日本学術振興会賞

第9回(平成24年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第9回(平成24年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_鈴木 勉
鈴木 勉
(スズキ ツトム)
SUZUKI Tsutomu



生年 1968年 出身地 東京都
現職 東京大学大学院工学系研究科 教授
(Professor, Graduate School of Engineering, the University of Tokyo)
専門分野 RNA生化学 
略歴
1991年 東京工業大学理学部卒
1993年 東京工業大学大学院総合理工学研究科修士課程修了
1993年 日本学術振興会特別研究員-DC
1996年 東京工業大学大学院生命理工学研究科博士課程修了
1996年 博士(理学)の学位取得(東京工業大学)
1996年 三菱化学横浜総合研究所研究員
1997年 東京大学大学院工学系研究科助手
1999年 東京大学大学院新領域創成科学研究科講師
2004年 東京大学大学院工学系研究科助教授
2007年 東京大学大学院工学系研究科准教授
2008年 東京大学大学院工学系研究科教授 (現在に至る)
授賞理由
「高感度質量分析法によるRNAの直接解析と生命現象へのアプローチ」
(Direct Analysis of RNA Molecules by Mass Spectrometry Approaches Biological Processes)
    これまでの生命科学では、RNAの働きを知るために、逆転写酵素によりRNAと相補的なDNAを合成したり、微量なRNAを蛍光標識するなど、増感したRNAを間接的に捕らえる方法が一般的に用いられている。しかし、このような手法では、RNAの機能と密接に関わる塩基修飾や末端構造の情報を得ることができない。鈴木勉氏は、こうしたRNA修飾を精確に捉えるために、独自のアイデアに基づき、微量なRNAを精製し、高感度質量分析法を用いて直接解析する方法論を確立した。これらの手法により、さまざまな生物からトランスファーRNAやノンコーディングRNAを単離解析し、新しいRNA修飾塩基を次々に発見した。またRNA修飾酵素を多数同定し、生合成の研究で大きな貢献をしている。さらに同氏は、RNA修飾の欠損がミトコンドリア脳筋症の直接の原因であることを突き止めており、この成果は、ヒトの疾患がタンパク質の異常だけではなく、RNA の異常でも生じ得ることを示した世界初の例となった。
  このように、鈴木氏は、RNAを“もの”として捉えた独創的な研究手法で生命科学にアプローチしており、RNA研究を先導する研究者の一人としてさらなる貢献が期待される。

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