日本学術振興会賞

第9回(平成24年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第9回(平成24年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_笠原 博幸仁
笠原 博幸
(カサハラ ヒロユキ)
KASAHARA Hiroyuki



生年 1969年 出身地 福井県
現職 理化学研究所植物科学研究センター 上級研究員
(Senior Research Scientist, Plant Science Center, RIKEN)
専門分野 植物生化学
略歴
1992年 近畿大学理工学部卒
1994年 近畿大学大学院工学研究科博士前期課程修了
1994年 日本学術振興会特別研究員-DC
1997年 近畿大学大学院工学研究科博士後期課程修了
1997年 博士(工学)の学位取得(近畿大学)
1997年 米国ワシントン州立大学生物化学研究所博士研究員
2000年 理化学研究所植物科学研究センター研究員
2005年 理化学研究所植物科学研究センター上級研究員(現在に至る)
2011年 科学技術振興機構さきがけ研究者兼任
授賞理由
「植物におけるオーキシン生合成主経路の解明」
(Elucidation of the Main Auxin Biosynthesis Pathway in Plants)
  非常に重要な植物ホルモンであるオーキシンは、19世紀のダーウィンらによる光屈性研究を端緒に、植物の細胞分裂や細胞分化を制御するホルモンとして発見され、1940年代にはインドール-3-酢酸(IAA)であることが明らかにされた。IAAの構造から、その生合成経路はトリプトファンを起点とする複雑なものであると推察されていたが、その中間体と推定される物質はいずれも微量かつ不安定であり、植物に共通の主要IAA生合成経路は60年以上もの間、不明であった。笠原博幸氏は、その正確な定量測定に必須となる標準物質の調製、誘導体化による中間体の安定化、高感度な分析を可能にする分析装置の活用等により、生合成中間体の分析方法を確立した。この卓越した分析技術と遺伝学的なアプローチを組合せ、最終的にトリプトファンから2種類の酵素反応のみによってIAAが合成されるという驚くべき生合成経路を解明した。
  オーキシンは植物の生長分化のほぼ全ての局面で中心的な働きを示し、オーキシンやその拮抗剤は広く農業生産に活用されている。その生合成経路の解明は、生合成の制御による新しい除草剤の開発や作物生産技術の開発に繋がる波及効果の大きい成果であり、同氏による今後のさらなる研究の発展が期待される。

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