事業の成果


教授:永田 雅子

教授:永田 雅子

「赤ちゃんと家族の関係をいかに支援していくのか?」

名古屋大学 心の発達支援研究実践センター こころの育ちと家族分野 教授
永田 雅子
〔お問い合わせ先〕E-MAIL:z48890a*cc.nagoya-u.ac.jp
(注)メールアドレスは、「@」を「*」に置換しています。

研究の背景

 親子関係は、赤ちゃんがおなかの中に宿ってから始まります。心理的な交流を重ねて“わが子” という意識をはぐくみ、出産という体験によって、現実の赤ちゃんと出会い、相互の交流の中で親子関係が育っていきます。これまで妊娠中や出産後の母親のメンタルへルスが注目され、産後うつ病の発症率が高いこと、虐待予防のためには母親のメンタルヘルスへの介入が必要なことが明らかになってきました。しかし、母親側のみを対象とした研究が多く、赤ちゃん自身や、母子の相互作用の中で何が起こっているかということについての研究はあまり行われてきませんでした。
 実は、赤ちゃんは生まれたときからそれぞれ個性をもっていて、反応の仕方、自己統制の仕方などが異なります。生まれた直後の赤ちゃんと母親との間でどんなやり取りが起こっているのか、また低出生体重児と母親とのやり取りは、通常の出産の場合と何が違うのか、臨床心理学的な視点から、支援の在り方を検討するためにこの研究を始めました。

研究の成果

 「低出生体重児と親への臨床心理学的超早期介入モデルの構築」の研究では、ブラゼルトン新生児行動評価(NBAS)を用いて、赤ちゃんの反応や行動のアセスメントをするとともに、家族と一緒に赤ちゃんの個性を知ることが母親の赤ちゃんに対する認識を変えるのか、また低出生体重の場合、母子の相互作用が、正期産の場合とどういった差異があるのかを検討しました。
 その結果、低出生体重児の場合、退院前でも未熟性が強く、反応性や自己統制の力が弱いこと、1年半後であっても親の働きかけに対し子どもが反応しても、それを親がキャッチしにくく、親子のやりとりにつながりにくいことが明らかになりました。これらの成果をもとに作成した教育研修DVDは、周産期領域で活動する臨床心理士および医療スタッフに活用していただいています。このDVDの内容については、現在、『ペリネイタルケア』(メディカ出版)に連載中であり、多くの施設から問い合わせをいただています。

今後の展望

 この研究に引き続いて、現在、生後数日の母子にNBASを家族同席で実施し、その後1カ月から3歳までのフォローアップ研究を開始しています。母子の相互作用に影響を与える要因を明らかにするとともに、どの時期にどんな支援が必要かという検討を重ねていくことで、超早期の臨床心理学的な介入の在り方を明らかにしていきたいと思っています。

図1 研究モデル図

図1 研究モデル図

写真1 教育研修用DVD

写真1 教育研修用DVD

関連する科研費

2012-2014年度基盤研究(B)「低出生体重児と親への臨床心理学的超早期介入モデルの構築」
2016-2019年度基盤研究(C)「周産期から乳幼児期早期の臨床心理学的支援モデルの構築」