平成27年度「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」

平成27年度「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」が実施されています。

  「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」は、科学研究費助成事業(KAKENHI)から生まれた研究成果を我が国の将来を担う小中高校生に広く伝えることで、人文学・社会科学から自然科学にわたるさまざまな分野の科学の楽しさを身近に感じてもらうために平成17年度から実施している事業で、今年で11年目を迎えました。
  小中高校生の皆さんに、最先端の研究を行っている大学等へ実際に来ていただき、大学等の研究室でしか体験できない最先端の実験や調査をするとともに、第一線で活躍する研究者から直接話を聞くことができる点にポイントがあります。
  今年度のプログラムは、全国の153機関で平成28年1月まで随時実施されています。皆さんのご参加をお待ちしています。

ひらめきときめきサイエンス
■実施プログラム例の紹介

7月25日(土)宮城教育大学「動物から学ぶ日本の食と環境」

8月 3日(月)信州大学「音を見る?光を聴く?光で伝える? 可視光通信を体験しよう」

8月21日(金)阪南大学「松村先生の“会社のしくみとルールを学ぶ”講座 -経営者のお仕事をプチ体験してみよう-」


 




  平成27年8月3日に信州大学で「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」によるプログラム「音を見る?光を聴く?光で伝える? 可視光通信を体験しよう」が開催されました。ここではその様子を紹介します。


  テレビや携帯電話などで使われているように、電波を使った情報の輸送は私たちにとってなじみ深いものですが、これと並んで重要な情報の伝送手段としてインターネットでおなじみの光通信があります。このプログラムは、ソーラーパネルなどを使った簡単な工作や実験を通して、光を使った情報伝達を体験・理解することを目指しています。


  会場はこの3月に完成したばかりの信州大学国際化学イノベーションセンターで、当日はこの真新しい建物に小学生17名が集まりました。
  まず講師の笹森准教授から、オリエンテーションののち、音を題材にした周波数の説明がありました。まだ物理を本格的に学習する前の小学生が受講生ということもあり、実際の音を聞くことと、その音をオシロスコープやスペクトルアナライザを用いて視覚化することで、音の周波数や音の重ね合わせを直感的に理解できるよう、説明に工夫がなされていました。


講義の様子。音の高さと周波数について耳と目で学習

講義の様子。音の高さと周波数について耳と目で学習

  昼食を挟んで、午後からは工作と実験も交えてプログラムが進みます。最終的には光を使った情報の伝達、具体的には携帯電話やパソコンから出る音楽を光信号に変え、ソーラーパネルでそれを受信してスピーカーに信号を送り、実際に音を聞いてみることを目指します。


実習の様子。初めて手にする部品に興味津々

実習の様子。初めて手にする部品に興味津々

  まず初めに、マイコンを用いてLEDの点滅を制御する実習が始まりました。マイコン制御による信号を音楽機器から出る信号に置き換えれば、最終的に作る送信装置になるのですが、これは視覚的に信号が送られているとわからないため、まずこの手順を踏むことで実際にLEDの光り方を操っていることを体感するのが目的です。本格的なキットを使った回路の自作は多くの参加者にとっては初めての経験でしたが、サポートに入った信州大学の学生さんの協力も得ながら、全ての参加者が自分で回路を組むことができました。


大学生に助けてもらいながら回路を組み上げます

大学生に助けてもらいながら回路を組み上げます

  引き続いて、組み上げた回路にパソコンからプログラムを流してLEDを点灯・点滅させたり、色を変えたりといった制御を行いました。ここで使用したのは子ども(初心者)向けプログラミング言語学習環境のScratchで、ソースを書くことなくブロックを組み合わせる要領で直感的にプログラミングが可能となります。ここでも学生さんの助けを借りながら、全員が用意されていた3パターンの発光制御を行うことができました。また、時間の余った参加者は自分で変数を変えて発光パターンを変えるなど、遊び半分ではありますが初めてのプログラミングに興味を引かれたようでした。


Scratchによるプログラミングの様子

Scratchによるプログラミングの様子

  実習の締めくくりとして、携帯音楽プレイヤーやスマートフォンを組み上げた回路につないで発信器とし、ソーラーパネルにスピーカーを接続した受信器を作って、実際に光を使って音楽を変換した光信号を送受信する実験を行いました。原理はそれまでの講義の中で勉強してはいましたが、実際に組み上げた装置から光通信で音が鳴ると、参加者は一様に驚きとも喜びともつかない表情を見せ、大変興味を引かれた様子でした。また、光を遮ると音が鳴らないことや、発信機と受信器の間の距離を長くすると音が小さくなることも体験しました。


完成した発信機・受信器による伝送実験。3DSの音も飛ばせます

完成した発信機・受信器による伝送実験。3DSの音も飛ばせます

  こうした一連の実習を終えた後、クッキータイムとしてお菓子をつまみながら、より大きな音を出すには、又はより遠くまで光を伝えるにはどうすれば良いか、というテーマで、参加者と講師の間でディスカッションタイムが設けられました。この中で、光を集める方法としてパラボラアンテナを取り上げたNHKのテレビ番組を視聴し、これをヒントに身近なものを使って集光力を上げる方法を実験しました。このプログラムでは光通信で使用したのが電波ではなく目に見える光であるため、集光するとその焦点に光る点が見え、視覚的にわかりやすい実験となっていました。


集光を工夫する実験。おたま・鏡など、思い思いに試行錯誤

集光を工夫する実験。おたま・鏡など、思い思いに試行錯誤

  こうして一連の実習・実験が終了すると、修了証書がすべての参加者に手渡されました。小学生にとっては長時間のプログラムにもかかわらず、盛りだくさんの実習のせいか、参加者は最後まで集中力を切らさずに取り組んでいました。また、プログラムの合間を使って参加者一人一人が自分の声を視覚化・印刷してお土産に持ち帰るなど、受講者の興味を引きつける工夫がなされていました。


  可視光通信という、日常ではあまり見かけない題材で様々な実験を行うことでその基礎を理解するプログラムでしたが、電子工作やプログラミングなどの波及的な部分も含めて参加者の興味がかき立てられるような内容となっており、本事業の目的も果たされていると感じました。