事業の成果

准教授:舩冨 卓哉

准教授:舩冨 卓哉

「三次元剛体変換の回帰による関節構造のモデル化」

奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 准教授
舩冨 卓哉
〔お問い合わせ先〕奈良先端科学技術大学院大学 研究・国際部研究協力課補助金事業係
TEL:0743-72-5075 E-MAIL:hojokin*ad.naist.jp
(注)メールアドレスは、「@」を「*」に置換しています。

研究の背景

 RGBDカメラなど、三次元データが計測可能な入力デバイスを手軽にかつ安価に利用できるようになりました。これらを用いて身の回りにある様々なものを対象とした三次元計測の研究が進められており、その研究の主流の1つに「人体」を対象としたものがあります。建物などの静物と違って、人体は姿勢を変えると形が変わります。一方、この変形は骨格によって強く制限されています。私は特に「手」の形状に着目し、姿勢変化による変形も含め、実測に基づいて高い精度で形状をモデル化する研究に取り組みました。

研究の成果

 本研究では、手全体が18個の剛体(力を加えても変形しない物体)とみなせる「指節」から構成されるものとし、個々の指節の三次元形状を獲得する手法(図1)、およびこれらの指節の配置を制約する骨格を推定する手法を開発しました。指節とは指の中で関節によって分けられている部分のことをいいます。骨格推定では、センサによって計測される関節角度と指節の配置関係を計測し、両者の関係をモデル化しました。一般的には、骨格を構成する関節のモデルには特定の軸や点の周りを回転する蝶番関節や点関節がよく用いられます(図2)。ところが実際の人体の関節は複雑なしくみをしており、例えば蝶番関節とされる指の関節でも屈伸時に軸方向が微妙に変化します。このような関節も表現できるように、本研究では並進と回転の6自由度で表わされる指節の三次元剛体変換を関節角度から直接回帰する手法を開発しました。その結果、軸や点周りの単純な回転に加え、並進を伴う回転などの複雑な制約をシンプルに記述でき、違和感のない変形が可能な手のモデルを構築することができました。

今後の展望

 本研究で扱った三次元剛体変換の回帰問題は、骨格推定に特化していないので、より広い問題に適用することができます。予備検討の結果から、非剛体変形の記述においても、位置変化だけでなく回転も一緒に扱う三次元剛体変換を介することで、より複雑な現象をシンプルに表現できることが示唆されています。今後は、他の問題への利用可能性や拡張を検証していきたいと考えています。

図1 手を構成する指節形状の獲得図

図1 手を構成する指節形状の獲得図

図2 手の骨格モデル

図2 手の骨格モデル

関連する科研費

2006年度特別研究員奨励費「実計測に基づく変形可能な手の3次元形状モデリング」
2011-2013年度若手研究(B)「三次元形状計測による姿勢操作可能な手モデルの構築」