日本学術振興会賞

第9回(平成24年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第9回(平成24年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_野尻 秀昭
野尻 秀昭
(ノジリ ヒデアキ)
NOJIRI Hideaki



生年 1968年 出身地 富山県
現職 東京大学生物生産工学研究センター 准教授
(Associate Professor, Biotechnology Research Center, the University of Tokyo)
専門分野 環境微生物学
略歴
1991年 東京大学農学部卒
1993年 東京大学大学院農学系研究科修士課程修了
1995年 東京大学大学院農学系研究科博士課程中退
1995年 東京大学生物生産工学研究センター助手
1998年 博士(農学)の学位取得(東京大学)
1999年 東京大学生物生産工学研究センター講師
2002年 東京大学生物生産工学研究センター助教授
2007年 東京大学生物生産工学研究センター准教授(現在に至る)
授賞理由
「難分解性環境汚染物質の分解細菌が有する分解能の分子基盤の解明」
(Molecular Bases of Xenobiotic-Degrading Capacity of Environmental Bacteria)
  近年の環境汚染問題の世界的な深刻化に伴い、有害化学物質を浄化・無毒化するために、「生物機能を活用した環境浄化」の手法が期待されている。この手法を実用化するためには、微生物が有する難分解性汚染物質の分解能力のメカニズムを理解し、それに基づく有効な環境浄化システムへの応用発展が求められている。
  野尻秀昭氏は、原油中に含まれる難分解性の有害化合物であるカルバゾールの分解細菌から、カルバゾール分解の初期反応を触媒する酸素添加酵素の遺伝子を初めてクローン化するとともに、分解酵素複合体の結晶構造を解明するによってそのカルバゾール認識機構と触媒反応機構を解明することに成功した。さらに野尻氏は分解細菌が保持する染色体外DNA(プラスミド)上に分解酵素遺伝子群が存在することを見出し、このプラスミドが異なる属種にわたる細菌に伝達されること、細菌宿主の染色体とプラスミドがそれぞれの遺伝子発現に相互に影響しあうことを明らかにした。これらの成果は、実際の環境浄化の場で分解菌を利用する際の基盤情報としてだけでなく、高分解能の有用菌株の育種にも応用できる重要な知見である。
  これらは野尻氏の独創的着想と創造性によって達成された成果であり、今後の活躍が大いに期待される。

第9回(平成24年度)日本学術振興会賞受賞者一覧へ戻る