日本学術振興会

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日本学術振興会では、学界と産業界の第一線の研究者等からの発意に基づくボトムアップ事業を推進しており、緊密な連携のもとに基礎研究、応用研究及び開発研究に関する自由でインフォーマルな研究発表、情報交換を行う場として、テーマ別に「産学協力研究委員会」を設けることにより、産学協力の場を提供しています。なお、委員会活動は法人会員(産業界)の会費で運営されています。

☆産学協力研究委員会の主な活動内容は、以下のとおりです。
  1. 研究会の実施
  2. 学界のシーズと産業界のニーズのマッチングを図り、将来実現可能な課題等について実用化へ誘導

産学協力研究委員会一覧

委員会名 設置年月 解散年月 委員長氏名 所属・職名 概要
製鋼第19委員会 昭和9年10月 令和5年3月 森田 一樹 東京大学大学院工学系研究科
マテリアル工学専攻 教授
高品質の鋼を製造するための技術課題を学問的に研究し議論することを目的としている。このため単に鉄鋼研究者のみならず、分析化学、物理化学、化学工学などの研究者の協力を求めた。
近年は鋼の生産に関する研究のみならず鉄鋼生産研究によって蓄積された成果を環境保全に応用する研究も行っている。
鋳物第24委員会 昭和11年11月 令和5年3月 木口 昭二 近畿大学 名誉教授 鋳物の基盤技術とその応用技術の推進を図り、産学官協力の下で活発な研究活動の成果を挙げてこれを実用化し、我が国機械工業をはじめ諸産業の根幹を担うことによって、社会に貢献することを目的としている。
産業計測第36委員会 昭和22年6月 令和5年3月 出口 光一郎 東北大学 名誉教授 本委員会では、各種産業における科学的管理を進めるため、産業の基礎となる計測制御技術の研究を、多方面の研究者が相寄り、生産現場の技術者と協力して総合的に推進することを目的とし、産業現場からの問題提起、研究開発の報告、新しい機器の紹介とそれについての討議・討論を行う。
製銑第54委員会 昭和18年4月 令和5年3月 埜上 洋 東北大学 教授 製鉄業における製銑部門に関わる科学技術課題の発掘、研究、解決手段の討議、実施、結果の発表等の活動を通じて、産業界と学界と共同して製銑技術の進歩、発展を図ることを目的としている。
素材プロセシング
第69委員会
昭和19年4月 令和6年3月 山口 勉功 早稲田大学創造理工学部 教授 金属、無機物をはじめ、一部の有機物を含めた素材・新素材のプロセスと評価、リサイクリング、さらには製造プロセスから波及する環境問題の解決という幅広い分野において、産学共同の中心的な役割を果たすことを目的としている。
建設材料第76委員会 昭和19年10月 令和2年3月 下村 匠 長岡技術科学大学 教授 建設材料には、様々な使用条件下で所要の安全性、供用性、耐久性等が要求される。また、一般に使用量が膨大であるが故に、省資源、省エネルギー、産業廃棄物の有効活用等を期待する社会的要請もきわめて強い。これらの課題は、土木、建築および化学の各分野において活発に検討されており、多くの新技術が開発・実用化されている。本委員会は、分野間の壁を越えた研究者・技術者が一堂に会し、緊密な連携を保ちながら、建設材料に関する最先端の技術や問題点について情報・意見の交換を行い、今後の技術開発の手法、方向性、在り方等について総合的に研究することを目的としている。
経営問題第108委員会 昭和22年4月 令和2年3月 上林 憲雄 神戸大学 大学院経営学研究科
教授・研究科長
本委員会は、企業経営上の重要課題を、経営学および関連分野の研究者(学界委員)と経営者および関連の実務家(産業界委員)が連携して理論と実践の両面から研究し、企業のあるべき理念に則してその解決方向を提示することにより、日本企業の健全な発展に寄与することを目的としています。
鉱物新活用
第111委員会
昭和22年7月 令和2年3月 山田 裕久 物質・材料研究機構
先端材料解析研究拠点
特命研究員
本委員会は昭和22年に我が国の鉱物資源の有効活用を目的として設立された。 委員は関係する学界、産業界の委員で構成され、委員会は見学会2回/年を含めほぼ月1回のペースで開催され、委員が研究する事項の問題点について紹介して委員相互の情報交換を行って来ている。この経過の中で、必要と考えられる事項については委員会の中に随時研究会、分科会を設置し問題点を研究する手順を取っている。これまでに、セリサイト、粘土、ゲルマニウムの資源、鉄鋼スラグ、天然ゼオライト等の分科会が開催され、多くの出版物が刊行(一部は販売)され、大きな成果が挙げられた。研究会では道路の骨材、転炉の耐火物、汚染地質・汚濁水等の浄化などについて開催され産業界各分野に多大の貢献を行って来ている。また、その一部については国際シンポジウムを開催し研究交流を行っており、関係国際学会で表彰された委員もいる。
創造機能化学
第116委員会
昭和23年3月 令和3年3月 加藤 隆史 東京大学 大学院工学系研究科 
化学生命工学専攻 教授
近年、世界的規模での急速な高度先端技術の発展に伴い、目的とした機能を発現する新しい機能分子、機能材料を創製することが焦眉の急となっている。 この傾向は生体機能や光、磁気、電気、情報等に関係した機能材料において特に著しく、優れた機能分子・機能材料なくしては高度先端技術の飛躍、発展はあり得ないとさえいわれている。  また一方、将来、枯渇を懸念されている化石資源については、その生態系と調和した、より高度な利用が強く要望されている。  このような状況を踏まえ、本委員会は
(1) 時代が要請する、またそれを先取りする新機能化合物を創製し、
(2) 機能評価を行い、
(3)環境適応型機能化合物合成手法を化石資源高度利用の観点からとらえ、世界に先駆けて機能を創造する化学、および工業を発展させることを目的としている。
炭素材料
第117委員会
昭和23年3月 令和4年3月 羽鳥 浩章 産業技術総合研究所 
エネルギー・環境領域 
創エネルギー研究部門 部門長
炭素材料は、黒鉛・ダイヤモンド・カルビンの同素体とその複合系から構成される極めて多様性のある材料である。最近では、炭素クラスター、炭素ナノチューブ等も学会・業界を騒がせている。
本委員会では、これら広範な炭素材料の製造・利用・評価に関する調査や基礎研究、応用研究、規格化などの活動を展開し、当該技術分野の科学と技術の発展に寄与することを目的としている。本委員会はその取り扱う内容によってA,B,C,Dの4つの分科会に別れている。
A:炭素原料と炭素化・黒鉛化ならびに新しい炭素材料開発に関連する基礎的問題
B:炭素材料の構造や物性などに関連する問題
C:炭素材料の応用
D:カーボンブラシやすり板の特性発現
委員会は年4回開催され、纏まった研究の報告は勿論、解釈に困った問題、最新のデータ等を各委員が簡単なレポートに纏めて自主的に持ち寄り報告する。これに対し、1件あたり15分から60分の質疑を行う。又、年1回講演会を企画し、新進気鋭の若手の講演と著名な研究者の講演を依頼している。
産業構造・中小企業
第118委員会
昭和23年3月 令和4年3月 堀 潔 桜美林大学 経済・経営学系 教授 本委員会は昭和13年から16年にかけて活動した日本学術振興会第23(中小工業)小委員会に端を発するもので、昭和23年4月に現在の第118委員会として発足した。
その狙いとするところは、広く中小企業を研究するもので、産業構造との関連において問題を捉えるところに特徴がある。特に、近年は中小企業を取巻く環境の変化が著しい。この動きを踏まえて、中小企業の本質を政策、経営の両面から多角的に分析することを目的としている。
繊維・高分子機能加工
第120委員会
昭和23年9月 令和4年3月 奥林 里子 京都工芸繊維大学繊維学系 教授 繊維及び高分子に関わる工業では、素材をそのまま供するだけでなく、高付加価値、高機能化によって用途に合った高度のあるいは複合機能を持った製品として供給される。これに関わる本邦の技術・開発は世界に抜きん出ており、本邦の国際的威勢の一翼を担っている。本委員会ではこれを維持継続するだけでなく、さらに進展・充実することを目的に活動を行っている。
本委員会は繊維の高付加価値として戦後その際たるものであった染色加工技術を中心に活動してきたが、それに関わる技術が繊維・高分子の機能加工開発に利される所が多々あったがゆえに、「染色加工」から「繊維・高分子機能加工」へ改称し、染色加工技術を中核とした関連技術の育成継承と発展展開に寄与すべく務めている。
原子炉材料第122委員会 昭和31年12月 平成24年9月 岩田 修一 事業構想大学院大学 教授 本委員は、昭和31年12設置以来50年余の間、研究炉、ガス炉、核融合炉等に使用される燃料・材料、特に核燃料、被覆管、制御材、圧力容器鋼、高速炉構造材料、核融合炉構造材料その他の原子炉材料を対象に、調査研究、試験研究を実施し、原子炉材料の研究開発における産学共同の拠点としての役割を果す。
耐熱金属材料第123委員会 昭和32年4月 令和5年3月 竹山 雅夫 東京工業大学 物質理工学院 
材料系  教授
我国の火力発電用高温構造用部材の高温化は超々臨界圧発電から複合サイクル発電へと進展して、熱効率のより大幅な向上が実現している。それらの実現は高温構造部材のさらなる高温化への駆動力となっている。一方、自動車用エンジンの高温化は関連部品の高温化をも導き、高温用AlおよびTi合金の開発へと進展して、欧米をも含めた合金開発研究が進んでいる。 本委員会は、我国の高温構造部材の高温化に対して先導的な役割を果たし、欧米を凌ぐスチームタービンの実現等に貢献してきた。このような大きな貢献は産官学での有意義な討論を繰り返してきたことによる。そのような場を設定し、将来への展望を提示してきたことで、いくつもの優れた成果を達成+L18しただけでなく、多くの人材を育成してきた。今後は先進耐熱材料や耐環境特性分野も研究課題に取り入れ、それらの分野についても先導的役割を果たす。
先進セラミックス第124委員会 昭和33年2月 令和5年3月 目 義雄 国立研究開発法人
物質・材料研究機構
機能性材料研究拠点 特命研究員
セラミック材料は、多種多様な機能を有しており、電子情報、航空宇宙、自動車など先端産業を支えるキー材料として注目され、環境・エネルギー関連でも注目を浴びているが、我が国はその開発と実用において世界をリードしてきた。
しかし、その信頼性とコストが今一歩不足しているため、当初予期されたほど実用化が進まない悩みが残っている。靭性の不足等に起因する信頼性の課題が克服されれば、それを用いる産業が堰を切ったように飛躍的に発展する等、その波及効果は計り知れない。
従来の研究によって、信頼性の抜本的な解決には材料の微構造の詳細な研究が必要であり、その制御が鍵を握ることが推測されている。微構造は結晶粒と粒界・界面からなり、サブミクロン・ナノから原子・分子までの各スケールレベルにおいて構成されていることから、各レベルでの粒界・界面からの微構造発現の法則性を明らかにすることが特性制御、信頼向上に必要である。
さらに、上記の方策が解明されても、正しく微構造が制御された材料を調製するためのプロセスの科学と技術が不可欠であり、特に、セラミックスにおいてはこの問題が本質的に重要な課題となることが予想される。そのため、従来の粉体からのプロセス技術に加え、有機分子やポリマーを前駆体物質として原子レベルから微構造を構築する技術など、あらゆる手法を動員して研究を推進することが強く求められている。
本委員会では、上記の視点に立って、有機、無機、金属など諸分野の研究者の密接な連携の下に、関心の深い多くの企業の技術者と協力し、耐熱・耐食性のみならず機械的、電気・電子的等各種の優れた先進的機能を持つセラミック材料の微構造とプロセスに関する法則性を学問的に研究し、技術的なブレークスルーを図ることを目的としている。
光電相互変換第125委員会 昭和33年2月 令和6年3月 金光 義彦 京都大学 化学研究所 
元素科学国際研究センター 教授
光と電気の相互変換に関する研究を幅広く促進することを目的としている。具体的には、光電相互変換の基礎物理の研究、光電相互変換のための材料の物性研究と開発、光電相互変換を応用したデバイスの研究と開発を対象とし、この分野の発展と活性化を図るための活動を行っている。
先端材料強度第129委員会 昭和35年6月 令和6年3月 横堀 壽光 帝京大学
戦略的イノベーション研究センター
材料強度科学研究部門 特任教授
地球環境破壊、温暖効果・人間の健康維持を焦点とする。 自然及び人工災害などの防止対策を含む。 “材料それ自体の研究”と“アトム・ナノ的にも完全に無欠陥な固体以外の材料から構成された形状や大きさを伴った物体・構造体、機器部分、機器全体の研究”という2分野の明確な把握が必要である。このフィロゾヒーのもとに各種構造体、デバイス、機器、構造物の格段の高精度・高性能化と、他方、高信頼性、高安全性の確保という両面を達成することを目的とする。
光エレクトロニクス
第130委員会
昭和36年3月 令和2年3月 黒田 和男 宇都宮大学
オプティクス教育研究センター
特任教授
本委員会は昭和36年以来、光と電波の境界領域第130委員会として、光と電波の共通の基盤に立った研究活動を進め、学界・産業界に大きく寄与してきた。そして、レ ーザーによって開かれた光技術とエレクトロニクスとの融合による研究を一層拡大発 展させるため、平成5年5月1日「光エレクトロニクス第130委員会」と改称された。
これにより、情報技術(IT)の基盤である光エレクトロニクスの分野を通じて、先端科学技術や企業のニーズに適切に対応し新技術創出に資する方面に研究を進めている。
本委員会には以下の4部会を置き、各部会主催研究会ならびに合同研究会と本委員会が提唱した光の日(3月8日)公開シンポジウムを開催している。
①第1部会:光波発生および検出
②第2部会:光情報伝送デバイスおよびシステム
③第3部会:光情報入出力・処理および応用計測
④第4部会:ナノフォトニクスおよびナノ加工
薄膜第131委員会 昭和36年3月 令和2年3月 近藤 高志 東京大学 先端科学技術研究センター 教授 薄膜の作成技術は原子尺度の制御ができるまでに発展し、その応用も産業界のあらゆる分野に及んでいる。そのため、薄膜技術は今や多くの先端技術を支える重要な技術であり、また新たなる発展をもたらす牽引力となっている。
本委員会は、このような認識の下に、薄膜技術を活用する、あるいは活用しようとしている企業に、最新の知識や情報を提供することを第一の目的としている。さらに、プロジェクト研究等の産学協同研究を行うことにより、薄膜分野のさらなる発展に寄与することを目的としている。

荷電粒子ビームの工業への応用
第132委員会
昭和37年2月 令和3年3月 臼井 博明 東京農工大学 大学院工学研究院 
応用化学部門 教授
電子およびイオンから成る荷電粒子ビームは、その優れた制御性から、超微細加工、材料改質、機能薄膜形成、分析プローブとして常に最先端技術を先導してきており、半導体工業、金属工業、高分子工業等の産業界から常に関心と強い期待が持たれている。
そこで、電気、機械、化学、材料に関連する工学・物理分野の研究者が連携し、委員会として荷電粒子ビームの基礎技術、装置技術に関する研究、ならびに、それらの工業への応用に関する研究を推進し、この関係分野の大幅な進展に資することを目的としている。
材料の微細組織と機能性
第133委員会
昭和37年6月 令和3年3月 枝川 圭一 東京大学 生産技術研究所 教授 近年材料の原子分子レベルの微細組織に関する研究は長足の進歩をとげまたそれにもとづく新機能材料が急速に発展しつつある。また材料面でも金属をベースとし、セラミックス、半導体、高分子、バイオマテリアルへと拡大されてきている。
本委員会は産業界からの強い要望により、この方面の研究者を結集して編成されており、材料の微細組織と機能性に関する研究を中心に、新時代に要求される新機能材料の創製を目指し、研究を進めることを目的としている。
染色堅ろう度第134委員会 昭和38年4月 令和4年3月 堀 照夫 福井大学 産学官連携本部 客員教授 染色堅ろう度試験は、染色物の光、洗濯、汗等の使用環境条件、染色加工工程中の各種条件等に対する堅ろう性を評価、測定する試験である。単に繊維分野に止まらず、他の分野、すなわち、建築、機械、非鉄金属、化学、物理、色彩学等における重要な試験法に関連している。本委員会は、染料の化学構造から出発した第116・120合同特別委員会が、様々な要因を持つ染色堅ろう度試験法に対応するために設けられた委員会である。
将来加工技術第136委員会 昭和39年11月 令和4年3月 星出 敏彦 京都大学 大学院エネルギー科学研究科 
エネルギー変換科学専攻 教授
工業製品の生産には加工技術が不可欠であり、製品の高度化、微細化、多層化、集積化の進展は加工技術の進歩なしにはありえない。ハードウエアのポータブル化は従来技術の延長上にない革新的な加工技術の出現を必要としている。
本委員会は技術革新を先導する加工技術の開発・調査研究を産業界と学会の強力な連携の下に行い、将来加工技術の確立と普及、ならびにその成果の社会への還元を通じて、地球環境と調和した社会の技術的発展を図ることを目的としている。
蒸気性質第139委員会 昭和44年11月 令和2年3月 中原 勝 京都大学 名誉教授 水および水蒸気、ならびに工業上重要な各種水溶液系の熱物性や物理化学的諸性質の解明は、火力・原子力発電プラントの設計や超臨界水の工学的応用などの分野で必要不可欠な役割を演じている。
本委員会では、当該分野の産業界の要望に応えるべく、機械工学、物理、化学など諸分野の研究者間の緊密な連携の下に、これらの水・水蒸気と水溶液系の諸性質を究明し、実用しやすい形態の情報として集大成することを目指している。
また、30年に亘る歴史を有する国際水・蒸気性質協会(IAPWS)における当該分野の国際標準の作成・普及に全面的に協力するため、同協会に対する国内委員会の責務も果たしている。
マイクロビームアナリシス
第141委員会
昭和49年9月 令和2年3月 本間 芳和 東京理科大学 理学部第一部 
物理学科 教授
材料・デバイスの研究開発において、新規材料の合成や材料の複合化、デバイスの微細化や複雑化がますます活発になってきている。このような状況で、電子、イオン及びフォトン等を用いた材料・デバイスの局所分析の重要性がいっそう増しており、金属、半導体、化学、医学等の幅広い産業界からマイクロビームアナリシスへの強い関心と期待が寄せられている。
そこで、本委員会では、産学協力のもと、①金属・半導体から医学・生物まで幅広い領域の材料・デバイスのマイクロビームアナリシスに関する機器・要素技術の開発、②マイクロビームアナリシスの分野で産業界と学界を牽引する人材の育成、③国際会議や二国間セミナーの主催などによる国際交流、④ハンドブック出版等によるマイクロビームアナリシスに関する知識の普及など、様々な活動を通して、本研究開発分野を発展させ、社会に貢献することを目的としている。
情報科学用有機材料
第142委員会
昭和49年11月 令和2年3月 佐々木 健夫 東京理科大学  理学部第二部 
准教授
情報科学およびその産業の発展は目覚ましい状況にあるが、この発展を支える上で、有機材料の貢献も著しいものがある。
そこで、材料全体を科学的立場から総合的に把握し解明するための国内体制の確立と、情報科学の将来を指向した有機材料の科学技術の発展を目指して研究活動を推進することを目的としている。
産・官・学の密接な協力の下に、材料科学、素子化技術およびシステム化のための周辺技術相互間の提携を図り調査・研究を進める。
プロセスシステム工学
第143委員会
昭和51年6月 平成24年2月 山下 善之 東京農工大学
大学院工学研究院 教授
情報通信の要素技術として、ハードディスク装置を中心に磁気記録を用いた情報ストレージの記録密度と装置記録容量の向上は引き続き急速な発展を続けており、今後のさらなる磁気記録の高密度化が社会的な要請であることを端的に示している。
本委員会は、わが国の独創技術である垂直磁気記録による磁気記録の飛躍的な高密度化・大容量化を成し遂げるために設立され、磁気物理学、磁気工学、記録工学等の幅広い学界の研究者を結集し、産業界から主要なメーカーの研究者・技術者が参加する体制の下で、積極的な垂直磁気記録型高密度磁気ストレージの研究開発を行ってきた。2005年以降始まったハードディスク装置における垂直磁気記録へのパラダイムシフトは本委員会の活動の大きな成果であり、6億台に達するほぼすべてのハードディスク装置を垂直磁気記録で置き換えるに至っている。 今後は次世代高密度垂直磁気記録によるいっそうのストレージ技術の発展と社会への展開研究に注力する。
磁気記録第144委員会 昭和51年8月 令和4年3月 岩崎 俊一 東北工業大学 理事長 プロセスシステムの総合的な最適化を実現するための基礎理論、手法、コンピュータ利用技術を研究するプロセスシステム工学は、当初大規模な連続系プロセスの設計や制御を対象に研究が行われてきたが、最近では人間が関わる生産活動や、プラントおよびプロダクトのライフサイクルを見据えた幅広い研究が進められており、化学工業などの産業界から強い関心と期待が寄せられている。
新しい課題を抱える産業界技術者と、プロセス工学、システム工学、情報工学等の研究者との密接な連携の下に、委員会の総力を挙げて問題解決に取り組むことによって、関連学問および技術の大幅な進展を図ることを目的としている。
結晶加工と評価技術
第145委員会
昭和52年10月 令和5年3月 柿本 浩一 九州大学 応用力学研究所 教授 21世紀の高度情報化社会を支える超LSIや半導体レーザー等の半導体デバイスは、大型で高品位な結晶育成技術と微細で精密な加工・評価技術の発展により今日の隆盛を見た。しかし、高速化と高集積化が極度に進んだ現在、従来技術の延長では解決できない多くの困難な問題が顕在化してきている。いっぽう環境・エネルギー問題に対応するため高性能かつ低価格の太陽電池や低損失電力デバイスの開発が急務となっており、革新的な結晶育成・加工技術が切望されている。こうした状況下において、基礎研究に基づく産学挙げての取り組みがますます重要になっている。
本委員会は、シリコンならびに化合物半導体の結晶育成とウエーハ技術の向上に資するため、新しい加工および評価技術の開発を行うとともに、研究者・技術者の交流の場を与えることを目的としている。
超伝導エレクトロニクス
第146委員会
昭和57年10月 令和5年3月 吉川 信行 横浜国立大学 大学院 
工学研究院 教授
本委員会の目的は、超伝導現象に基礎を置くエレクトロニクス関連の科学技術を発展させることにある。
超伝導技術を応用することにより、磁束の量子化やジョセフソン効果などのマクロな量子効果を用いることにより、半導体など他の電子材料を用いる場合に比べて高度で特異な性能を発揮するエレクトロニクスデバイスおよびその関連技術の開発が可能である。
アモルファス・ナノ材料
第147委員会
昭和58年10月 令和6年3月 井上 光輝 豊橋技術科学大学大学院工学研究科
教授
金属、セラミクス、半導体を中心とするアモルファス材料とナノ結晶材料の研究開発は目覚しく、数多くの新機能を有する新材料の発見をもたらし、今後、学術上、産業上ますます発展するものと期待される。 そこで、本委員会は理学―工学間の幅広い学術研究と産―学間の密接な協同研究の展開、およびこの分野の調査研究と推進、国際的討論と情報交換などの実施とともに、若手研究者の養成を図り、アモルファス・ナノ材料の研究開発の一層の発展を図ることを目的としている。
石炭・炭素資源利用技術
第148委員会
昭和59年4月 令和2年3月 宝田 恭之 群馬大学 大学院理工学府 
環境創生部門 特任教授
21世紀におけるエネルギー需給見通しは不透明であるが、炭酸ガス問題の重要性にもかかわらず、当面は相当量の化石燃料を使用する以外に今の生活を維持する道はないといっても過言ではない。
そこで、化石燃料の中では環境面で問題が多いものの、埋蔵量が多く、安心して依存できる資源である石炭や未利用重質油等を如何に使いこなすかが人類の重要課題となっている。
本委員会では石炭および炭素資源の基礎科学、転換技術、化学原料としての利用、環境対策技術などを対象分野として活発な研究活動を推進している。また、今期の活動では、近年急速に関心が高まっている固形廃棄物やバイオマス燃料などの利用技術に関する課題も取り上げ、産学官の委員間で活発な討論を行うとともに、人的交流を拡げる場として活動を行っている。
弾性波素子技術
第150委員会
昭和60年4月 令和2年3月 橋本 研也 千葉大学 大学院工学研究院 教授 最近の電子工学、コンピュータ・移動体通信などに見られるように、情報革新技術に対応する通信技術の急速な進展に対処可能な超軽量・超小型・高性能の弾性波動を利用した素子に関する基礎から応用に亙る研究開発が強く要望されている。
特に、弾性波素子技術は、境界領域の分野であることから、電子、通信、情報、機械、材料関連分野の研究者の綿密な連携の下に、通信システムに改革をもたらす新たな弾性波素子の開発と次々に提起される弾性波技術の問題を解明する手法・技術を産・官・学の各研究者の綿密な協力の下に、強力に推し進め、弾性波技術の進展を図ることを目的としている。
先端ナノデバイス
・材料テクノロジー
第151委員会
昭和61年4月 令和3年3月 石橋 幸治 理化学研究所
石橋極微デバイス工学研究室
主任研究員
高度情報化時代を迎え、電子デバイスの超微細化、 高速化、高密度集積化への要求は留まるところがない。 生産分野では、Gビットレベルの集積化をめざして開発に鎬を削っている。 研究分野では世界的に、ナノテクノロジーをキーワードとしていろいろな研究開発プロジェクトや研究センターの設置が進められている。
そこで、本委員会は、産官学の研究者を結集して、 現在のデバイス開発の指導原理であるスケール則の限界を打ち破るナノテクノロジーの 研究開発を推進して、次世代ナノエレクトロニクスの発展に寄与することを目的としている。
プラズマ材料科学第153委員会 昭和63年4月 令和5年3月 渡邉 隆行 九州大学 大学院工学研究院 教授 放電現象を利用するプラズマプロセシングは、先端技術を代表する電子デバイスプロセスの中核技術としてばかりでなく、各種機能性薄膜の作成、超微粒子やクラスター合成、表面処理、材料加工、燃焼、廃棄物処理など 幅広い分野に応用されています。 またレーザーをはじめとする光の発生や利用、化学的に活性なラジカルの生成や計測にも密接に関連し、新たな分野への展開が期待されます。 エネルギー、環境問題、技術の先端化への対処、新材料の創造、新装置開発にあたる研究者および企画部門担当者にとっては、プラズマを基礎から理解し、適切に使いこなすことが今後益々重要になります。産業界においてはプラズマの応用技術が先行し、発生装置やプロセスのメカニズム、制御についての基礎的理解は充分ではありません。
本委員会では、
第一に、委員の要望を踏まえ、各種プラズマとその利用に関する最新情報を提供いたします。
第二に、プラズマの応用の背景にある基礎科学的問題について意見を交換し、討論する場をつくります。プラズマについての理解を深め、材料やデバイス分野ばかりでなく、バイオメディカルなど新たな分野への展開を考えるヒントをもたらします。
第三に、産官学の研究者、技術者はもとより、海外のプラズマ研究者とも接触する機会を提供し、人的交流と情報交換を積極的に支援いたします。
半導体界面制御技術第154委員会 平成2年4月 令和2年3月 宮崎 誠一 名古屋大学 大学院工学研究科 
電子工学専攻 教授/副研究科長
今後さらに進展を続ける半導体デバイスの微細化の鍵となる「半導体−半導体界面 (ヘテロ界面)」、「誘電体−半導体界面」をはじめ「半導体界面現象」に関して、産学の相補的かつ相乗的な協力体制の下で、学際的研究ならびに最も重要な技術的問題の抜本的解決を進め、装置化を含めた「半導体界面制御技術」を構築すると同時に、新しい科学的・技術的発展を図る産学協同開発の基盤を確立することを目的としている。
フッ素化学第155委員会 平成2年4月 令和2年3月 萩原 理加 京都大学 大学院エネルギー科学研究科 教授 フッ素化合物の化学的・熱的安定性、表面活性、生物活性等の他を以て代替できない優れた特性が着目され、高度科学技術に応用されて多くの成功例を見たことから産業界の多分野からフッ素化学への関心が急激に高まった。
また一方、フロン等の拡散に関わる環境問題への関心の深化とともに、化学工業のみならず工学諸分野においてフッ素化学に関連する技術開発が急速に進んできた。
本委員会では、新しいフッ素化学とフッ素利用の将来技術を確立することおよびその研究成果を広く世界に発信し、国際協力と支援に寄与することを目的とし、排出物ゼロおよび持続可能な発展の理念の下に、エネルギー、環境、バイオ、プロセス、および新素材の各分野でフッ素の特性を活用する高度機能の創出とフッ素化学の工学的基盤の充実・深化および情報交流を図っていく。
制震(振)構造技術第157委員会 平成6年1月 令和6年3月 池田 芳樹 京都大学 防災研究所 
地震防災研究部門 教授
大地震による土木建築構造物などの災害を軽減するとともに、強風やその他の動的外乱による構造物応答を抑制し、その安全性、機能性を高める制震(振)技術が、大きく進展してきている。この進展の歩みは、1994年発足の本委員会の歩みでもある。さらに、近年は、先端技術を広く融合して、応答制御、維持管理の高度化を意図するスマート構造技術に発展している。
本委員会においては、建築・土木・機械の分野の研究者、技術者の緊密な連携の下に、総力を挙げて、制震(振)構造の、さらにはスマート構造の実現・普及・進展に向けて、研究を推進することを目的としている。
真空ナノエレクトロニクス
第158委員会
平成6年4月 令和2年3月 三村 秀典 静岡大学 電子工学研究所 教授 半導体デバイスと真空デバイス両者の長所を兼ね備えたエレクトロニクス技術を構築することにより、半導体デバイスの欠点や限界を超えた次世代エレクトロニクスを展開することを目的としている。
このため、真空、材料、デバイスに関わる研究者の密接な連携の下に、高性能極微電子源の開発、およびこれら電子源を用いた各種センサー、超高速デバイス、高性能平面ディスプレイ等、これまで開発が困難であったデバイス実現のための諸技術を開拓する。
地球環境・食糧・資源のための
植物バイオ第160委員会
平成8年1月 令和3年3月 橋本 隆 奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科 教授
21世紀には、化石資源に全面的に依存した20世紀の文明を大きく方向転換し、持続可能な社会を構築しなければならない。その基本は、太陽エネルギーを利用し、無機物から有機物を作る植物の能力の拡大と利用である。植物の分子生物学、ゲノム情報学を推進し、遺伝子組換え技術等により、植物の同化能力の向上および複合ストレス耐性を付与することにより、地球・人類が直面している人口・食糧・環境・資源等の難問の解決を図る。
結晶成長の科学と技術
第161委員会
平成8年4月 令和3年3月 藤岡 洋 東京大学 生産技術研究所 教授 産学官の協力のもとに、物質科学・材料産業の基幹である結晶成長の科学と技術を振興し、我が国固有の優れた材料技術や、新しい結晶材料の開発に結びつけ世界の中で先端的な差別技術を有する技術立国として、学界・産業界が優位に立てる一助となることを目指して活動している。

ワイドギャップ半導体光
・電子デバイス第162委員会
平成8年4月 令和3年3月 岸野 克巳 上智大学 特任教授 ワイドギャップ半導体(窒化物、炭化物、酸化物など)は、それらの持つ物性の特徴(ワイドギャップ、高電子移動度、耐高温度、無害な材料など)を生かし、21世紀の情報技術時代および環境調和・省エネルギー時代を支える、新機能の短波長光デバイスや超高速電子デバイス、および大電力デバイスなどを作製可能である。
本委員会は、ワイドギャップ半導体の結晶成長・物性制御からデバイス化までのすべてにわたり、産業界と学界の第一線の研究者が協力して検討を進め、革新的な基盤科学技術を確立することを目的としている。
インターネット技術第163委員会 平成8年7月 令和4年3月 下條 真司 大阪大学 サイバーメディアセンター
教授
今日、劇的な進歩を続けるインターネット技術は、産業、行政、教育等、社会全般からの要望に対し、迅速な対応が切望されている。
そこで必要な研究は、世界的情報インフラストラクチャを生み出すネットワーク実現のための基盤技術開発であり、その上で豊かな活動を実現化する対応技術およびその利用環境の研究である。
本委員会では、この基礎および応用研究に、より柔軟かつ迅速に対応すべく広汎な研究者・技術者層の交流を基盤に、産学協力による具体的研究実施主体として新しく重要なテーマに機動的に注力するものである。
ゲノムテクノロジー第164委員会 平成8年7月 令和4年3月 油谷 浩幸 東京大学 先端科学技術研究センター
ゲノムサイエンス分野 教授
ゲノム研究の成果として、ヒトを始めとして各種の生物の遺伝情報の解読が飛躍的に進展しており、この成果を生命科学、バイオテクノロジーに結びつける方法論や体制を整備することが急務となっている。
本委員会は、ヒト・ゲノム解析を広くバイオサイエンス諸分野に結びつける学問および技術基盤の確立を目指すものであり、学界および産業界の当該分野の研究者が緊密な情報交換を行い、協力してバイオサイエンス諸分野を発展させることを目的としている。
シリコン超集積システム
第165委員会
平成8年11月 令和4年3月 平本 俊郎 東京大学 生産技術研究所
副所長・教授
近年飛躍的な進歩を遂げている半導体集積回路技術の根幹をなす微細MOSトランジスタの超集積化とそのシステム応用に向けて、デバイス・プロセス技術および回路・システム設計技術を総合的に研究することを目的としている。
特に、従来別々に議論していたデバイス技術者と回路システム設計者が一堂に会し、システム集積化技術を多方面から掘り下げ、産学共同研究を推進している。
透明酸化物光・電子材料
第166委員会
平成9年4月 令和4年3月 藤村 紀文 大阪府立大学 大学院 
工学研究科 教授
透明酸化物光・電子材料は近未来における通信・情報のマルチメディア化を実現するための必須構成要素である。従って、本委員会は、透明・高伝導性酸化物材料、および光ファイバと平面導波路素子に関する物質探索、合成・薄膜作製プロセス科学、および物性・機能開拓などのシーズ研究と、材料作製および素子化技術を主体とした応用研究とを結合し、持続可能な科学技術の創成を前提とした、これら材料の新たな応用展開を促進・支援し、本分野を発展させることを目的としている。
ナノプローブテクノロジー
第167委員会
平成9年12月 令和5年3月 吉村 雅満 豊田工業大学 大学院 
工学研究科 教授
材料・デバイスの微細化に伴い、科学・技術はナノスケールの時代に突入し、21世紀は物理・化学・生物を融合した新しいナノテクノロジーが発展すると期待されている。
本委員会は、今後のナノスケールの材料解析・開発に必須となりつつある走査型プローブ顕微鏡(SPM)の基礎・応用技術(ナノプローブテクノロジー)の組織的発展を期して設立された。
ナノプローブテクノロジーに関する先進的研究の発表および討論を通して、異なる分野の研究者の密接な連携の下に学際的な議論・交流を行い、産業界を含めた本分野のさらなる躍進を図る。
回折構造生物第169委員会 平成12年1月 令和2年3月 山根 隆 (財)名古屋産業科学研究所 研究部
上席研究員  
材料・デバイスの微細化に伴い、科学・技術はナノスケールの時代に突入し、21世紀は物理・化学・生物を融合した新しいナノテクノロジーが発展すると期待されている。
本委員会は、今後のナノスケールの材料解析・開発に必須となりつつある走査型プローブ顕微鏡(SPM)の基礎・応用技術(ナノプローブテクノロジー)の組織的発展を期して設立された。
ナノプローブテクノロジーに関する先進的研究の発表および討論を通して、異なる分野の研究者の密接な連携の下に学際的な議論・交流を行い、産業界を含めた本分野のさらなる躍進を図る。
レドックス・ライフイノベーション
第170委員会
平成12年1月 令和2年3月 内田 浩二 東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授 生体内における酸化還元反応が、生命の誕生、分化、健康、疾病、老化などに対して鍵を握る中心的な役割を果たしていることが基礎、応用両面の研究から明らかになりつつある。
本委員会は、このように生命現象の中枢の鍵を握っている酸化還元現象−これをレドックスという−を分子レベル、素反応レベルから研究する基礎分野と、臨床医学、機能性食品まで含めた応用分野の研究者、さらには産業界の技術者が協同して研究し、情報交換する場を設け、基礎科学、技術開発の発展、新産業の創成を図ることを目的としている。
光ネットワークシステム技術
第171委員会
平成12年12月 令和3年3月 植松 友彦 東京工業大学 工学院 教授 20世紀の科学技術の進歩は目覚ましく、豊かな生活と長寿命社会の実現に貢献してきた。しかし、その一方で高効率化を目指すあまり社会問題や環境問題を引き起こすこととなった。
21世紀の科学技術に強く求められることは、有限な地球資源を有効に活用して人間社会の持続的発展に寄与することであり、新たなブレークスルーを必要としている。そのなかで情報通信技術は、世界をグローバル化させ、新しい産業を生み出し、社会や経済を変革させるだけではなく、21世紀的文化の創造において極めて影響力の高いものである。その根幹をなすものとして光ネットワークシステムがある。
本研究委員会は、このような背景のもとに次次世代の光技術を生み出し、ユビキタスネットワーク社会を支える光ネットワークシステムを探究するために設立された。システム、デバイス、システム利用を総合的、かつ挑戦的にとらえ、研究テーマを抽出し、その実現について産学官で共同研究を行う。
合金状態図第172委員会 平成13年4月 令和3年3月 大谷 博司 東北大学 多元物質科学研究所 教授 大学、国立研究所、企業における合金状態図の研究に関わる研究者が一同に集まり、合金状態図の基礎から応用について産学官が協力し、学術的な発表、討議だけでなく、構造材料や機能材料への応用や開発も含めた議論と情報交換を行い、この分野の研究レベルの一層の向上を図る。
次世代のスイッチング方式
電源システム第173委員会
平成13年7月 令和4年3月 鍋島 隆 大分大学 理工学部 名誉教授 ITやマルチメディア通信という言葉に代表される近年の情報通信技術の進展と普及は目覚しく,経済活動や社会生活に大きな影響を及ぼしている。このような情報通信技術を根本から支えるのはアクセスネットワーク,情報通信機器及び情報通信機器本体に電気エネルギーを供給する電源システムである。情報通信機器の重要性が増大するほどその心臓部としての電源システムの高性能化が要求される。
本委員会では,情報通信機器本体を構成する半導体集積回路の高集積化に伴なう,次世代の情報通信用スイッチング電源の高性能化,特に高信頼化,省エネルギー化,小型軽量化に対応するため,デバイス,回路及びシステムに関して総合的研究を行い,通信用エネルギーとこれに関連したエレクトロニクスの技術的発展に寄与することを目的としている。
分子ナノテクノロジー
第174委員会
平成13年10月 令和4年3月 山下 一郎 大阪大学 大学院工学研究科
パナソニック基盤協働研究所 特任教授
科学・技術革命を通しての生活の質的向上には、新規な機能分子の創成と、機能分子の配向集積化による機能デバイス化技術の発展が不可欠である。そのためには、分子1個1個にデバイス機能をもたせる分子サイズの機能デバイスの創成など、新しい科学技術分野を発展させることが急務である。
本委員会は、原子や分子を自在に複合化したり、配向制御下に集積するボトムアップ技術を、ナノテクノロジーと融合させることによって、分子ナノテクノロジーを確立するため、基礎分野と応用分野の研究者、さらには産業界の技術者が協同して研究し、情報交換する場を設け、基礎科学・技術の発展、工学的展開による新産業の創成を図ることを目的としている。
次世代の太陽光発電システム
第175委員会
平成16年4月 令和2年3月 小長井 誠 東京都市大学 総合研究所 教授 太陽電池をエネルギー変換素子に用いた太陽光発電は、地球温暖化ガスを排出しないクリーンなエネルギーとして期待されている。平成16年度に第175委員会が設置されて以来、太陽光発電システムに関する研究開発、産業応用は大きく進展し、この間、世界の太陽電池年間生産量は、約5倍に増加し、2010年における世界の太陽電池の製造設備は、30GW に達する見通しとなっている。太陽光発電に関する導入・開発目標を達成していくには、変換効率を大幅に向上させる基礎科学の探索が必要であり、製造面で眺めてみても、今後は、1GW〜10GWの年間生産量に見合った製造プロセス開発が必要となる。
以上のように次世代太陽光発電システムを取り巻く環境は、大きく変化しており、わが国がこの分野で技術開発の優位性を保ちつつ、大規模な普及に大きく貢献していくには、新原理・新材料の探索から、デバイス物理、デバイス構成、セル・モジュール製造のための周辺技術、システム応用技術、エネルギーマネージメント技術等の開発が急務となっている。また、今後の研究開発には、極めて挑戦的な課題が多く、これには、物理学、無機・有機材料工学、化学工学、機械工学、電気・電子工学、エネルギー科学、生命科学等の学際的かつ広範囲の学術研究が必要となってくる。さらに、産学間の連携研究、国際化に対応した迅速な調査研究と情報交換、国際的に著名な研究者や国の施策作成に関わる者等を加えての国際的討論会などによる情報の共有化が必要であり、本委員会を継続設置することとした。
加工プロセスによる材料新機能発現
第176委員会
平成16年10月 令和2年3月 古原 忠 東北大学 金属材料研究所 教授 日本の加工技術は世界に冠たるものであり、ものづくり産業を根底から支えてきた貴重な知的財産である。しかし、このような分野では、中国・東南アジア諸国等の台頭が著しく、資源の少ない我が国のものづくり産業が21世紀以降もその国際的優位性を保ち続けるには、他の追随を許さない先端的かつユニークなものづくり技術へと方向転換する必要がある。
本委員会は、シンプルで汎用性の高い加工プロセスを用いて、ナノ・メゾレベルで金属、セラミックス、高分子材料の構造・配列を調整することにより、新たな材料機能を発現させることを目指す。加工プロセスにおける材料の塑性流動をアトミスティックな視点から捉え直し、その知見をミクロなレベルでの材料構造・配列の制御に利用し、新機能の発現に結びつける。さらに、そのために必要な塑性流動現象をナノスケールで可視化・計測する技術や、階層的かつマルチスケールな計算機シミュレーション技術を開発し、「ものづくり」に役立てる。
システムデザイン
・インテグレーション第177委員会
平成17年4月 令和2年3月 青山 和浩 東京大学 大学院工学系研究科
システム創成学専攻 教授
次世代の電子デバイス・システムを対象にしながら、システムデザイン・インテグレーションの科学・技術に関する産学協力委員会を組織し、専門分野の異なる学会・産業界の研究者・技術者の緊密な連絡の下に日本にこの新分野の形成と発展を企てる事を目的としている。
植物分子デザイン第178委員会 平成17年12月 令和3年3月 江面 浩 筑波大学 生命環境系 教授 モデル植物のゲノム情報基盤整備が終了し、それらのゲノム情報が学術研究の推進から産業育成までの広い範囲で有用であることが示されつつあります。そして、これらの情報を有効活用した植物の改変や品種識別などの植物分子デザイン研究に対する国際的な期待が高まっています。近年、実用作物も含めた多様な植物種でのゲノム研究の推進が叫ばれています。そして、先進各国を中心とした国際協調方式による植物ゲノム研究の実施が提唱され、各植物群を代表する植物をモデルとした国際協調の植物ゲノム研究とその成果の植物分子デザイン研究への利活用が始まっています。例えば、2003年にはナス科植物のモデルとしてトマトゲノム研究が、2005年にはウリ科植物のモデルとしてメロンゲノム研究が国際協調で始まっています。そして、これらの研究の効果的な推進と得られた成果の植物分子デザイン研究への迅速利活用に対する産業界の期待も国際的に高まりを見せています。
一方、国内に目を向けると、このような多様な国際協調方式の植物ゲノム研究に柔軟に対応できるシステムはなく、現状では関連する研究者個々人の努力による貢献が大きくなっています。我が国の研究者に対する先進諸国の研究者からの期待も極めて大きく、このような国際協調方式の多様な植物ゲノム研究において我が国の研究者がイニシアティブを発揮できる環境作りが緊急課題であります。現在までのところ国内ではこのような環境作りが進んでおらず、このままでは、国際協調方式の植物分子デザイン研究において、後塵を拝する危惧があります。
そこで、国際協調方式の新たな植物ゲノム研究に取り組む我が国の研究者の活動を支援し、それらの研究によって生まれるシーズと産業界のニーズのマッチングを図ることを目的に本委員会を設置しました。
フォトニクス情報システム
第179委員会
平成18年4月 令和3年3月 中村 健太郎 東京工業大学 
科学技術創成研究院 教授
本委員会では、光でなければできない超高速・大容量・超並列な情報処理・制御機能と、電子システムの柔軟な時系列情報処理・制御機能を融合し、統合された機能が発現できる新しいフォトニクス情報システムの開発を目指し、そのシステムアーキテクチャの創出と必要な情報基盤技術開発に関する調査研究を行う。そして、わが国のIT戦略の目標であるユビキタス社会の実現に必要なユビキタス・センサーネットワークの構築に資するため、フォトニクスを駆使した知的で高機能なセンサー技術、イメージング技術、情報可視化技術と、それらが情報通信技術と融合した新しいシステム化技術の開発を目指す。
リスクベース設備管理
第180委員会
平成19年4月 令和4年3月 酒井 潤一 早稲田大学 名誉教授 日本における産業界の発展は、1960年から1970年前半に多くの産業基盤が主に大都市近郊の海岸沿いに建設されたことに基づいている。これら産業基盤は、近年の産業競争力強化や環境問題といった状況から、適切なメンテナンスを行ないつつ、安全に運転して生産性を上げることが要求されている。しかしながら、日本のメンテナンスでは、要員の削減および2007年問題、近年の産業現場におけるトラブルの頻発が指摘されている。この種の課題の解決のひとつとして、米国で試行されつつあるRBI/RBM(リスクベースドインスペクション/メンテナンス)が挙げられ、安全・安心の社会構築にはこのRBI/RBMの定着普及が今後の課題であると考える。
 ここでは、リスク的設備管理が日本に定着すると同時に、事故の低減に寄与する「リスクベースメンテナンスシステムの開発」が期待されている。これは、日本単独のシステムということではなく、先行する欧米の仕組みを活用しつつ、日本の現状に沿ったシステムの開発を目指すものである。
分子系の複合電子機能
第181委員会
平成20年4月 令和5年3月 芥川 智行 東北大学 多元物質科学研究所 教授 有機・分子物質を基盤とした複合電子機能性材料の開発ならびにその革新的・効率的な実用化を目標として、現時点の研究動向を調査審議し、将来の研究推進の方向性について総合的な指針を提言することを目的とする。機能性分子およびその高次配列・配向制御にもとづく複合電子機能発現物質の設計法の開発、機能性分子およびその集合体を用いたナノ・メゾレベルでの超微細加工からマクロスケールでの高次構造構築技術の開発、有機/分子/無機/生体系機能性材料の複合化による新規機能システムの構築法の開発、材料・デバイスの物性・構造の解析や評価手法の開拓、設計・評価における理論的バックアップなど、多岐に亘る分子系の複合電子機能開発を調査・研究する。
テラヘルツ波科学技術と産業開拓
第182委員会
平成20年10月 令和6年3月 廣本 宣久 静岡大学 総合科学技術研究科 教授 テラヘルツ帯域には,物質や生体の重要な物性情報が存在しているため,材料分野,バイオ・医薬分野,安全・防犯・セキュリティー・分野等々,多岐に亘る分野への展開が予想される。応用を展開するためのセンシングやイメージングなどの,先端計測・分析技術の研究や機器開発が活発に行なわれ,汎用分析や医薬品分析などで市販品も見られるようになっているが,長期的視野に立った更なるイノベーションも期待されている。 このように将来を期待されるテラヘルツ波科学技術領域において、テラヘルツ波工学,量子エレクトロニクス,量子物理,分子化学,医学,薬学,分野の学界・産業界の第一線の研究者、技術者が組織横断的・分野横断的に情報交換を行うことによって、共同研究を促進するとともに、学術研究の中にある産業化の可能性を含む基幹的技術を掘り起こし、これまで未開拓とされた電磁波の特長を活用しながら新産業の創出をめざす。
水の先進理工学第183委員会 平成22年10月 令和3年3月 高井 治 名古屋大学 名誉教授 「水」は人類にとって最も身近な物質であり、生命維持に欠かせない物質です。しかし、その複雑な構造と性質から未解明な点が多く、基礎科学として依然として発展途上の学問領域といえます。近年になり、分析機器、シミュレーション手法の進化に伴い、ようやく「水の科学」が新しいステージに進化しようとしています。
一方、産業分野に目を向けると、水は常に主役、もしくは脇役としても、なくてはならない存在です。特に、飲料水や上下水道水、環境水といった身近な水の処理だけでなく、ナノ加工処理、ナノ物性制御、非水系デバイス、材料表面処理、水熱合成反応、電池システム、C1ケミストリー、高純度洗浄、生体材料、医療・創薬等といった工学・医療といった様々な分野とも大変関わりが強いのが特徴です。このように出口分野が異なれども、水は繊維の横糸のごとくそのプロセスや機能制御に大きく関わり、その基礎的理解に基づく処理や制御はきわめて重要な要素技術となっています。
このような背景のもと、水に関わる新たな理解と処理・制御技術の発展には分野横断的な融合研究が不可欠であります。本委員会は、様々な産業分野において技術的ブレイクスルーをもたらすには、現在開発途上にある機能的な水や水を用いたプロセスの基礎学術的な評価や裏づけ、基礎学術的研究の中にある産業化の可能性を含む基幹的技術の発掘など、水に係る産学連携を積極的に推進することを目的にしています。
生体ひかりイメージング技術と応用
第185委員会
平成23年10月 令和4年3月 星 詳子 浜松医科大学
光先端医学教育研究センター 教授
ひかりの要素技術は、日本は世界でもその先頭にあると言って過言ではありませんが、その技術を医療分野に応用することには、光のヒトの体内への浸透性の悪さから敬遠されてきました。高エネルギーの電磁放射線は、人体を容易に通過するので断層像をえるのに適していますが、放射能被曝などがあり、こども、老人などに使うには制限があります。その点で生体に障害を及ぼさない光技術を応用して、被験者に安全で侵襲性がなく、効率的な生体情報を取得できる機器を開発し、実際に臨床応用まで考えたいと計画しています。特に近年の光断層像の研究成果を取り入れて、新しい診断機器の開発に力を入れたいと考えています
放射線科学とその応用
第186委員会
平成24年4月 令和4年3月 神野 郁夫 京都大学 大学院工学研究科 
原子核工学専攻 教授
発起人らは、我が国における医療、セキュリティ、基礎科学において近年とみにその重要性が高まっているにも関わらず、学界、官界、産業界を統合して意見交換を行う場が皆無であることを憂い、発起人らを中心に平成20年度より「放射線物理学研究会」を結成し、継続的に意見交換を行ってきた。同研究会は、学界、産業界のメンバーが放射線の応用分野、計測技術、デバイス開発、検出器開発などの分野で活躍する研究者に情報交換と討論の場を提供し、問題提起の場となった。殊に当該分野においては、放射線計測機器の材料・デバイス側と検出器・装置側との乖離が大きく、その溝を埋めるため、学界のみならず、材料・デバイスメーカー、検出器・装置メーカーからの出席者が議論する場を設けることを主眼に活動を行ってきた。
最近はこうした活動が実を結び、幾つかの研究機関と材料企業・検出器企業が協力して研究開発を行い、共同で国家プロジェクトを獲得する等の産学連携活動も行われるようになってきた。今後も医療、セキュリティ、基礎科学など広汎な応用分野を有する放射線科学において、こうした産学連携活動の充実は望ましく、またその中心となる活動母体の必要性も増してきている。こうした情勢に加えて、現在、日本の置かれている状況、放射線検出に対する国民の要請等も鑑み、「放射線物理学研究会」委員 (東大、京大、名大、東北大、九大、北大等で構成)より、「放射線物理学研究会」により多くの知を集積させ、放射線計測と表裏一体をなす放射線発生技術も包含し、日本学術振興会の産学協力研究委員会として活動を行うべきであるという意見が出された。
この意見提示に基づき、「放射線物理学研究会」委員の間で慎重に討議し、関係のある企業の方々に判断を求めたところ、ほぼ全員の方より賛同を得た。このような次第において、日本学術振興会に対し「放射線科学とその応用」委員会設立の申請を行うこととした。
当面の当該委員会における目的は、放射線発生手法、放射線計測機器、を主体とした放射線科学の「応用」に関する現状と問題点および将来展望などを主題目として委員会を運営する。産学官の協力のもとに、放射線科学に関する研究の活性化、国際共同研究の推進を行い、放射線科学と技術の発展に寄与し、更に材料、デバイス、検出器、装置産業分野の学術と産業の育成と振興を図ることである。
メタマテリアル第187委員会 平成24年10月 令和5年3月 石原 照也 東北大学 大学院理学研究科物理学専攻 教授 通常の物質の電磁応答は、それを構成する原子・分子や結晶構造などの微視的な配列によって決まっており、誘電率と透磁率の値には大きな制限があります。しかし、電磁波波長より小さく原子よりは大きなスケールで人工構造をうまく設計すると、有効誘電率や有効透磁率を自由に制御でき、その結果、負の屈折や電磁波の迂回など、従来ありえなかった特殊な電磁応答をする人工物質を作ることができます。これをメタマテリアルと呼びます。
 本委員会ではメタマテリアルの構成法とその作製方法の開発並びに新奇現象の発掘などの基礎研究と、その産業応用の可能性について調査と情報交換を行い、将来の新規産業に結びつけることを目指します。
電磁波励起反応場第188委員会 平成26年4月 令和2年3月 和田 雄二 東京工業大学 物質理工学院応用化学系 教授 資源枯渇、物質循環、環境をキーワードとする新たな競争力を持つため、日本発の独自技術開発に挑戦することが求められています。わたしたち は、物質製造における省エネルギー、CO2排出削減、操業時間短縮、製造装置ダウンサイズを可能とする革新的技術として、電磁波エネルギー利用に向けて最新情報交換と高度な科学的議論を行い、この技術の産業化に向けて舵を取ることが科学技術者の急務と考えています。電磁波エネルギー利用という革新的なツールを武器として、世界にさきがけ日本発の技術創成を推進することが本委員会のメインテーマです。電磁波が物質と相互作用することによって発生する“非平衡 反応場”を用いた化学、材料科学、生命科学、といった新しい領域を開拓し、ものづくり技術へ応用展開します。
日本における
ケミカルバイオロジーの新展開
第189委員会
平成27年4月 令和2年3月 長田 裕之 理化学研究所
環境資源科学研究センター
・ケミカルバイオロジー研究グループ
副センター長・グループディレクター
ケミカルバイオロジーとは化学をツールとして複雑な生物機能の解明に挑戦する学問です。最近では、最新の化合物合成技術やゲノム研究等と融合して、網羅的に遺伝子産物の阻害剤や活性剤となる化合物を探索することが可能になってきました。
従来は、大規模な化合物ライブラリーを整備して、創薬シードの探索を行うのは企業の研究であると考えられていましたが、最近では、世界各国の公的研究機関(大学や国立研究所)で、化合物ライブラリーを用いた大規模スクリーニングが実施されています。その研究成果は、ベンチャー企業などを介して産業化に貢献しています。しかしながら、我が国では、ケミカルバイオロジー研究を企業の開発研究に利用するには、利用の仕組みやサポート体制が不十分でした。
我が国でも、東京大学、理研などに公的化合物ライブラリーが整備され、産学を問わず化合物ライブラリーを使用できる環境が整ってきました。現状では、ケミカルバイオロジーの出口として、医薬が注目されていますが、農薬や食品産業にも応用可能な研究領域と考えられます。大きな可能性を秘めているケミカルバイオロジーですが、化学と生物学の融合、アカデミアと産業界との連携によって、科学技術としての社会貢献を果たすことが可能となります。
このような状況下、アカデミアと産業界の委員によって構成される産学協力研究委員会の設置は、行政的にも重要なことであり、「日本におけるケミカルバイオロジーの新展開」に関する情報交換を行い、当該分野における日本の国際的優位性を維持、増強するとともに、将来の新規産業創出に結びつけることを目指します。
産業界の第一線の研究者、技術者が組織横断的・分野横断的に情報交換や共同研究を行うための本委員会を設立しました。
材料中の水素機能解析技術
第190委員会
平成27年4月 令和2年3月 折茂 慎一 東北大学 WPI-AIMR/金属材料研究所 教授 燃料電池自動車の商用化もはじまり、二次エネルギーとしての水素を社会利用する機運も高まっています。これにともない、高圧・低圧、高温・低温などの様々な条件下で金属系・無機系・ポリマー系を含む多くの材料と水素とが接触する状況が格段に増え、機能性や安全性を維持・向上する観点からも、材料中の水素機能にかかわる解析技術が一段と重要となりました。
しかし、産業界が期待するこれらの解析技術は、それぞれの技術分野の専門性が高く、また対象とする水素関連材料も多岐にわたることから、単独の企業や研究機関の努力だけでは構築できないものと考えられています。協調領域として情報と課題を十分に共有し、産業界からの多様なニーズを基礎研究に反映した上で、現状と将来を総合的・俯瞰的に検討することが望まれています。
そこで、国内第一線の技術者・研究者が広く参画できる本研究委員会を設置して、材料中の水素機能の本質的解明を目指した計測・計算両面での最先端の解析技術を構築する場を整備します。
接合界面創成技術
第191委員会
平成27年10月 令和3年3月 須賀 唯知 東京大学 大学院工学系研究科
精密機械工学専攻 
須賀研究室 教授
常温接合は我が国オリジナルな技術であり、この10年間に国際的にも日本が研究開発の拠点となり、低温ヘテロウエハ接合に基づく3Dデバイス積層やMEMS実装に世界的な注目が集まるとともに、一部は量産への適用が具体化してきている。常温接合の対象は、半導体や金属だけでなく、近年はガラスや有機フィルムに及び、シリコンフォトニクスや光マイクロシステムのほか、次世代ディスプレイや太陽電池・燃料電池、さらには、フレキシブル・エレクトロニクスに至るまでの広範な適用可能性が明らかになってきた。海外でも本技術への関心は高まるとともに類似の技術が検討され始め、我が国から始まった常温接合の研究は、むしろ欧米で活況を呈し、翻ると我が国の研究者層の薄さとネットワークの弱さが依然として懸念される状況にある。
このような内外の状況に鑑み、常温接合を単に接合技術としてとらえるのではなく、より基礎的本質的な物質界面の創成技術として、最先端の界面科学、分析技術等を駆使し、新しい界面創成理論として体系づけるとともに、接合信頼性向上や更なる新しい接合プロセス提案のための基礎を研究する学界と、新しいニーズに基づき技術としての展開を図る産業界の研究者が集結する場として、「接合界面創成技術委員会」を設立した。
当委員会では、最新の国内外の研究開発動向を調査することによって、常温接合/表面活性化接合をはじめとする界面創成技術の研究開発の方向を見極めるため、海外を対象とした調査、非公開の定期的な研究会の開催、海外研究者等の招聘によるヒアリング等を行う。それと並行し、下記の3つの視点から、基盤となる課題の抽出と解決策の糸口を探ることで、接合界面創成技術の体系化および新プロセスの提案を目指す。これらの活動を通して、常温接合技術の国際的な研究開発において日本がフラッグシップを掲げ続け、先進的な製造技術を通して日本の産業の発展に寄与することを目的とする。
サイバーセキュリティ
第192委員会
平成27年10月 令和3年3月 後藤 厚宏 情報セキュリティ大学院大学
学長、教授
情報システムとインターネットが、産業、行政、社会生活の隅々まで浸透する中で、それを脅かすサイバー攻撃への迅速な対応が切望されています。また、様々な機器やモノがセンサーとともに情報ネットワークに接続されてくる時代においては、サイバーセキュリティへの取組みは全世界的な最優先事項の一つになると考えられます。
そこで、世界規模かつ将来型のインフラストラクチャにおけるシステムセキュリティおよび情報セキュリティ対策のあり方について、技術的視点およびグローバルなガバナンスの観点から検証を行い、必要な対策に向けた研究開発戦略/中長期的な人材育成方策を策定し、それらを推進する産官学連携体制を確立することを目的として、本委員会を設立することとしました。
本委員会の活動を通じて、以下の成果を生み出すことを目指します。
●グローバル化が進むサイバー社会において想定される新しい脅威に向けた技術開発要素の提示
●組織間での連携やシステム統制のメカニズムなど、具体的な施策の提示
●高等教育機関、政府・産業界、公的機関など社会組織や先端技術分野おいてサイバーセキュリティに係わる人材の育成に関する具体的な方策の提示
このような研究成果により、世界規模のサイバーインフラストラクチャーの安全で安定的な稼働、展開を可能とし、結果として我が国および関係国における企業活動等のグローバル化に大きく寄与するものと考えております。
計測分析プラットフォーム
第193委員会
平成30年4月 令和5年3月 一村 信吾 早稲田大学 研究戦略センター 教授 計測分析技術には、高度化する個別ニーズにいかにして迅速に応えるか、ビッグデータやAI技術の急速な進展をどう活用すべきかなど、喫緊の課題が多く存在しています。本委員会は、計測分析技術を提供する立場、利用する立場の関係者が一堂に会する場を設定し、「計測分析プラットフォーム」を議論することで、上記課題の解決に貢献することを目標にしています。第一ステップとして、計測分析技術を担う機器・装置(インフラ)の観点から、今後の計測分析機器を特徴づけるCPS(Cyber Physical System)型複合計測分析にフォーカスした検討を進めます。また、計測分析技術により取得される知識(コンテンツ)の観点からは、AI活用に向けて遡及性、信頼性、再現性等の付与など計測分析データの品質に関して検討し、計測分析技術の高度活用を通したものづくり産業への貢献を目指します。
分子性触媒による高度分子変換技術
第194委員会
平成30年4月 令和5年3月 寺田 眞浩 東北大学 大学院 理学研究科 
化学専攻 教授
「希少・枯渇資源の有効利用と再生可能資源の活用促進を原則とした元素戦略」、「持続可能な循環型社会の構築」は今や喫緊の社会的要請です。これらに応え得る方法論として日本が先導する「有機分子触媒」を基軸とした触媒系の開発とともに「金属錯体触媒」「ハイブリッド触媒」など関連する「分子性触媒」による高度分子変換の確立は革新的な技術の開拓につながると期待されます。この実現には産学連携を目的とした組織を設立し、総力を挙げた開発研究を推し進める必要があります。本委員会を組織することで「分子性触媒」の開発研究を強力に推進し、技術創造立国・日本の「モノづくり」に新たな未来像を創出することを目的とします。
放射線の利用と生体影響
第195委員会
平成31年4月 令和6年3月 米倉 義晴 大阪大学放射線科学基盤機構
特任教授
放射線の利用は多方面で進んでおり、特に医療では診断・治療の両面で欠くことのできない重要な技術です。また、放射線は細胞を破壊する力を利用して滅菌や食品の保存に使われたり、透過性を利用して非破壊検査に使われたりしています。一方、放射線の生体への影響については、疫学、動物実験、細胞実験などの各分野において様々な研究が行われてきています。本委員会は、放射線の生体影響について科学的に、エビデンスに基づいて議論することが重要であると考え、学術的には、放射線の生体影響に関して科学的に議論するための分野横断的組織の中心となること、産業界との関連では、科学に基づく知見から、放射線の利用に関する規則等に関して提言を行うことを目的としています。国連が掲げ、多くの国が賛同している持続可能な開発目標(SDGs)のいくつかは、放射線利用技術によって達成されますが、その持続可能性の議論は科学に支えられたものでなくてはなりません。放射線の生体影響は、複雑な問題ですが常に科学的アプローチで探求が行われているべきです。簡単に答えがでる問題ではありませんがベネフィットとリスクに関して科学的なアプローチが常に進められるべきです。