日本学術振興会賞

第13回(平成28年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第13回(平成28年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_前田 和彦
前田 和彦
(マエダ カズヒコ)
MAEDA Kazuhiko



生年 1979年 出身地 埼玉県
現職 東京工業大学理学院 准教授
(Associate Professor, School of Science, Tokyo Institute of Technology)
専門分野 エネルギー変換型不均一系光触媒
略歴

2003年
2005年
2007年
2007年
2007年
2008年
2010年
2012年
2016年

東京理科大学理学部卒
東京工業大学大学院総合理工学研究科修士課程修了
東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(半年短縮)
博士(工学)の学位取得(東京大学)
日本学術振興会特別研究員-DC(2007年からPD)
東京大学大学院工学系研究科助教
科学技術振興機構さきがけ研究員(兼任)
東京工業大学大学院理工学研究科准教授
東京工業大学理学院准教授(現在に至る)

授賞理由
「半導体光触媒を中核とした人工光合成系の開発」
(Development of Artificial Photosynthetic Systems Based on Semiconductor Photocatalysts)

  前田和彦氏は、水を可視光分解して水素を生成する半導体光触媒や、二酸化炭素を可視光エネルギーだけで燃料物質に変換する新しい光触媒を、独自の発想と方法で開発することに成功し、優れた研究業績を挙げている。
  太陽光の主成分である可視光を吸収して水を分解する半導体光触媒の開発は、水素エネルギー製造の観点から重要な課題である。従来、バンドギャップの広い紫外光応答型の光触媒は数多く開発されてきたが、よりバンドギャップの狭い可視光を吸収して水を分解できる光触媒は皆無であった。前田氏は、各々単独では可視光を吸収しない窒化ガリウムと酸化亜鉛を組み合わせて固溶体とすることによってバンドギャップが縮まることを予測し、可視光を吸収して水を分解できる光触媒の開発に成功した。さらに、複数の金属成分を助触媒に組み込むという新たな着想により、可視光による水分解の量子効率を飛躍的に向上させた。また、有機半導体も安定な可視光応答型触媒となり得ることを予見し、窒化炭素を金属錯体助触媒と結合させた新しい光触媒の開発にも成功した。従来技術では、安定な二酸化炭素分子を活性化するためには高温高圧が必要であったが、前田氏が開発したこの触媒は、常温常圧下で可視光エネルギーを利用して二酸化炭素を燃料電池用の液体燃料として有用なギ酸へと高効率高選択に変換することを可能にしている。

第13回(平成28年度)日本学術振興会賞受賞者一覧へ戻る