日本学術振興会賞

第10回(平成25年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第10回(平成25年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_小林 研介
小林 研介
(コバヤシ ケンスケ)
KOBAYASHI Kensuke



生年 1971年 出身地 京都府
現職 大阪大学大学院理学研究科 教授
(Professor, Graduate School of Science, Osaka University)
専門分野 量子物性
略歴

1994年
1996年
1996年
1998年
1998年
1999年
1999年
2004年
2005年
2007年
2012年

東京大学理学部卒
東京大学大学院理学系研究科修士課程修了
日本学術振興会特別研究員-DC
東京大学大学院理学系研究科博士課程中退
東京大学大学院理学系研究科助手
博士(理学)の学位取得(東京大学)
東京大学物性研究所助手
スイス連邦工科大学研究員
京都大学化学研究所助教授
京都大学化学研究所准教授
大阪大学大学院理学研究科教授(現在に至る)

授賞理由
「固体量子素子における多体効果と非平衡ゆらぎに関する実験的研究」
(Experimental Study on Many-body Effects and Nonequilibrium Fluctuations in Solid-state Quantum Devices)

  1ミクロン程度以下の微小なメゾ・ナノスケールで、最新の微細加工技術を駆使し新たな機能を創成することは、現代の科学技術の1つの方向性である。メゾ系・ナノ系の研究では、その応用面が強調されがちであるが、小林研介氏は、応用面に限らず、最先端技術で独自に開発作成した微小素子を用い、統計・物性物理学の基礎的問題に挑戦し大きな成果を上げた。
  特に小林氏は、通常の測定ではノイズとして捨てられてしまう「ゆらぎ」の自由度に着目し、メゾ系の電流ゆらぎの測定を通して、電子輸送現象の研究に新局面を開くことに成功した。なかでも、強い量子効果の下にある非平衡系において世界で初めて「ゆらぎの定理」を実証した研究成果は特筆に値する。平衡からのずれが小さい線形領域は久保理論により記述されることが確立しているが、平衡から大きく外れた領域でも成立することが理論的に期待される「ゆらぎの定理」が近年注目されていた。他にも、電子の共鳴的な干渉から生じる「ファノ効果」や、量子多体現象である近藤効果がファノ効果に相乗した「ファノ近藤効果」をメゾ系において初めて実現させる等の成果も得た。小林氏の研究は、基礎から応用までを含む広範な研究分野のさきがけとなる独創性の高いものと評価される。

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