日本学術振興会賞

過去の受賞者について

第5回(平成20年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_上田正仁
上田 正仁
(ウエダ マサヒト)
UEDA Masahito



生年 1963年 出身地 東京都
現職 東京大学大学院理学系研究科 教授
(Professor, Graduate School of Science, The University of Tokyo)
専門分野 物性理論、量子情報
略歴
1986年 東京大学理学部卒
1988年 東京大学大学院理学系研究科修士課程修了
1988年 日本電信電話株式会社基礎研究所研究員
1991年 博士(理学)の学位取得(東京大学)
1992年 東京大学物性研究所嘱託研究員
1994年 広島大学工学部助教授
2000年 東京工業大学大学院理工学研究科教授
2008年 東京大学大学院理学系研究科教授(現在に至る)

授賞理由
「冷却原子気体の理論」
(Theory of Ultracold Atomic Gases)
 量子力学的粒子にはフェルミ粒子とボース粒子がある。ボース粒子系が低温において、「ボース・アインシュタイン凝縮(BEC)」とよばれる特異な相転移を起こすことは、アインシュタインによって1924年に理論的に予言された。近年、そのようなボース粒子からなる原子の集団(ボース原子気体)が磁気トラップやレーザー冷却を用いて実現され、さらにそれを蒸発冷却によって超低温に冷却することによってBECが実現されている。冷却原子気体は、超流動ヘリウムや超伝導電子系と比肩する新しい量子凝縮相として注目されている。
 上田正仁氏はこの分野の研究を幅広く進めてきたが、強く引力相互作用をするボース凝縮体がボース・ノヴァと呼ばれる特異な飛散崩壊現象を起こすことを理論的に示し、これがハイゼンベルグの不確定性原理に深く関係していることを解き明かした。
 同氏は、他にも超流動現象など量子多体現象に関する様々な独創的研究を展開しており、今後更に巨視的な量子現象の工学的応用や、冷却原子気体を用いた量子計算などの実験と理論を先導することが期待される。

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