日本学術振興会賞

第13回(平成28年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第13回(平成28年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_中戸川 仁
中戸川 仁
(ナカトガワ ヒトシ)
NAKATOGAWA Hitoshi



生年 1974年 出身地 神奈川県
現職 東京工業大学生命理工学院 准教授
(Associate Professor, School of Life Science and Technology, Tokyo Institute of Technology)
専門分野 分子細胞生物学
略歴

1997年
1999年
2002年
2002年
2002年
2005年
2007年
2009年
2010年
2011年
2014年
2016年

中央大学理工学部卒
京都大学大学院理学研究科修士課程修了
京都大学大学院理学研究科博士課程修了
博士(理学)の学位取得(京都大学)
日本学術振興会特別研究員-PD
自然科学研究機構基礎生物学研究所助手
自然科学研究機構基礎生物学研究所助教
東京工業大学統合研究院先進研究機構特任助教
東京工業大学フロンティア研究機構特任助教
東京工業大学フロンティア研究機構特任准教授
東京工業大学大学院生命理工学研究科准教授
東京工業大学生命理工学院准教授(現在に至る)

授賞理由
「オートファジーの分子基盤の生化学的解明」
(Biochemical Elucidation of the Molecular Basis of Autophagy)

  生体内で不要となった成分を細胞の自食作用によって分解する「オートファジー」現象は、1950年代に発見された。本年度ノーベル賞を受賞した大隅良典先生の出芽酵母の遺伝学的研究により、この現象に関わる多数の Atg 遺伝子群が同定され、分子的理解が加速的に進んだ。また、近年、マウスなどのモデル生物を用いた研究により哺乳動物における生理的重要性なども示されたが、その生化学的実態は長い間不明であった。中戸川仁氏は、オートファジー反応において不要物を包む「オートファゴソーム」と呼ばれる脂質膜の形成機構を生化学的手法により明らかにした。すなわち、この反応に関わるユビキチン様タンパク質Atg8が、Atg12-Atg5結合体の酵素活性により脂質分子ホスファチジルエタノールアミン(PE)と結合するメカニズムを解明し、試験管内再構成系を用いてAtg8-PE結合体が、実際に、人工膜小胞を繋ぎ合わせ半融合させる機能を有することを証明した。さらに、特定の標的を認識して分解する選択的オートファジーという新しい現象の分子機構を解明し、Atg39、Atg40が小胞体および核の分解に関わることも明らかにするなど、この分野において大きな業績を上げた。

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