事業の成果

教授:澤田 和彦

教授:澤田 和彦

「日露交流史上の新事実を発掘」

埼玉大学 大学院人文社会科学研究科 教授
澤田 和彦
〔お問い合わせ先〕 E-MAIL:sawada*mail.saitama-u.ac.jp
(注)メールアドレスは、「@」を「*」に置換しています。

研究の背景

 日本とロシアの関係は、1907〜1916年の4回にわたる日露協約の時期を除いて、決して順調ではありませんでした。私は江戸期から昭和期までの日露交流の歴史を、イデオロギーや国際政治、国際関係論の視点から捉えるのではなく、日本、ロシアおよび第三国の関係資料を渉猟することによって新しい事実をできる限り多く掘り起こし、〈草の根レベル〉で検討したいと考えました。

研究の成果

 私は、1984年度から現在まで研究代表者として8回、研究分担者としても何度も、科研費の補助を得てきました。そのお陰で、国内の図書館、文書館はもとより、ロシア、ポーランド、チェコ、アメリカ、オーストラリア、ドイツを繰り返し訪れて国際会議で発表し、図書館や文書館で大量の資料を収集することができました。また、1995年に東京で日本人・ロシア人研究者らとともに立ち上げた「来日ロシア人研究会」は、本年10月に第100回の例会を迎え、共同論文集『異郷に生きる』シリーズ(成文社)の6冊目を公刊します。
 以上の成果の一端として、私は2007年に『白系ロシア人と日本文化』(成文社)、2010年に “A Critical Biography of Bronisław Piłsudski [Preprint]”(共編、Saitama University)、2014年に『日露交流都市物語』(成文社)を上梓しました。『白系ロシア人と日本文化』は、1917年のロシア革命後に日本に亡命したロシア人の事跡と、わが国の社会と文化に与えた影響を探ったもので、本書によって博士号を取得しました。“A Critical Biography…”は、ポーランドの民族学者ブロニスワフ・ピウスツキの数奇な生涯を、ポーランド、ロシア、リトアニア、日本の研究者計13名が分担執筆でたどった、英語、ロシア語、ポーランド語の評伝です。『日露交流都市物語』は、江戸時代から昭和前半までの日露交流の歴史を、函館、小樽、米沢、東京、横浜、新潟、敦賀、大阪、神戸、長崎、ペテルブルグ、ハルビンの12の都市別にたどったものです。

今後の展望

 現在進行中の科研費プロジェクトによって、日露交流史全般の研究を引き続き進めていきます。また私個人による『ブロニスワフ・ピウスツキ評伝』を日本語で刊行すべく、準備を進めています。

国際中・東欧研究協議会ベルリン大会(2005年)にて

国際中・東欧研究協議会ベルリン大会(2005年)にて

沢田和彦『白系ロシア人と日本文化』

沢田和彦『白系ロシア人と日本文化』

沢田和彦『日露交流都市物語』

沢田和彦『日露交流都市物語』

関連する科研費

2007-2009年度基盤研究 (B)「ブロニスワフ・ピウスツキの評伝執筆のための実証的研究」
2010-2013年度基盤研究 (C)「近代日本とロシアの文化交流史に関する実証的研究」
2015-2018年度基盤研究 (C)「江戸期〜昭和前期の日露交流史の諸問題に関する実証的研究」