日本学術振興会賞

過去の受賞者について

第3回(平成18年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_古川 貴久
古川 貴久
(フルカワ タカヒサ)
FURUKAWA Takahisa



生年 1963年 出身地 大阪府
現職 大阪バイオサイエンス研究所発生生物学部門 研究部長
(Head, Department of Developmental Biology, Osaka Bioscience Institute)
専門分野 発生医学
略歴
1988年 大阪大学医学部卒
1991年 日本学術振興会特別研究員-DC
1992年 京都大学大学院医学研究科博士課程修了
1992年 博士(医学)の学位取得(京都大学)
1993年 京都大学医学部研修員
1993年 京都大学医学部助手
1995年 ハーバード大学医学部遺伝学教室ポストドクトラルフェロー
1999年 テキサス大学サウスウエスタンメディカルセンター助教授
2001年 大阪バイオサイエンス研究所研究部長(現在に至る)

授賞理由
「脊椎動物の網膜発生の分子機構の解析」
(Analysis of the Molecular Mechanisms of Vertebrate Retinal Development)
 古川貴久氏は、脊椎動物の中枢神経の一部である網膜視細胞の発生について研究を展開し、視細胞の運命決定および最終分化などの発生メカニズムの総括的な解明を世界に先駆けて行った。特に視細胞分化因子であるCrxとよばれる遺伝子の発現に関与する因子(転写因子)を同定し、その生体内での機能を詳細に解析するとともに、ヒトの遺伝性網膜変性症の原因遺伝子であることを示した一連の研究は有名である。最近では、別の転写因子であるOtx2が、網膜視細胞の運命決定に必要かつ十分なマスター遺伝子であり、同分子がCrxの発現制御を直接担う転写活性化の因子であるという分子経路も解明した。このように網膜という優れた解析システムを用いることにより、同氏は、脊椎動物中枢神経系のニューロン発生において、転写因子という内在性因子の連続反応が細胞分化に決定的な役割を果たすことを明らかにし、ニューロンの運命決定と分化メカニズムの理解に非常に大きなインパクトを与えた。
 今後も同氏は、網膜をモデルシステムとして駆使し、中枢神経系の発生の分子基盤のさらなる解析を継続することにより、再生医学への応用も視野に入れた技術開発への躍進的な発展をもたらすものと期待できる。

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