事業の成果

写真:田村 元秀教授

教授:田村 元秀

太陽系外の惑星とその誕生現場を直接に観測する

自然科学研究機構 国立天文台 准教授 田村 元秀

研究の背景

太陽系外の惑星とその誕生の場は、太陽系内の8つの惑星とそれらの形成を理解し、さらには、宇宙の生命を科学的に議論する上で最も重要な観測対象です。1995年以降、太陽系外惑星は次々と発見されてはいましたが、すべて間接観測によるものであり、直接観測の例はありませんでした。いっぽう、惑星が生まれる現場である原始惑星系円盤も、直接観測は極めて数が少なく、その形態については議論できるレベルではありませんでした。従って、惑星と円盤の両面において、大口径望遠鏡を用いた直接観測が大きな課題となっていました。

研究の成果

そこで、すばる望遠鏡により惑星系形成の現場をこれまでに無い高解像度で明らかにし、さらに、若い惑星そのものを初めて直接に画像として捉えることを狙いました。また、今後の系外惑星・円盤観測のため、従来のコロナグラフカメラ(CIAO)の約10倍の性能を持つ新しい高コントラスト装置(HiCIAO)の開発に成功しました。このような観測と開発の両方の研究を進めた結果、惑星探査・円盤科学において数多くの成果を挙げることができたが、中でも次の2つは特筆に値します。

1) 太陽に似た恒星の周りとしては世界で初めて、GJ758の周りに海王星程度の距離にある2個の巨大惑星候補を直接撮像により発見した(図1)。これまでの惑星系形成理論では説明できない、太陽系とは異なる惑星系の存在を示すものと考えられる。本結果は、米タイムズ誌が選ぶ2009年の10大科学的発見の一つに選ばれた。
2) 多数の若い星(ぎょしゃ座AB星やHD142527など)の原始惑星系円盤の直接撮像に成功し(図2)、円盤形態が多様であることを初めて示した。これは、標準的惑星系形成モデルとは違う重力不安定性による惑星形成の議論の観測的発端となった。
図2

図2:CIAOで撮像された若い星HD142527
のうずまき状原始惑星系円盤。主星の明る
い光は装置内のマスク等により抑制されて
いる。観測波長は近赤外線。

図 1

図 1:HiCIAOで撮像された太陽型星GJ758
の惑星候補天体(BとC;緑の丸印)の画像。
主星の明るい光は新装置の機能により取り
除かれている。中心星から下側の惑星まで
の見かけの距離はほぼ海王星までの距離に
対応する。観測波長は近赤外線。

今後の展望

本研究で開発された新装置HiCIAOを集中的に用いた観測をすばる望遠鏡で行うことにより、GJ758のBやCのような惑星をさらに探査し、統計を調べます。これにより、「我々の太陽系のような惑星系は宇宙でありふれたものなのか?」という問いに答えることができます。また、円盤の内側領域を解明し、巨大惑星の形成メカニズムに直接迫ることができるでしょう。いっぽう、地球型系外惑星を開拓するための装置開発も別途急務であると考えています。

関連する科研費

  • 平成16-20年度 特定領域研究「太陽系外惑星科学の展開」
  • 平成16-20年度 特定領域研究「光赤外大口径望遠鏡・干渉計による原始惑星系円盤の観測と系外惑星探査」