日本学術振興会賞

過去の受賞者について

第7回(平成22年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_大井 貴史
大井 貴史
(オオイ タカシ)
OOI Takashi



生年 1965年 出身地 愛知県
現職 名古屋大学大学院工学研究科 教授
(Professor, Graduate School of Engineering, Nagoya University)
専門分野 有機合成化学
略歴
1989年 名古屋大学工学部卒
1991年 名古屋大学大学院工学研究科博士前期課程修了
1992年 日本学術振興会特別研究員-DC
1994年 名古屋大学大学院工学研究科博士後期課程修了
1994年 博士(工学)の学位取得(名古屋大学)
1994年 日本学術振興会特別研究員-PD
1994年 マサチューセッツ工科大学化学科博士研究員
1995年 北海道大学大学院理学研究科助手
1998年 北海道大学大学院理学研究科講師
2001年 京都大学大学院理学研究科助教授
2006年 名古屋大学大学院工学研究科教授(現在に至る)

授賞理由
「キラルアンモニウム塩やキラルテトラアミノホスホニウム塩を用いた不斉合成反応の開発」
(Developments of Asymmetric Syntheses with Chiral Ammonium and Chiral Tetraaminophosphonium Salts)
 金属触媒を用いる有機合成手法は、20世紀半ばから大きな発展を遂げ、現在では有機化合物の合成に不可欠な手段となっている。一方、環境調和型反応や希少金属資源からの脱却等、次世代型化学技術に対する社会的ニーズが高まる中、金属を使わない有機触媒が2000年頃より大きな注目を集めている。
 大井貴史氏は、この新しい分野に挑戦し、有機イオン対の精密な分子設計と三次元構造制御に基づいて、数多くの独創的な有機触媒反応系を創出した。
 同氏は、C2対称を有するユニークなキラルアンモニウム塩を設計・合成し、これを光学活性相間移動触媒とするα-アミノ酸の実用的不斉合成法を確立した。さらに、この知見を基に、有機触媒の全く新しい制御概念に基づくキラルテトラアミノホスホニウム塩を創製し、穏和な条件下で進行する数多くの革新的不斉合成反応を開発した。
 これらの成果は、学術面のみならず実用面での貢献も極めて大きい。また、有機触媒の汎用性と有用性を世界に強くアピールし、同分野の発展に大きく寄与した。有機触媒はその構造の多様性から、無限の可能性を秘めた次世代型触媒であり、この分野を先導する研究者の一人として、更なる大きな貢献が期待される。

第7回(平成22年度)日本学術振興会賞受賞者一覧へ戻る