日本学術振興会賞

過去の受賞者について

第3回(平成18年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_渡辺 千香子
渡辺 千香子
(ワタナベ チカコ)
WATANABE Chikako Esther



生年 1962年 出身地 福島県
現職 大阪学院短期大学国際文化学科 助教授
(Associate Professor, Department of International Studies, Osaka Gakuin Junior College)
専門分野 アッシリア学・美術史
略歴
1986年 学習院大学文学部卒
1989年 バーミンガム大学大学院楔形文字学研究科修士課程修了
1998年 ケンブリッジ大学大学院東洋学研究科博士課程修了
1999年 博士(Ph.D)の学位取得(ケンブリッジ大学)
1995年 大阪学院短期大学国際文化学科講師
1999年 大阪学院短期大学国際文化学科助教授(現在に至る)

授賞理由
「物語論の観点から古代メソポタミア美術を解釈する研究」
(Narratological Interpretation of the Art of Ancient Mesopotamia)
 古代メソポタミアを対象とするアッシリア学研究の中心は、従来、楔形(くさびがた)文書の解読と解釈にあったが、渡辺千香子氏は、アッシリア浮彫が持つ意味形成のメカニズムを解明することにより、浮彫が文字資料とは異なる独自の史料的価値を有することを明らかにした。
 同氏は、アッシリア美術に用いられる「異時同図法」を物語叙述方式の観点から解釈し、浮彫の画面に一貫した流れが意図されていることを指摘した。また、動物シンボリズムの研究では、メソポタミア文化における動物(主にライオンと牛)が、シンボルとして果たす役割を5つのコンテクスト(領域)に分けて分析し、動物に象徴される意味の枠組みがコンテクストによって決められることを実証した。中でも、アッシリア浮彫に見られるライオンと王の図の象徴的役割を解明し、アッシリア王権の特質についても新たな知見をもたらした。
 同氏の業績は、古代メソポタミア美術史研究に新しい局面を開く先駆的なものであり、同研究の更なる発展と同氏の活躍が期待される。

第3回(平成18年度)日本学術振興会賞受賞者一覧へ戻る