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産学協力による国際シンポジウムの開発援助

国際シンポジウムの開催

国際シンポジウムの開催
 
「第4回繊維の染色・機能加工に関する国際会議」
4th International Symposium on Dyeing and Finishing on Textiles (ISDF2009)
繊維・高分子機能加工第120委員会
 
1. 目的
繊維の染色・機能加工に関する国際会議は、1994年に福井市で第1回を、1998年に和歌山市で第2回を、2006年に京都市で第3回を開催し、いずれも国内外より150名以上の参加者を集め、成功裏に終了している。第3回のシンポジウムより2009年で3年が経過すること、及び、第10回アジア繊維会議と同時開催することにより多くの議論の場がもて、染色・機能加工とは専門を異にする参加者も見込めることより、開催することにした。本会議の主催は、いずれも(独)日本学術振興会繊維・高分子機能加工第120委員会であり、毎回委員長が組織委員長を務めている。今回の会議でも現在の委員長である湘南工科大学の幾田教授が組織委員長を務めた。
本国際会議では、繊維の染色・機能加工に関する研究だけではなく、その周辺の研究をも含めた広い範囲で研究に関する情報交換を行い、今後の国際共同研究を進めるための足がかりを作ることを目的とした。また、先にも述べたように、繊維の染色・機能加工以外の繊維分野における多くの研究者・技術者もアジア繊維会議に参加するので、それらの研究者や技術者と交流し、議論することにより新たな研究開発に結びつけていくことも目的とした。アジア繊維会議と同時に行うので、アジアからの参加者が多くなると思われるが、欧米からの招待講演者の参加により幅広い議論が行えるようにした。

2. 概要
本国際シンポジウムの概要は、下記の通りである。
  • 国際シンポジウム名: 「第4回繊維の染色・機能加工に関する国際会議」 ・開催期間:2009年9月6日(日)~9日(水)
  • 開催場所:上田東急イン・信州大学繊維学部
  • 参加者数:182人(国内84人、国外98人) 国別内訳は、韓国40人、中国17人、台湾16人、イラン13人、その他12人である。著名な海外参加者は、招待講演者として後述する
  • 予算総額:6,285千円(独立行政法人日本学術振興会産学協力国際シンポジウム開催経費180万円を含む)

3. 実施内容・成果及び成果公
9月6日(日)に受付と招待講演者に対する歓迎パーティを開いた。また、個別の討論も行った。
9月7日(月)に、第10回アジア繊維会議(ATC-10)と合同で3件の基調講演を行った。世界的なジーンズ製造会社として有名なカイハラ株式会社の貝原会長より「グローバルマーケティングに対するカイハラの戦略」に関して、繊維系大学として知られる香港理工科大学のTao教授より「インテリジェントテキスタイルの最近の開発」に関して、京都工芸繊維大学の木村良晴教授より「バイオベースポリマー」に関してお話があった。その夜には、ATC-10と合同で懇親会を行い、500名近い参加者で交流が行われた(写真1)。
9月8日(火)午後と9日(水)午前にISDF2009単独の招待講演を行った。招待講演は、(1)「デジタルテキスタイルプリント:その歴史と将来予想」日本(株)ミマキエンジニアリング:池田 明社長、(2)「反応分散染料の染色特性」韓国Konkuk University:S. D. Kim教授、(3)「有機染料や機能性素材のための用途の広い基礎単位としての窒素置換アミノヘテロ環」ドイツTechnische Universitat Dresden:Horst Hartmann教授、(4)「クロム錯体酸性染料の環境調和のための研究」韓国Korea Institute of Industrial Technology:E. K. Choe博士、(5)「大気圧プラズマによる高分子の表面アミノ化」ドイツFraunhofer Institute for Surface Engineering and Thin Films IST:C.-P. Klages博士、(6)「ナノサイズエアロゾルを用いた直列大気圧プラズマ加工」ゲルギーVITO – Flemish Institute for Technological Research:D. Vangeneugden博士、(7)「Leuvenカトリック大学における繊維強化複合材料のイノベーションに関するレビュー」ベルギーKatholieke Universiteit Leuven:I. Verpoest教授、(8)「繊維と複合材料への多機能効果のためのナノ構造繊維サイジング」ドイツLeibniz Institute of Polymer Research Dresden:E. Mäder博士、(9)「繊維加工への光化学の応用)日本産業技術総合研究所:大内秋比古博士の9件が行われた。色素関係3件、プラズマ処理関係2件、複合材料関係2件、デジタル捺染1件、光化学的繊維加工1件の内訳となった。いずれの講演も最近の研究開発内容について言及しており、時節にあった講演であった。また、ポスター発表も行われ、熱い議論が交わされた(写真2)。
本国際会議を開催することにより、1.繊維の染色・機能加工や高分子材料の加工に関する情報交換、2.国際的な共同研究を進めるための足がかりとしての交流、3.異分野の研究者との交流による新たな研究シーズの獲得、4.国内外の企業研究者との交流による産学共同研究あるいは人的交流の活発化に関して成果が得られた。また、第10回アジア繊維会議(ATC-10)と同時に開催することのより、繊維の染色・機能加工の研究者や技術者だけでなく、繊維に関連する様々な研究者や技術者と交流することが可能となり、今後の染色・機能加工分野の進路について、新たな進路を探ることができた。
本国際会議の成果については、以下のように公開した(予定を含む)。1.会議のプロシーディングス(冊子)を作成し、参加者全員に配布した。また、第120委員会委員全員に冊子を配布し、内容を公開する。2.合同開催したATC-10のCD中に本国際会議の内容を盛り込み、ATC-10参加者にも公開した。3.第120委員会年次報告に、会議内容を掲載し、産業界や学界関係者に公開する。4.第120委員会ホームページ上に会議の成果を概略で掲載し、会議の成果を広く公開する。5.染色・加工分野の商業誌である「加工技術」に会議の記事を掲載し、業界関係者に公開した。また、「繊維学会誌」にも報告記事を掲載し、学会関係者に公開した。 

4.今後の課題
日本において染色・機能加工に関わる研究者や技術者は年々減少している。しかし、アジアでは、多くの染色・機能加工に携わる研究者や技術者がおり、日本が持つ先端技術に関心を寄せている。今回、アジア繊維会議と合同で開催したことにより日本の技術が未だに世界有数のものであり、海外の研究者や技術者にとっては魅力的なものであることを再認識させられた。今後世界の研究者や技術者と交流することにより染色・機能加工分野を維持発展させるとともに、異分野融合により別分野技術の取り入れや別分野への技術進出を行っていかなければ今後の展望が開けないことが明確となった。それを如何に進めていくか、それが120委員会の大きな課題である。

写真1 懇親会   写真2 ポスター発表
写真1 懇親会
写真2 ポスター発表

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