日本学術振興会賞

過去の受賞者について

第5回(平成20年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_辻伸泰
辻 伸泰
(ツジ ノブヒロ)
TSUJI Nobuhiro



生年 1966年 出身地 京都府
現職 京都大学大学院工学研究科 教授
(Associate Professor, Graduate School of Engineering, Kyoto University)
専門分野 金属材料学
略歴
1989年 京都大学工学部卒
1991年 京都大学大学院工学研究科修士課程修了
1993年 日本学術振興会特別研究員-DC
1994年 京都大学大学院工学研究科博士課程修了
1994年 博士(工学)の学位取得(京都大学)
1994年 大阪大学工学部助手
1998年 日本学術振興会海外特別研究員
2000年 大阪大学大学院工学研究科助教授
2007年 大阪大学大学院工学研究科准教授
2009年 京都大学大学院工学研究科教授(現在に至る)

授賞理由
「超微細粒金属材料に関する研究」
(Study on Ultrafine Grained Metallic Materials)
 金属は多数の結晶粒が集まった構造をしている。この一つ一つの結晶粒を非常に微細にすると、粒間の境界(結晶粒界)の密度が増大することで、金属の強度が増加したり、ねばり強く破壊しにくくなることが知られている。辻伸泰氏は金属材料を高強度・高靭性化させる方法として、巨大ひずみ加工による結晶粒超微細化に着目し、独自に開発した加工プロセスによりナノスケールの結晶粒径を実現して、「結晶粒界だらけの金属材料」という新たな学術分野を構築した。
 同氏は合金化に代わる金属材料の新たな強化方法として、巨大ひずみ加工による結晶粒の微細化に取り組んだ。加工しても材料の形状が変わらない形状不変加工法の1つとして「繰り返し重ね接合圧延」を考案し、この方法を使って多くの金属・合金の超微細粒材料を作り上げた。さらに超微細粒の形成メカニズムを明らかにするとともに、高強度と高延性が両立する事をはじめ、全く新しい力学特性を数多く見い出した。
 同氏の業績は資源の有効利用とリサイクル性の向上が要求される金属材料分野において、加工だけで特性を制御できるというブレークスルーをもたらしたものであり、高密度格子欠陥材料という新たな学術領域が生まれるなど波及効果も大きい。学術的にも産業応用的にも、更なる国際的発展が大いに期待できる。

第5回(平成20年度)日本学術振興会賞受賞者一覧へ戻る