日本学術振興会は、平成23年10月17日に開催された国際生物学賞委員会(委員長 杉村 隆:日本学士院幹事)において、第27回国際生物学賞を米国カリフォルニア工科大学・生物学科教授 エリック・ハリス・デヴィドソン博士(74歳)に授与することを決定しました。
 今回の授賞対象分野は「発生生物学(Developmental Biology)」であり、デヴィドソン博士は、動物の発生の分子メカニズムの研究で、“遺伝子調節ネットワーク”という概念を理論的に提唱し、それを実験により証明しました。この研究は発生生物学のみならず、遺伝学、細胞生物学、分子生物学、神経生物学、免疫生物学など多くの分野に大きなインパクトを与え、生物学全体に大きな進展をもたらしてきました。
 授賞式は、平成23年11月28日(月)に、東京・上野の日本学士院において行われる予定です。



<受賞者について>
氏  名 エリック・ハリス・デヴィドソン博士
(Dr. Eric Harris Davidson)
Dr. Eric Harris Davidson
生年月日 1937年4月13日(74歳)
国  籍 米国
現  職 カリフォルニア工科大学生物学科 教授
略  歴
1963年 ロックフェラー大学大学院修了(Ph. D)
1963年-1965年 ロックフェラー大学 研究員
1965年-1971年 ロックフェラー大学 助教授
1971年-1974年 カリフォルニア工科大学 准教授
1974年-1981年 カリフォルニア工科大学 教授
(Full Professor)
1981年-現在 カリフォルニア工科大学 教授
(Norman Chandler Professor)


 平成22年11月5日(金)午後、ノーベル化学賞の受賞が決まったパデュー大学(米国インディアナ州)の根岸英一 特待教授が来訪されました。
 根岸先生は、小野 元之 理事長、小林 誠 理事・学術システム研究センター所長(2008年ノーベル物理学賞)、京藤 倫久 監事らと研究支援のあり方、来月に控えるノーベル賞授賞式などについて懇談されました。
 懇談の中で、根岸先生は、研究のあるべき姿を次のように語られました。

 歴史を振り返れば、「研究が盛ん」=「産業が盛ん」であるという等式が成り立つのではないかと思う。つまり、研究が盛んな国ほど繁栄しており、その相関関係は決して無視できないと思う。これが真であるならば、我々は研究せざるを得ない。研究することは、将来的に経済的な発展に繋がるもの。結局、繁栄した国々はこうして繁栄してきた。
 ただし、研究にお金を注ぎ込んだ以上、どこにお金がいって、どのように管理されているかを把握することが重要になる。我々の頃、米国では中間評価でほぼ半数がカットされることもあった。評価を厳しくしないことには、いくらお金を注ぎ込んだとしても無駄が出てきてしまう。

 また、ストックホルム研究センターには2008年のシンポジウムでお世話になったと回想され、ノーベル賞授賞式(12月)でも協力願いたい旨ご発言があり、理事長も快諾されました。
 文化勲章親授式等出席のための一時帰国中、お忙しいスケジュールの合間でのご来訪でしたが、根岸先生の研究に対する強い想い、母国日本に対する熱い想いを感じ、充実した懇談となりました。



表敬訪問




 平成22年10月14日(木)午後、ノーベル化学賞の受賞が決まった北海道大学の鈴木 章 名誉教授が小野元之理事長を表敬訪問されました。
 鈴木先生は、小野理事長、小林 誠 理事・学術システム研究センター所長(2008年ノーベル物理学賞)をはじめとして、振興会役員と懇談し、基礎研究の重要性、研究費などの財政的支援や研究環境の整備などについて意見交換いたしました。
 鈴木先生は懇談の中で、「少なくともあと4年ぐらいは研究を続けたい」と、研究に対する意欲、真理の探究に対する熱い思いを述べられました。
 また、国立大学等の財政面での危機的状況や、若手研究者が海外に出たがらない現状を心配していることを熱く語られ、振興会に対しては、学術研究の発展のために是非とも尽力してもらいたいと強い期待を述べられました。さらには、我が国の学術情報の発信力強化の観点から、ストックホルム海外研究連絡センターの活動への期待が寄せられました。
 最後に、小林所長とはノーベル賞授賞式の話題に及び、受賞者にしか分からない授賞式の裏側、ノーベルレクチャー資料の準備の方法などについて質問されました。文部科学大臣表敬後の短い時間でしたが、和やかな雰囲気の懇談となりました。


表敬訪問




 日本学術振興会は、平成22年10月7日に開催された国際生物学賞委員会(委員長 杉村 隆:日本学士院幹事)において、第26回国際生物学賞を米国イェール大学・生態・進化生物学部門教授 ナンシー・アン・モラーン博士(55歳)に授与することを決定しました。
 今回の授賞対象分野は「共生の生物学(Biology of Symbiosis)」で、モラーン博士は昆虫類およびその体内に存在する共生細菌の間にみられる密接な共進化関係について、分子生物学、ゲノム科学、実験生物学および理論生物学などの多彩なアプローチを駆使することにより、他の追随を許さない多くの優れた研究成果を挙げ、本研究分野の近年の発展に大きく貢献してきました。
 授賞式は、平成22年12月6日(月)に、東京・上野の日本学士院において行われる予定です。



<受賞者について>
氏  名 ナンシー・アン・モラーン博士
(Dr. Nancy Ann Moran)
Dr. Winslow Russell Briggs
生年月日 1954年12月21日(55歳)
国  籍 米国
現  職 イェール大学、生態・進化生物学部門
略  歴
1982年 ミシガン大学大学院修了(Ph. D)
1986年-1991年 アリゾナ大学 助教
1991年-1996年 アリゾナ大学 准教授
1996年-2000年 アリゾナ大学 教授
2001年-2010年 アリゾナ大学 教授(Regents’ Professor)
2010年-現在 イェール大学 教授(William H. Fleming Professor)