | 九州大学生体防御医学研究所 | 日本 | |
小林 | 祐次 | 教授 | 大阪大学大学院薬学研究科 | 日本 | |
嶋田 | 一夫 | 教授 | 東京大学大学院薬学系研究科 | 日本 | |
白川 | 昌宏 | 教授 | 横浜市立大学大学院総合理学研究科 | 日本 | |
竹腰 | 清乃理 | 助教授 | 京都大学大学院理学研究科 | 日本 | |
楯 | 真一 | 主任研究員 | 生物分子工学研究所 | 日本 | |
西村 | 善文 | 教授 | 横浜市立大学大学院総合理学研究科 | 日本 | |
藤原 | 敏道 | 助教授 | 大阪大学蛋白質研究所 | 日本 | |
森川 | 耿右 | 副所長 | 生物分子工学研究所 | 日本 | |
八木 | 宏昌 | 助手 | 大阪大学蛋白質研究所 | 日本 | |
山崎 | 俊夫 | 主任研究員 | 理化学研究所 | 日本 | |
横山 | 茂之 | 教授 | 東京大学大学院理学研究科 | 日本 | |
Guentert | Peter | 主任研究員 | 理化学研究所 | 日本 | |
(外国側講師) | |||||
Bax | Ad | 主任研究員 | National Institute of Health | アメリカ | |
Chary | Kandala V. R. | 教授 | TATA Institute of Fundamental Research | インド | |
Yang | Daiwen | 教授 | National University of Singapore | シンガポール | |
Govil | Girjesh | 教授 | TATA Institute | インド | |
Griesinger | Christian | 主任研究員 | Max Plank Institute | ドイツ | |
Griffin | Robert | 教授 | Massachusetts Institute of Technology | アメリカ | |
Han | Kyou-Hoon | 主任研究員 | Korean Research Institute of Bioscience and Biotechnology | 韓国 | |
伊 倉 | 光 彦 | 教授 | Toronto University | カナダ | |
Lee | Bong-Jin | 教授 | Seoul National University | 韓国 | |
Markley | John | 教授 | University of Wisconsin | アメリカ | |
Opella | Stanley | 教授 | University of California, San Diego | アメリカ | |
Rueterjans | Heinz | 教授 | University of Frankfurt | ドイツ | |
Wright | Peter | 主任研究員 | Scripps Institute | アメリカ |
(3)受講者について 受講者の募集・選考方法
姓 | 名 | 職名 | 所属機関 | 国名 | 備考 |
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(日本側受講者) | |||||
笹 川 | 拡 明 | 研究員 | 名古屋市立大学 | 日本 | |
野 村 | 誠 | 大学院 (博士課程)生 |
奈良先端科学技術大学院大学 | 日本 | |
塩 沢 | 久美子 | 大学院 (博士課程)生 |
横浜市立大学大学院総合理学研究科 | 日本 | |
小 林 | 将 俊 | 研究員 | 大阪大学蛋白質研究所 | 日本 | |
上 田 | 卓 見 | 大学院 (博士課程)生 |
東京大学大学院薬学系研究科 | 日本 | |
竹 内 | 恒 | 大学院 (博士課程)生 |
東京大学大学院薬学系研究科 | 日本 | |
北 原 | 亮 | 研究員 | 理化学研究所播磨研究所 | 日本 | |
帯 田 | 孝 行 | 研究員 | 九州大学生体防御医学研究所 | 日本 | |
虎 谷 | 秀 一 | 大学院 (博士課程)生 |
横浜国立大学大学院工学研究院 | 日本 | |
岩 谷 | 奈央子 | 大学院 (博士課程)生 |
横浜市立大学大学院総合理学研究科 | 日本 | |
Niraula | Tara Nath | 研究員 | 大阪大学・Tribhuvan University | 日本 (ネパール) |
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Gaikwad | Jyoti | 研究員 | 近畿大学 | 日本 (インド) |
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Lassalle | M.Wolfgang | 研究員 | 理化学研究所播磨研究所 | 日本 (ドイツ) |
自費参加 |
Lopez Mendez | Blanca | 研究員 | 理化学研究所 | 日本 (スペイン) |
自費参加 |
Asakura | Katsuo | 研究員 | 日本電子株式会社 | 日本 | 自費参加 |
Oka | Shinichiro | 大学院 (博士課程)生 |
大阪大学 | 日本 | 自費参加 |
(外国側受講者) | |||||
Lee | Si Hyung | 研究員 | Korea Research Institute of Bioscience and Technology | 韓国 | |
Cho | Jee-Hyun | 研究員 | Korea Basic Sciencce Institute | 韓国 | |
Park | Chin-Ju | 大学院 (博士課程)生 |
Korea Advanced Institute of Science and Technology | 韓国 | |
Son | Woo-Sung | 大学院 (博士課程)生 |
Seoul National University | 韓国 | |
Jung | Jin-Won | 大学院 (博士課程)生 |
Yonsei University | 韓国 | |
Hong | Jong-Hui | 大学院 (博士課程)生 |
Korea Institute of Science and Technology | 韓国 | |
Lee | Hyeong Ju | 大学院 (博士課程)生 |
Pohang University of Science and Technology | 韓国 | |
Lee | Chul Won | 大学院 (博士課程)生 |
Kwangju Institute of Science and Technology | 韓国 | |
Lee | Kyungik | 大学院 (博士課程)生 |
Konkuk University | 韓国 | |
Park | Jae-Joon | 大学院 (博士課程)生 |
Hankuk University of Foreign Studies | 韓国 | |
Dayrit | Fabian | 教授 | Ateneo de Manila University | フィリピン | |
Shah | Buddha Ram | 研究員 | Royal Nepal Academy of Science and Technology | ネパール | |
Huang | Jin | 大学院 (博士課程)生 |
Nanjing Unversity | 中国 | |
Yan | Yong-Bin | 助教授 | Tsinghua University | 中国 | |
Xu | Tingqi | 助教授 | University of Science and Technology of China | 中国 | |
Wang | Xiu he | 助手 | The First Affiliated Hospital of Jinan University | 中国 | |
Lin | Zhi | 大学院 (博士課程)生 |
National University of Singapore | シンガポール (中国) |
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Liu | Yang | 大学院 (博士課程)生 |
National University of Singapore | シンガポール (中国) |
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Chan | Siew Leong | 大学院 (博士課程)生 |
National University of Singapore | シンガポール (マレーシア) |
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Thanh | Thi Thu Thuy | 研究員 | National Center for Natural Science and Technology of Vietnam | ベトナム | |
Nguyen | Tien Tai | 研究員 | National Center for Natural Science and Technology of Vietnam | ベトナム | |
Gupta | Veer Bala | 大学院 (博士課程)生 |
Central Food Technological Research Institute | インド | |
Aravindakumar | C.T-pillai | 研究員 | Mahatma Gandhi University | インド | |
Kumar | Ashutosh | 大学院 (博士課程)生 |
TATA Institute of Fundamental Research | インド | |
Mukherjee | Sulakshana | 大学院 (博士課程)生 |
TATA Institute of Fundamental Research | インド | |
Ghosh | Kallol Kumar | 研究員 | Ravishankar Shukla University | インド | |
Bhatti | Aamer Saeed | 助教授 | Quaid-i-Azam University | パキスタン | |
Shafiq | Zahid | 大学院 (博士課程)生 |
Bahauddin Zakariya University | パキスタン | |
Chang | Chi-Fon | 研究員 | Academia Sinica | 台湾 | IUPAB |
Wu | Wen-Jin | 研究員 | Academia Sinica | 台湾 | IUPAB |
Sue | Shih-Che | 研究員 | Institute of Biomedical Science | 台湾 | IUPAB |
Tjong | Siu Cin | 大学院 (博士課程)生 |
National Tsing Hua University | 台湾 | IUPAB |
Lou | Yuan-Chao | 研究員 | Academia Sinica | 台湾 | IUPAB |
Lin | Yi-Jan | 研究員 | Academia Sinica | 台湾 | 自費参加 |
Chang | Chung-Ke | 研究員 | Academia Sinica | 台湾 | 自費参加 |
セミナーの内容について
(1)セミナーはどういう考え方で内容の構成・企画をしましたか。
参加者の基礎的な力が各国の研究レベルを反映して広く分布することが予想されたので、基礎から最先端までをカバーするようにカリキュラムを組んだ。前半は理論と実技の基礎に中心をおき、後半で最先端の研究とその理論的および実験的基礎を学べるようにした。実習においては初心者コースと上級者コースに分けた。もっとも重視したことは世界の最先端で活躍する講師の話を直接聞くことにより、現在の生体系NMRの最先端を知ってもらうと同時に、研究のおもしろさを学んでもらうことである。そのために、世界第一級の講師陣をそろえることに力を尽くした。全ての講義に参加したものには閉校式で修了証を授与することにより達成感を持てるようにした。
(2)学問的な観点からの成果はどのようにとらえられますか。具体的に成果をお書きください。
今回の受講者は厳しい選考をクリヤーしてきただけあって、大変熱心で積極的であった。第一級の講師陣の講義を熱心に聞くだけでなく、積極的に質問し、討論を行い、講義の内容を深めることができた。参加者のほとんどはこれからの各国の生体系NMRを担っていく若手研究者で、これらの研究者の学問的レベルを大きく引き上げることができたと考える。ここ一、二年の間に、韓国、中国、インド、台湾を中心に800 MHz, 900 MHzの超高磁場NMR装置が導入されようとしている。今回の参加者はこれらの装置を生かして、それぞれの国の研究レベルをもう一段飛躍させる中核となることが期待される。本セミナーにはNMR装置がほとんどないような国、ネパール(装置はない)、フィリピン、ベトナム(ともに、全国で1台)からも参加者があったが、それぞれの国に新しい学問の流れを作り出してくれるものと期待している。また、本セミナーの一環として開かれた国際シンポジウムでは世界の第一線の研究者による熱のこもった講演と討論が展開され、学問的にも水準の高い、研究交流を行うことができた。このシンポジウムは世界の生体系NMRの発展にも学問的に貢献するものであった。
(3)国際交流及び若手研究者養成の観点からはどのような成果があったと思われますか。
アジアの若手研究者の育成のために世界中の第一線の研究者が協力していただけたことは今までのわが国のこの分野での活躍と国際交流の実績のたまものである。今回のアジア学術セミナーでわが国の国際貢献は協力していただいた各国の講師からも高く評価された。同時に、この機会に国際的な研究交流を進めることができた。また、本セミナーは国際生物物理学連合との協力の下に企画されたが、国際的な学術活動でもわが国の貢献は評価された(添付のIUPABカウンシルメンバーGovil教授の報告書参照)。
本セミナーでは最初に各参加者の仕事をポスターセッションで紹介してもらい、お互いを知ってもらうことを重要なテーマとした。セミナーを通して、人間的にも知り合い、若手研究者の間での今後の国際交流の基礎を作った。また、本セミナーの全コースを通して、アジアの若手研究者のレベルアップに貢献した。このセミナーを通して参加者が貴重な学問的刺激を受けたと参加者自身、および送り出した研究指導者が語っている。また、アジアから参加した若手研究者はこのセミナーとSpring8、大阪大学蛋白質研究所、理化学研究所横浜研究所の見学を通して、わが国の研究教育レベルの高さに感銘を受けていた。その意味でアジアの若手研究者にわが国を理解してもらうよい機会となった。この中から、日本で博士研究員をやる人が出てきている。
今回の受講者に今後期待する活躍は具体的にはどういうことが考えられますか
上述の繰り返しとなるが、参加者のほとんどはこれからの各国の生体系NMRを担っていく若手研究者で、これらの研究者の学問的レベルを大きく引き上げることができたと考える。ここ一、二年の間に、韓国、中国、インド、台湾を中心に800 MHz, 900 MHzの超高磁場NMR装置が導入されようとしている。今回の参加者はこれらの装置を生かして、それぞれの国の研究レベルをもう一段飛躍させる中核となることが期待される。本セミナーにはNMR装置がほとんどないような国、ネパール(装置はない)、フィリピン、ベトナム(ともに、全国で1台)からも参加者があったが、それぞれの国に新しい学問の流れを作り出す中核となってくれることを期待している。
セミナーの運営体制、方法はどうでしたか。今後同種のセミナーを開催するとした場合に、改善する点があったら具体的に記載してください。
組織委員会、実行委員会、蛋白質研究所事務の緊密な協力で、万全の運営ができた。わが国、および本学にはこのような受講生を受け入れる施設が不十分で、宿舎の確保に一番苦労した。3カ所に分かれて滞在してもらい、しかもかなり条件が違う結果となった。参加者からの苦情を心配したが、幸い、そう多くはなかった。SARS対策にも気を使った。感染者がでた地区からの参加者には検査を受けて非感染証明書を事前に送ってもらった。
参加者からこのようなセミナーを継続的にやってほしいとの強い希望があった。短期(1週間程度)も可能にして、採択件数を増やすことはできないだろうか。
その他、成果として特記すべき事項があればお書きください。
2時間半の講義のために数日をかけて海外から来て下さり、しかもよく準備した、丁寧な講義をして下さった講師の方々の協力には頭が下がる思いである。ほとんどの方々が分秒を争うような忙しい日程をこなされている著名な研究者で、このような研究者の若手育成への熱意を知ったことは私にとって大きな成果である。セミナーのテキストは講師のご協力で大変立派なものができ、テキストだけでも欲しいという問い合わせがかなり来た。
[参加者の感想等について]
講師の感想、意見にはどのようなものがありましたか。
参加者から活発な質問が出ていたので、講義のしがいがあったと多くの講師が述べていた。参加者の熱心さを全ての講師が評価していた。若手研究者を対象としたこのようなセミナーは学問の発展のために欠かせない努力であると多くの講師が述べていた。それと関連して、ヨーロッパでは毎年このようなコースがNATOセミナーとして開催されているそうで、そのようなシステムをアジアでも作れないのかとの意見があった。また、このセミナーでのカリキュラムの組み方がよいとのお褒めの言葉もあった 。
受講者からのアンケート・評価は実施しましたか。実施した場合は、その結果をお知らせください。
日本学術振興会のアンケート用紙を用いて実施した。その内、評価項目だけを本報告書の最後にまとめてある。この結果から参加者の本セミナーへの満足度が高いことが分かる。特に、講師陣、およびその講義への評価が高いことが分かる。感想文も書いてもらった。そこでも、世界的によく知られている講師から直接講義を受けられたことが勉学の意欲をそそったとの意見が多かった。内容では、実習の時間が足りないという意見がかなり見られた。実習、演習についてはやさしすぎる、難しすぎる、の両極端の意見もあり、参加者のレベルの差から予想されるものであった。アジアの多数の国から参加者を募る場合、学問的レベルが国によってかなり違ってくるので、これは避けられない状況である。連日、午前9時から夕方6時半までの講義あるいは実習を組んだため、スケジュールがタイトに過ぎたとの意見もあった。途中かなりの休憩時間を組み込んだが、講師への質問が多いため、いつも講義時間が休み時間に食い込んでしまい、これもタイト感を増す原因になったと思われる。たまたま、寒波とぶつかったため、南の国からの参加者からは夏にやって欲しかったとの意見がかなりあった。今年は学術振興会が独立法人化するために、やむをえず夏から冬に動かしたわけだが、これを理解してもらうのは難しかった。インドの参加者からは日本の食堂はアメリカやヨーロッパに比較して、菜食メニューへの配慮が圧倒的に少ないとの指摘があった。非常に多くの参加者が希望していたことは、このようなセミナーを継続的に開催して欲しいとのことである。
[本事業に対する意見等]
本事業についての評価、意見をお願いします。
応募時期、開催決定通知の時期、提供する資金額、運営方法などについて、意見をお願いします。また、具体的な改善案がありましたら御提案ください。
このようなセミナーを継続的に開催してほしいとの強い意見が参加者および、参加者の指導者から出ていたが、現在は採択数が少ないために不可能に近いと考えられる。期間を短くしたものも作って件数を増やす、開催国を変える等により、それを可能にするような方法はないだろうか。助成金を大幅にカットされたために、最初にたてた計画を実施するのはかなり大変であった。途中から期間を縮小してもよいとの話があったが、既に準備は進んでいたので、変更はできなかった。期間を2週間にしたものと1週間にしたものに分けて公募し、現実的な助成金の配分をお願いしたい。このセミナーの準備だけでも大変なのに、不足資金の対策にかなりの時間をとられることになった。
[その他]
全体を通じてセミナー実施者の感想や特記事項をお書きください。
非常に多くの時間をとられて大変な思いをしたが、参加者からの率直な喜びの声を聞いて、開催して良かったと思っている。これらの参加者がこれからのアジアの研究をリードしていってくれることを願っている。最後に、このような機会を与えてくださった学術振興会に心から感謝したい。アジアから日本に求められている役割を果たすためには、このような助成金がいよいよ重要になっていると感ずる。
JSPS Asia Science Seminar Questionnaire for the Seminar Participants
Seminar Title | Winter School on NMR Spectroscopy at the Frontier of Progress in the Life Sciences |
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-The lecture and laboratory components were effectively linked | A18 B17 C9 D4 E0 |
-Sufficient time was allocated for the lectures | A26 B18 C4 D1 E0 |
-Sufficient time was allocated for the laboratory work | A7 B16 C15 D6 E3 |
-The length of the seminar was optimal | A17 B21 C7 D2 E1 |
-The days and times of the seminar were optimal | A14 B18 C12 D3 E1 |
-The size of the classes was optimal | A20 B17 C8 D3 E0 |
-The number of lecturers was optimal | A19 B19 C8 D2 E0 |
-Sufficient time was allocated for discussions | A18 B16 C11 D2 E1 |
-Contents of the lectures were interesting and stimulating | A33 B12 C2 D0 E0 |
-The level of the lectures relative to my educational background and experience was optimal | A16 B19 C11 D2 E0 |
-Lectures were of help to my research | A28 B14 C3 D1 E0 |
-My knowledge was enhanced by the lectures | A33 B14 C1 D0 E0 |
-The level of the exercises relative to my educational background and experience was optimal | A6 B17 C16 D6 E2 |
-Contents of the exercises were interesting and stimulating | A9 B18 C15 D4 E1 |
-Exercises were of help to my research | A8 B18 C15 D6 E1 |
-I acquired new skills/techniques from the exercises | A10 B16 C13 D7 E1 |
-Exercises were of a nature that can be practically applied in my own laboratory research | A8 B17 C15 D6 E2 |
-Lectures were well prepared | A34 B13 C1 D0 E1 |
-Instructions and explanations were clear and understandable | A23 B21 C4 D0 E1 |
-No language barriers existed between lecturers and participants | A19 B21 C5 D2 E1 |
-Lecturers gave equal treatment to all the participants | A31 B16 C1 D0 E0 |
-Lecturers responded responsibly to the questions from the participants | A34 B12 C2 D0 E0 |
-Lecturers respected the ideas, opinions and comments of the participants | A34 B11 C2 D0 E0 |
-The excursion(s) was well organized so as to expand my knowledge of its theme | A15 B17 C6 D1 E0 |
-The excursion(s) was very attractive | A14 B18 C5 D1 E0 |
-The excursion(s) was of help to my research | A9 B9 C15 D3 E1 |
-I was able to obtain advanced information through the excursion(s) | A15 B12 C9 D3 E0 |
-I was able to acquire new ideas and knowledge through the seminar | A32 B16 C0 D0 E0 |
-I was able to create networks among the lecturers and other participants in my area of research | A17 B26 C5 D0 E0 |
-I am fully satisfied with the seminar | A24 B24 C0 D0 E0 |