日本学術振興会賞

過去の受賞者について

第5回(平成20年度)日本学術振興会賞受賞者

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宮 紀子
(ミヤ ノリコ)
MIYA Noriko



生年 1972年 出身地 徳島県
現職 京都大学人文科学研究所 助教
(Assistant Professor, Institute for Research in Humanities, Kyoto University)
専門分野 中国文学
略歴
1994年 京都大学文学部卒
1996年 京都大学大学院文学研究科修士課程修了
1999年 京都大学大学院文学研究科博士課程修了
1999年 日本学術振興会特別研究員-PD
2001年 京都大学人文科学研究所助手
2002年 博士(文学)の学位取得(京都大学)
2007年 京都大学人文科学研究所助教(現在に至る)

授賞理由
「モンゴル時代の文化政策と出版活動」
(Cultural Policy and Publishing Activities during the Mongol Period)
 宮紀子氏は、モンゴル人支配下の中国の文化事象の発掘と再評価を通して、元代を中国伝統文化の破壊の時代とみなす従来の歴史認識を一変させる新たな視点を提示した。
 同氏は、元朝モンゴル帝国治下で出版された漢字資料のみならず、絵画や工芸品、またイスラームやアラブ、モンゴル資料を併用する手法で、モンゴル支配圏における人の交流や文化の伝承と創造の実態の解明に大きく寄与した。具体的には、この時代に口語体の小説や戯曲が多数出版され、またモンゴル貴族向けの挿絵入り儒学書が流布したことに着目し、モンゴル朝廷が前代の中国の文化を受け継ぎ、その古典学を保護し、更に発展させて、今日の中国文化の形成に決定的な役割を果たしたことを跡づけた。他方、朝鮮半島や日本を含む東アジアの文化研究を、中央アジアやアラブ・イスラーム方面の研究と関連づける可能性を示した功績も大きい。
 今後、中国文化のユーラシア世界への展開と相互交渉へと研究の幅を更に広げることによって、出版文化研究を核とした新たな東ユーラシア文化史を構築することが期待される。

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