日本学術振興会賞

過去の受賞者について

第7回(平成22年度)日本学術振興会賞受賞者

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勝又 悦子
(カツマタ エツコ)
KATSUMATA Etsuko



生年 1965年 出身地 山口県
現職 同志社大学神学部 助教
(Assistant Professor, the Faculty of Theology, Doshisha University)
専門分野 ユダヤ学
略歴
1990年 東京大学文学部卒
1994年 東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了
2000年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位修得退学
2004年 同志社大学神学部嘱託講師
2007年 日本学術振興会特別研究員-RPD
2009年 京都大学大学院人間・環境学研究科特定研究員
2010年 同志社大学神学部助教(現在に至る)
2010年 Ph. D. の学位取得(エルサレム・ヘブライ大学)

授賞理由
「アラム語、ヘブライ語原典に基づくユダヤ教文献の分析的研究」
(An Analytic Study of Judaic Literature Based on Aramaic and Hebrew Texts)
 勝又悦子氏は、アラム語、ヘブライ語のユダヤ教原典の文献学的な分析に加え、歴史学的・社会学的な見地からの総合的な研究によって、エルサレム第二神殿崩壊後(A.D.70)のユダヤ教のダイナミックな展開を具体的に解明することに成功した。
 一般にユダヤ教研究において中心的な研究対象となるのは、律法学者ともいうべきラビの著したヘブライ語文献であるが、同氏は、これまでユダヤ教文献のなかで十分な関心を払われてこなかったアラム語訳聖書(タルグム)に着目し、計量的手法による言語学的観点の分析と、ユダヤ思想に関する歴史学的な知見とを総合して考察を行った。その結果、ラビ文献の中では軽視されがちな神殿祭儀を司る祭司層の伝統が、神殿祭儀が衰えたといわれる紀元1世紀以降も、当時の民衆言語であったアラム語での聖書への加筆などを通じ、ユダヤ教のなかに受け継がれていたことを明らかにし、斬新かつ学術的洞察に富むユダヤ教像を提示した。
 勝又氏は、日本社会にとっては一見疎遠にも見えるこれらの研究成果の現代的意義を広く紹介することにも尽力しており、高度な専門性と広い視野を併せ持った研究者として、更なる活躍が期待される。

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