日本学術振興会賞

過去の受賞者について

第5回(平成20年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_小江誠司
小江 誠司
(オゴウ セイジ)
OGO Seiji



生年 1963年 出身地 広島県
現職 九州大学未来化学創造センター 教授
(Professor, Center for Future Chemistry, Kyushu University)
専門分野 錯体化学
略歴
1991年 東京理科大学理学部卒
1993年 東京理科大学大学院理学研究科修士課程修了
1996年 総合研究大学院大学数物科学研究科博士課程修了
1996年 博士(理学)の学位取得(総合研究大学院大学)
1996年 岡崎国立共同研究機構分子科学研究所助手
2001年 名古屋大学物質科学国際研究センター助手
2002年 大阪大学大学院工学研究科助教授
2005年 九州大学未来化学創造センター教授(現在に至る)

授賞理由
「水溶性金属アクア錯体を用いた水中・常温・常圧での水素分子の活性化」
(Hydrogen-Activation with Water-Soluble Metal-Aqua Complexes in Water under Ambient Conditions)
 将来のクリーンエネルギー源として水素が注目されている。水素分子からの電気エネルギーの取り出しは、分子を陽イオンと陰イオンに解離させる反応を通して行われ、触媒としては通常白金が用いられている。しかし、資源的な問題から、白金以外の触媒の開発が緊急の課題であった。小江誠司氏は、この触媒機能を持つアクア金属錯体の開発に、世界に先駆けて成功した。
 同氏の開発したアクア金属錯体はニッケルや鉄を中心金属とする錯体である。この錯体を触媒として水中・常温・常圧という極めて温和な条件下で、錯体の水配位子を水素分子と置換させることで、高効率でプロトン(H+)とヒドリドイオン(H-)に開裂させることに成功した。さらに、反応で生成する低原子価ヒドリド錯体等の中間体を単離し構造を決定することにより、水中での触媒の関与した水素分子の活性化機構を解明した。このように、同氏は、「水中・常温・常圧での水素分子の活性化」というクリーンエネルギー変換システム実現への新しい道筋を提示した。
 同氏の業績は、化学、環境、エネルギーの分野において、基礎的研究を実用的応用に結びつける上で極めて重要な貢献を果たすものとして期待される。

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