事業の成果

写真:教授 馬奈木 俊介

教授 馬奈木 俊介

人口減少下での環境・資源問題や
災害リスクに直面する成熟経済の持続可能性

九州大学 大学院工学研究院・都市システム工学講座 教授
馬奈木 俊介

研究の背景

  本研究の目的は、震災復興を念頭に、震災後の新しい時代文脈における持続可能な発展のビジョンを提示することです。この新しい理論の構築にあたって重要なことは、①人口減少・高齢化の下での発展論を新たに構築すること、②安定性や持続性を脅かす大規模災害のような甚大な外的ショックに対する事前の対応および事後の対応について、国際レベル、国内レベル、地域レベルといった様々な規模の相互関係から分析すること、そして③政策へ架橋するためのデータベースと指標の構築を行うことです。この研究は、人口減少下で環境・資源問題や災害リスクに直面する成熟経済の持続可能性に焦点をあてています。こうした研究は、先進国の中でも少子高齢化が進み、東日本大震災と原発事故を経験した日本においてこそできるものです。

研究の成果

  本研究の方法は、国際的かつ、マルチレベルなデータに基づいた実証分析を重視するものであり、利用するデータの指標化とその分析を通じて実践できる成果を導くことを志向しています。まず、2014年12月に研究代表者らがまとめてケンブリッジ大学出版局から刊行した「包括的な富=新国富=に関する報告書(Inclusive Wealth Report)2014」では、世界的な新しい経済指標を提示しました。日本語では、研究代表者が、日本経済新聞朝刊の「経済教室」(2014/12/31付)に「経済運営、「新国富」向上軸に」や、同新聞の「やさしい経済学」(環境と向き合うシリーズ「生物多様性を守る」)に連載した「新国富指標の活用を」(2015/3/12付)として紹介しています。

今後の展望

  国際的なデータは、World Resource Table(WRT)として広める予定です。また、環境・資源・生態系といった地域の富を含んだミクロ的主体の主観的福祉・幸福度の測定を計画しています。さらに、新国富と幸福度を統合したデータベースを開発し、世界で最も進んだ持続可能性指標の作成を予定しています。総合的な分析を進めることで、この研究はわが国のこれからの経済発展ビジョンを提示するだけでなく、いずれ世界全体が成熟化したときに参照できるモデルの構築を目指しています。



関連する科研費

平成26-30年度特別推進研究「人口減少社会における、経済への外的ショックを踏まえた持続的発展社会に関する分析」
図1 研究データのイメージ図
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>図2 日本の新国富指標の変化
図2 日本の新国富指標の変化