日本学術振興会賞

第12回(平成27年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第12回(平成27年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_谷本 拓
谷本 拓
(タニモト ヒロム)
TANIMOTO Hiromu



生年 1973年 出身地 神奈川県
現職 東北大学大学院生命科学研究科 教授
(Professor, Graduate School of Life Sciences, Tohoku University)
専門分野 神経行動学
略歴

1997年
1999年
2000年
2002年
2002年
2002年
2002年
2006年
2007年
2013年


東京都立大学理学部卒
東京大学大学院理学系研究科修士課程修了
日本学術振興会特別研究員-DC
東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
博士(理学)の学位取得(東京大学)
日本学術振興会海外特別研究員
ヴュルツブルク大学博士研究員
ヴュルツブルク大学ドイツ研究振興財団エミーネータープログラムグループリーダー
マックスプランク神経生物学研究所グループリーダー
東北大学大学院生命科学研究科教授(現在に至る)

授賞理由
「ショウジョウバエ記憶回路の網羅的解析とドーパミン神経機能の解明」
(Neural Circuits for Memory Formation in Drosophila)

  脳は、「報酬」や「罰」など「情動を伴う経験」をその刺激を受けた時の環境情報と結び付けて記憶する。この「連合記憶」は「価値判断」の基盤でもあり、そのメカニズムの解明が求められてきた。報酬系に関連するドーパミンニューロンの所在、回路および作動原理に不明な点が多いことが、情動研究上の大きな障壁として立ちはだかっていた。
  谷本拓氏は、ショウジョウバエの「連合記憶」形成の座として知られる「キノコ体」に注目し、その報酬と罰に関連する回路地図を作成するとともに、それぞれに関連するドーパミン作動神経細胞を見つけ出し、「記憶の形成・読み出し」という回路機能、個体行動までを、従来になかった高い精度で結び付けた。これらは、神経回路の網羅的解析や特定の細胞の活動性操作などの優れた研究手法を開発したことで成し遂げられた優れた成果である。ドーパミンは脊椎動物など種を越えて保存されているため、谷本氏による一連の結果は記憶や連合学習など、脳神経科学から医療までに関わる問題に対する研究への糸口を提供した。既に世界的若手研究者と言えるが、今後更なる活躍が期待される。

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