「学術の社会的協力・連携の推進」に関する問い合わせ先

【問い合わせ先】
独立行政法人日本学術振興会
研究事業部 研究事業課 産学協力係

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産学協力研究委員会の活動

産学協力研究委員会は各々の分野の第一線で活躍している学界・産業界の研究者等によって構成され、委員会においては研究会、国際会議、若手研究者育成のための取組などが行われています。以下に、これら研究会等の活動例を紹介します。

産学協力研究委員会について

東北工業大学 理事長 岩崎俊一(磁気記録第144委員会委員長)

 垂直磁気記録の実用化は、磁気記録第144委員会を1976年に設立し、産学のオープンな協力機関による粘り強い研究推進を行った成果といえます。2005年に最初の垂直記録方式ハードディスク装置(HDD)が実用化され、2010年には年間5億台以上も生産されるHDDのほぼ全量が垂直方式に転換されるとの予測です。どんなに優れた研究でも、それを人々の役に立つものになるまで研究を続けないと成功とはいえません。
 このためには多くの人々の協力やその場を与える組織が必要です。産学協力研究委員会はこのためにある機関といえますが、その推進には先見性と強い責任感を持ってあたることが必要と思います。
 垂直磁気記録の研究の経過を振り返ってみると、この目標は私の研究のなかで自然に発生したもので、私以外には誰も気が付くはずのないテーマでした。また、垂直磁気記録の前に行ったメタルテープの研究は、水平記録の限界を見極めたという意味で、その後の研究のための助走となりました。この助走がなければ垂直記録の研究を確信を持ってできなかったと思います。これが、たとえ何年かかろうとも工業として成功する迄研究を続けてきた最大の理由です。
 正に自分の職を賭すような勇気をもって研究を推進しました。若しこれが他から与えられたテーマだったら、自身の発想でないため責任感が希薄になり、90年代の“死の谷”の時期を乗り越えられなかったと思います。
 最近、政府が重点研究課題を決め、研究募集をして多額の研究費を出していますが、これでは研究者の責任感が希薄になるのも当然です。まるで分担して研究をしているような感じとなり、工業全体を起こすという気構えは起きません。
 なお、垂直記録はメタルテープの研究に比べ大きな研究テーマと予想したので、日本学術振興会に磁気記録第144委員会を作りました。私をリーダーとするこのような研究チームが出来たのも、メタルテープ以来の研究実績に基づくものだったと考えており、同委員会の活動が垂直記録の実用化に向け研究を続ける上で不可欠なものであったと思います。

グラフ画像

図1:ハードディスク装置(HDD)の世界出荷台数と垂直記録方式の年次推移と予測。

写真:新旧ハードディスク装置の比較

図2:新旧ハードディスク装置の比較(写真提供:富士通(株))

活発な委員会活動の例①

マイクロビームアナリシス第141委員会

大阪電気通信大学エレクトロニクス基礎研究科所長 越川孝範(委員長、学界委員)

 本委員会は(1)人材育成、(2)機器開発、(3)国際交流という大きな3本の柱を立て活動しています。現在までに大型の研究費を獲得し、多くの新しい機器開発を行ってきており、世界的に高く評価される成果を残しています。
 また、ALC(新材料とデバイスの原子レベルキャラクタリゼーション)及びSIMS(二次イオン質量分析)の国際会議ならびに年4回の研究会を開催し人材育成と国際交流に寄与してきたところです。
 さらに、人材育成として従来の「材料分析WG」に加え、「研修セミナーWG」を新たに発足させて活動を開始するなど、多様な活動を行っています。

NTT基礎物性研究所主幹研究員 日比野浩樹(庶務幹事、産業界委員)

 材料研究・開発においてはマイクロビームアナリシスの重要性が益々増しており、専門の分析技術の最新動向を知り、それを深化させるとともに、他の種々の分析技術をサーベイし、それらの応用可能性を探る必要があります。
 本委員会が主催する研究会は、関連の様々な分野の第一線の研究者の講演を聴講でき、講演の合間には、講演者や幅広い世代の委員と活発に意見交換できるため、そのような情報収集の機会として大変貴重なものです。
 また、本委員会はワーキンググループ活動等により若手育成に力を注いでおり、今後も、次世代を担う人材の輩出に期待しております。

写真:国際会議の様子

国際会議の様子〔2009年12月6日~11日・Westin Maui(ハワイ)・ALC ’09・参加200名〕

活発な委員会活動の例②

システムデザイン・インテグレーション第177委員会

大阪大学先端科学イノベーションセンター教授 佐藤 了平(委員長、学界委員)

 本委員会においては、複雑・大規模化する製品システムの構想段階での最適設計を、短時間で協調・統合設計するシステムの構築、学術的統一理論を明らかにすることを目指し、研究会や分科会など活発な活動を行っております。
 特に、新しいSDSI Cubicモデルを考案し、高度情報化社会のコアである次世代半導体とそれを用いた理想システムを対象に、最適設計のケーススタディを行い、関連特許を生み出すなど、大きな成果を得ています。 
 また、半導体の微細化限界を明らかにするとともに、それをブレークスルーする理想的三次元LSIを追求しています。
 平成17年度に設置された比較的新しい委員会であるため、今後も研究成果の結実とともに委員会の更なる発展も見据えた様々な活動を行ってゆきたいと思います。

東芝モバイルディスプレイ株式会社顧問 渥美幸一郎(副委員長、産業界委員)

 本委員会はこれまでの5年間フェーズ1の活動として、第1分科会で、製品システムの構想段階で最適設計できるシステムの構築を、第2分科会で、LSIの微細化限界と理想的システムLSIの提言などを進めてきました。
 活動の中で構築したCubicモデルは、製品の構成や特性を定義し、その重要度から設計プロセスの最適化を図り、要求仕様や評価関数に対し、複数のパラメータを同時に自動でシミュレーション、評価をすることで、複雑な設計(SDSI指標)の最適化を求めるものです。システムの評価は、携帯電話用システムLSIをモチーフに取り上げ、具体性を持たせており、フェーズ2で、実用ツールとしてさらに成長させていく予定であり、産学が協力して大変良い活動になっております。
 関係する企業、興味がある学界からの参加が益々増えて盛り上がることを期待しています。

写真:成果発表会の様子

成果発表会の様子 〔2009年12月22日・学術総合センター(東京)・第177委員会シンポジウム・参加82名〕

若手研究者育成のための取組について

薄膜第131委員会

パナソニック株式会社 北川雅俊(産業界委員)

 本委員会の若手育成としては、薄膜に携わる研究者・技術者を対象に、年一回薄膜スクールが開催されており、本年度も第26回が開催されました。スクールでは薄膜の基礎、作製装置、デバイス・製品応用までの講義に加え、最新トピックス、見学会さらに講師・受講者相互交流の場の設定もあります。
 本年は7月7、8日の2日間の日程で、東京地区開催となりました。毎年参加者の意見を参考とし時代ニーズに合った若手育成イベントとして定着しています。

シチズンホールディングス株式会社 開発部 津田 俊幸

 薄膜に携わっているのならば一度は受講したいスクール、その印象が強く残っています。
 経験豊かな講師陣から専門の分野について、一から少し(かなり?)難しいところまで説明が受けられるため、大幅な知識アップを望むことが出来ます。同時に行われる懇親会では、多分野の方と意見交換をする場があり、自社と違う環境の方は「どのような考え方で仕事を進めているのか?」などの示唆に富む見識を得ることが出来ました。薄膜を通して、様々な知見を得られる機会だと思います。
 私にもし後輩が出来たなら…まず最初に薦めたいスクールです。

写真:講義の様子①

講義の様子①

写真:講義の様子②

講義の様子②  〔2009年7月7日・キャンパスイノベーションセンター(東京・田町)・薄膜スクール・参加51名〕