日本学術振興会賞

第13回(平成28年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第13回(平成28年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_廣瀬 薫雄
瀬 薫雄
(ヒロセ クニオ)
HIROSE Kunio



生年 1975年 出身地 大阪府
現職 復旦大学出土文献与古文字研究中心 副研究員
(Associate Professor, Center for Research on Chinese Excavated Classics and Paleography, Fudan University)
専門分野 歴史文献学
略歴

1999年
2001年
2006年
2006年
2008年
2008年
2010年

東京大学法学部卒
東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学
日本学術振興会特別研究員-PD
復旦大学出土文献与古文字研究中心講師
博士(文学)の学位取得(東京大学)
復旦大学出土文献与古文字研究中心副研究員(現在に至る)

授賞理由
「秦漢時代の「律」・「令」に関する通説の再検討と新仮説の提示」
(Proposing a New Interpretation of “Lü(律)”and“Ling(令)”in the Qin-Han Period, Based on a Reexamination of Historical Documents and Materials)

  瀬薫雄氏の研究は、秦漢時代の「律」「令」とは何であったのかという問いに発して、『史記』『漢書』などの古典や出土文字資料を分析し、かつ精緻に読み込んで、「律」とは、皇帝の詔書によって一条ごとに発布された法律であり、「令」とは、皇帝の詔すなわち命令そのものであることを明らかにした。この研究は、これまで秦漢時代に関しても、西晋以来、隋唐までの「律令」法典のイメージを無意識に投影する形で理解されてきた「律」と「令」に関する通説を覆して、秦漢時代には法典としての「律」や「令」は存在しなかったということを立証した画期的な仮説である。秦漢時代の法制度の実態をきわめて具体的に描き出した瀬氏の仮説は、陸続と発見されつつある出土文字史料によって裏付けられており、中国法制史の研究上、熱い議論の舞台を出現させたことは高く評価される。
  瀬氏の仮説は、新羅の「律令」や日本の近江令・浄御原令の実像に関する見解にも影響を与えるものであり、広く東アジアの法制の歴史的展開過程の研究に大きく貢献した。

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