教授:國吉 康夫 |
ヒューマノイドロボットの全身ダイナミック接触行動知能の研究 |

図 1:等身大ヒューマノイドの「跳ね起き」動作
人間型の身体を有するヒューマノイドロボットが数多く開発されていますが、その行動能力は未だ限定的です。もっぱら従来型のロボット制御法の延長線上で扱われてきたために、人間型身体の特性を十分に活用しきれていないと考えられます。本研究では、人間の行動知能の解明と、それに基づく、従来と異なる発想の全身行動生成法の実現により、ヒューマノイドロボットの行動能力を格段に拡大することを目指しました。

図2:66kgの人体模型の引き寄せ動作
図3:
30kgの荷物の抱え上げ動作
身体特性が顕著に効く行動として、ダイナミックな全身動作と、身体各部での環境や対象物との接触を活用した動作があります。そのよい例は図1の「跳ね起き動作」です。これは、従来の制御理論では扱いが困難なのに、人間は若干の練習で達成できる興味深い動作です。人間動作の計測・解析と物理モデルの力学的解析から、この動作の成否の分岐点となる重要な状態(いわば「ツボ」)が疎らにあり、人間は確実にその成功条件を満たすような(いわば「コツ」)運動を生成していることを発見しました。この原理を独自開発のヒューマノイドロボット(身長1.55m、体重70kg)に適用し、跳ね起き動作を実現しました(図1)。このようなダイナミックで技能的な全身動作を達成したヒューマノイドロボットは世界でも他に例がありません。
また、全身の接触状態を検知・制御するため、独自の触覚センサ内臓皮膚を開発しロボットの全身を覆いました(世界初)。これを用いて、手先だけで物を扱うのではなく、両腕と胸で抱え込むことで重量物を持ち上げる動作(図2)や、それに加えて膝をベットの脇に押し当て、腰を落として体重を活用しながら人体(模型)を動かす動作(図3)など、従来試みられなかった人間的技能動作を次々と実現してきました。

人間型身体は極めて多様な動作が可能です。ロボットが自律的に判断しながら多様な接触状態と身体特性を臨機応変に使いこなして、様々な仕事を賢く軽々とこなせるようにしていくことが今後の課題です。
