日本学術振興会賞

第10回(平成25年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第10回(平成25年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_伊丹 健一郎
伊丹 健一郎
(イタミ ケンイチロウ)
ITAMI Kenichiro



生年 1971年 出身地 アメリカ
現職 名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所 拠点長・教授
(Director/Professor, Institute of Transformative Bio-Molecules, Nagoya University)
専門分野 合成化学、生物活性分子、ナノカーボン科学
略歴

1994年
1996年
1996年
1997年
1998年
1998年
1998年
2005年
2007年
2008年
2013年

京都大学工学部卒
京都大学大学院工学研究科修士課程修了
日本学術振興会特別研究員-DC(1998年からPD)
スウェーデン・ウプサラ大学研究生
京都大学大学院工学研究科博士課程修了
博士(工学)の学位取得(京都大学)
京都大学大学院工学研究科助手
名古屋大学物質科学国際研究センター助教授
名古屋大学物質科学国際研究センター准教授
名古屋大学大学院理学研究科教授(現在に至る)
名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所拠点長(現在に至る)

授賞理由
「芳香環連結分子の精密迅速合成法の開発と応用」
(Development and Applications of Precise and Rapid Synthetic Methods for Arene-Assembled Molecules)

  芳香族化合物は、機能性有機材料や医薬品の重要な素材であり、自在に芳香環を連結できる合成方法の開発は、有機合成化学の大きな課題の一つである。伊丹健一郎氏は芳香族化合物を合成するにあたり、目標分子を明確に設定し、その分子を合成するためのもっとも効率的な反応の開発を行ってきた。その一つが芳香環連結反応である。芳香環を連結するためには、従来は一方の化合物の芳香環上にハロゲンなどの脱離能をもつ原子団が必要であり、その原子団は連結後には副産物として廃棄されていた。伊丹氏は、遷移金属触媒を活用することで芳香環上の水素を活性化し、副産物の出ない環境調和型の新しい芳香環連結反応を開拓し、その手法を駆使して医薬から電子材料までの様々な機能性分子の合成を行ってきた。伊丹氏の開発した方法で合成した医薬分子の一部は、すでに工業生産の段階に至っている。さらに、カーボンナノチューブの最小部分構造であるカーボンリングの精密合成、およびこれを鋳型に使うことで構造的に純粋なカーボンナノチューブの合成にも成功している。
  このように、伊丹氏は、独自に開発した有機合成法により、様々な機能性分子を合成し、化学分野だけでなく広く医薬学や材料科学に大きなインパクトを与える研究を展開している。有機合成化学を先導する研究者の一人として、更なる発展、貢献が期待されている。

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