平成27年度「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」

平成27年度「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」が実施されています。

  「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」は、科学研究費助成事業(KAKENHI)から生まれた研究成果を我が国の将来を担う小中高校生に広く伝えることで、人文学・社会科学から自然科学にわたるさまざまな分野の科学の楽しさを身近に感じてもらうために平成17年度から実施している事業で、今年で11年目を迎えました。
  小中高校生の皆さんに、最先端の研究を行っている大学等へ実際に来ていただき、大学等の研究室でしか体験できない最先端の実験や調査をするとともに、第一線で活躍する研究者から直接話を聞くことができる点にポイントがあります。
  今年度のプログラムは、全国の153機関で平成28年1月まで随時実施されています。皆さんのご参加をお待ちしています。

ひらめきときめきサイエンス
■実施プログラム例の紹介

7月25日(土)宮城教育大学「動物から学ぶ日本の食と環境」

8月 3日(月)信州大学「音を見る?光を聴く?光で伝える? 可視光通信を体験しよう」

8月20日(木)阪南大学「松村先生の“会社のしくみとルールを学ぶ”講座 -経営者のお仕事をプチ体験してみよう-」

 

 




  平成27年8月20日に阪南大学で「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」によるプログラム「松村先生の“会社のしくみとルールを学ぶ”講座 -経営者のお仕事をプチ体験してみよう-」が開催されました。ここではその様子を紹介します。


  会社は社会を形作る上で、欠かせないものです。普段我々は会社について、「良い」、「かっこいい」、「便利」といった評価をしていますが、そこで見えているものあくまでも会社の人や会社のモノ(=資産)であり、会社自体は見ることができない不思議な存在です。このプログラムは、会社や、会社をコントロールするルール(=会社法)について、株式会社の設立から運営までを体験する仮想ゲームを通じて体験するものです。


  会場は阪南大学の教室を借り、当日は中学生20名が集まりました。
  まず講師の松村准教授から、オリエンテーションののち、法律や会社についての説明がありました。実際の六法全書や、会社法の解説書などに触れながら解説を行うことで、難解になりがちな法律の説明に体験の要素がはいった説明になっていました。また、具体的な企業名を出しながら、そこから説明を展開したりすることで、身近な例から直感的に理解できるようになっており、説明に工夫がなされていました。


講義の様子。六法全書や、会社法の解説書が机に積まれています。

講義の様子。六法全書や、会社法の解説書が机に積まれています。


  講義ののち、実習として株式会社の設立から運営までを体験する仮想ゲームに挑戦しました。仮想ゲームでは、参加者がある会社の取締役となり、会社の運営を行います。そこで、会社に降りかかるさまざまなトラブルを乗り越えるとともに、突然やってくるチャンスをつかみつつ、会社の純資産額をできるだけ増加させることを目指します。この仮想ゲームを通じ、最終的には会社や会社法の仕組みについての理解を少しでも深めることを目標としました。

  まず、4つのチームに分かれ、仮想ゲームに関するルールについて説明をしてもらいました。ここでは、大学生が会社の秘書役になり、中学生のサポートと進行を行っていました。
  次に、取締役の就任承諾書の記載を行いました。これは、実際の登記の際の資料を模して作ったものであり、将来取締役になる際には必要な手続きであることの説明が、松村准教授より行われました。登記所役の大学生もおり、内容に過不足がある場合、登記を認めず秘書を通じて書き直しを求める対応を行っていました。


就任承諾書の記入。内容に過不足があると書き直しです。

就任承諾書の記入。内容に過不足があると書き直しです。


  引き続いて、実際に仮想ゲームを進めていきました。仮想ゲームでは一年を4つに分け、四半期ごとに工場建設や銀行交渉、弁護士顧問契約といった業務執行コマンドを決めます。選んだコマンドの内容や条件によって、工場の生産額やイベントが起こった際の利得・被害額が変わっていきます。これらのコマンドを駆使することによって、会社の純資産額を増やしていきました。

  また、業務執行コマンドを決めるに当たっては、取締役の中学生たちが意思決定に当たります。議論を助けるため、秘書役の大学生がより多くの中学生に意見を求めるなどサポートを行いながら戦略を練っていきました。また、随時松村准教授が天の声となり、コマンドや会社の現実世界での実際の状況を説明することで、会社や法律の理解を深める工夫をしていました。


業務執行コマンド検討。戦略は多岐にわたり、頭を使います。

業務執行コマンド検討。戦略は多岐にわたり、頭を使います。


  昼食ののち、引き続き仮想ゲームを進めていきました。一年が過ぎると、他社の倒産による工場買収のチャンスや、株式会社内部で不正を行うものの存在によるリスク、東京オリンピック開催に伴うオリンピックスポンサー募集の入札など様々なニュースが飛び込みます。取締役になった中学生はニュースが起こるたび、どのような戦略をとるべきかについて検討に迫られていました。


PCの前に呼ばれ、ニュースが伝えられます。

PCの前に呼ばれ、ニュースが伝えられます。


  チームによっては、ルールの中で銀行役の大学生に融資の上限額引き上げや金利引き下げを交渉するなど、松村准教授も想像しなかった戦略を立てていきました。このような戦略策定を通じて、会社の取締役としての役割、ひいては会社と法律の役割を理解していったと言えるでしょう。


最初は堅かった中学生たちもだんだん打ち溶けてきました。

最初は堅かった中学生たちもだんだん打ち溶けてきました。


  こうして一連の実習が終了すると、修了証書がすべての参加者に手渡されました。会社や会社法という、身近なようで目に見えないとらえどころのないものに対し、身近な例を用いた講義や、仮想ゲームを通じて理解が深まったことを感じました。